ART織田の


週末画廊日記


2月23日

桑原祐子@貘

こんばんは。フランソワーズ・モレシャンです。
さて、フランスでは「メ・メント・モリ(死を思え)」などと申しまして、「人間いつ死ぬかわからへんから、せいぜいきばっていきなはれ」という意味でしょうか?そんな感じですけど、この死を見つめるような「ぼやー」とした視線がたまりませんね、この写真は。
個展のタイトルは「虫卵」「イヒ」。字が無かったのでニセ半角で描きましたが、これで「ウカ」と読ませます。え?ちょっと待って下さいよ、大学で昆虫学を専攻し、ずっと蚕を飼っていたから言うわけじゃありませんが、サナギが変態するのは「ウカ」で「羽化」。卵がかえるのは「孵化」で「フカ」。ちょっとどっちなの?って言うところですが、写真の感じでは羽化を思わせました。
蚕の場合、成虫になった昆虫の寿命はとても短く、せいぜい2週間です。蚕に口はなく、メスは一度の交尾・産卵の後、命を閉じます。ちなみに、雄は交尾して終わりですが、何回か交尾できるようになっています。ふっ。
そんな限りある命の無常感が写真にはありました。死を見つめるような「ぼやー」とした視線。食べにくそうな唇ピアス。ウカしたからには、次の変態(メタモルフォーゼ)は死である。そう感じた。
しかし、ウカした状態でこんなに美しいならずいぶんいいじゃん?無常感も美しいし。私なんぞ「ザムザ虫」ってとこだし。
そういや、蚕の学名は「ボンビックス・モリ」。モリ繋がりってとこでどうよ。(落ちない)


DMより

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