ART織田の


ヒカリモノ日記


9月30日

ティファニーの経験価値

ヴァンドーム広場あたりの宝飾品を扱うお店で「ティファニーが好き」なんていうのは、欧州車のカークラブで「フォードが好き」という感覚に近い。今回取り上げるヒカリモノはショーメやブルガリではなく、ティファニーである。
そういえば昔、ブランドといえば二十世紀ナシしか売ってない鳥取県で、貧乏な学生だった私は、カノジョの誕生日の前日夕方に指輪のサイズを聞き出し、その足で京都夜行(夜通走る普通電車が当時あった)に飛び乗り、京都でティファニーの銀モノを買って昼には戻るという演出を好んでしていたが、そんな事はさておいて。
ティファニーが好きなのは、若若しい幸福が感じられるから。向き合って座った喫茶店のテーブルに、小汚いメッセンジャーバッグから、白いリボンのターコイズボックスを出して置く瞬間。実は指輪自体より、あの瞬間がすべてなんだとも思う。気の利いたヤツなら誰でも1度は経験したのではないだろうか?>読者。
私はティファニーに比較的安いものが多くあることを感謝する。昔一万数千円で、あれほど素晴らしい瞬間を残してくれたのだから。他の同額商品では決してないばかりか、10万でカルチェを買ったってああは行かない。
ティファニーはティファニー。ヘップバーンの昔から、駆け出しの若者が想いを込めて勇んで踏み込む店である。



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