ART織田の


週末画廊日記


10月13日

岸田淳平@香月「Kへの手紙」  K(カー)といえば

Kはドイツ語風の発音で「カー」と呼ばせてもらいます。そう、Kと言えばうちの師匠!ドクトル・フランツ・カフカです。
師匠はよくフェリーチェさんに手紙を書きながら、しょっちゅう「手紙を書くことが不愉快ではないですか?」とか「そうだったら付き返してください」とか弁明してましたが、だったら書くなっちゅうのって感じなんですけど、あれは師匠にとって書くことが「共に時間を過ごす」という事だったんでしょうね。だから書かずにはいられない。でも迷惑?みたいな。まあ中身は「眠れない」とか「郵便局が悪い」だのつまらん事なんですけど。
そう、でも師匠にとって、書くと言うことこそが存在であり、師匠=文学だったんでしょう。
「良く書くということへの恐ろしい賄い。本当は実際に不幸なわけではなく、不幸の新しい刺を感じるわけではなく、嫌でたまらない、嘔吐を催す、または少なくとも陰気な無関心を引き起こすようなものが無限に続くノートのページを見ていく事。それでも生きていくためには筆をとらなくてはならない」
なんて言ってますし。しかし、書けて落ちこみ、書けなくて落ちこみで、まったく師匠ったら。
しかし私、岸田さんの絵にも有る意味ちょっと近いところを感じます。
引きこもりがちな人特有の強い情熱が、人が見ることを前提で、にゅるにゅるとひねり出されて浮かんできたような絵です。
ただ、それが余りに詩的で、美しく、ちょっと神懸かりなというだけで。


DMより


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