ART織田の


シトロエン日記特別編


9月2日

AXの明日はどっちだ?!

がんばって維持して行くのか、それとも捨てっちまうのか。クルマ好きなら必ず通る分かれ道である。例えば今日、こういう日。これはメルセデスの部品か?というくらい高価な部品が次々と御亡くなりになる時である。

前兆はあった。走行して10分、水温が上がる頃、アイドリングできなくなる。アクセルを抜くとエンストする。加速しても息をつぐ。だがそれは一時的な事ですぐに回復する。で、時々再発する。「電気系統?燃料系統?」と考え「バッテリー?アース?O2センサー?イグニッションモジュール?ROM?アクセル開度センサー?プラグコード?インジェクションのつまり?燃料フィルター?燃料ポンプ?うーんわからん」となる。弱点が多過ぎるクルマの欠点だ。修理屋でもわからない事が多い。だから様子見でそのまま乗ってしまうのだ。

その時私は北九州を走っていた。涼しい朝の空気が気持ち良かったが、陽射しが強くなり黒い内装を焼き始めたのでエアコンを入れた。新品のコンプレッサー、真新しいリキッドタンクとエキバン、特注のエバポレーター(注:いずれもエアコン関連の部品。すべて高価)、何も心配無かった。
しかしそこに例の症状が。燃料が切れるような息つぎ。突然うっすらとバッテリー警告燈が点灯した。「???三年目を迎えるバッテリーが問題だったか? それなら次のスタンドで交換しよう」と思ったその刹那。
エンジンルームから白煙が上がった。「走れK100」じゃあるまいし(注:昔の子供向け番組。タイヤ付き蒸気機関車で旅をする)。室内には煙とゴムの焼ける匂いが充満した。エンジン音に混じってキュルキュルとベルトの泣く音、Kマーク点灯、機関停止、あわててクラッチを踏み道端にクルマを寄せた。
まだ煙を上げていた。ボンネットを開けるとVベルトが切れていた。問題は何故切れたかだ。テンショナーに手をかけると問題なさそうだ。新品のコンプレッサーが不良だったか?いや、オルタネーターが・・・・溶けている。!(注:交流発電機のこと)
JAFを呼び、近くの工場へドナドナとなった。
「ドナドナドーナードーナー」
悲しい歌だ。だが、今の俺とシトロエンにはこの歌がお似合いだ。
近くのスズキの工場へ入院になった。普通シトロエンなど見てくれないのだが、オルタネーターくらいは電装屋がなんとかするだろう。ただ、修理代はなんとか工面しなければ。

私は北九のはずれ(馬場山インター手前あたり)で立ち尽くした。車もなく、金もなく、希望もなかった。しかし私はどこえともなく歩き始めた。「何処へ?」答えは南中の陽射しの中で蒸発して行った。アンニュイだけがいつまでも残っていた。頭の中ではあいかわらずドナドナがリフレインしていた。


在りし日のAX(もちろん右)


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