ART織田の


週末画廊日記


10月12日

野村佐紀子@シーモール。


DMより

シーモールというのは大丸とダイエーと専門店が入った下関最大の小売店舗だ。高校生の時に近隣の町、宇部からわざわざ買い物&遊びに来ていたことを思い出す。昔は良かった。ここだけで半日は潰せたものだった。
さて、シーモール専門店街に入ると、野村さんの作品が垂れ幕となってぶら下がっている。最初は作品か宣伝かわからなかったが、見ると一つ一つが違う写真で、家族、赤ちゃん、子供、結婚、葬式、など、人生のシーンが撮られていた。
「25の愛(いのち)」。そういえば個展のテーマは愛だった。実は・・・諸般の事情により愛は苦手だ。今わ。まあ、それについて多くを語るのは避けさせてもらうが、基本的には私の修行が足りないということになる。と言うわけで、トーマス・マンのトニオ・クレーゲルの1文を写真展への賛辞として引用させてもらう。

なぜならもし何かあるものに、文士を詩人に変える力があるならば、それはほかならぬ人間的なもの、生命あるもの、平凡なものへの、この私の俗人的愛情なのですから。すべての暖かさ、すべての善意、すべての諧謔はみなこの愛情から流れ出てくるのです。(高橋訳)

そして今僕ははっきり言おう。野村さんの写真はいつもとても慈しみに満ちているのだと。この個展だけではなく、前から。僕がデカダンとか言ってたことから満ちていたのだと。そう、見るほうが単にデカダンだったんでね。情けないねぇ。


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