DMより (部分)
例えば深い孤独の闇に飲まれ、希望は全て果て、坂道をゆっくりと下り、夢想は精神を蝕み、上も下もわからず、青山もアブサンもなく、自分の存在に無感覚になり、人生の異邦人となった時、人は何をしたら良いのだろうか?
ただ、かすかな記憶をたどり、小さな思い出の残像をつなぎ合わせ、自らも亡霊のように日々を送るのだろうか?
ともかく、中島さんの絵は、悲しくもやさしい。スペインの土壁のようにもろくも暖かい触感は、残像のように風化した線や光を取り込んで、ただそこに、何百年もあるような、錯覚を呼び起こす。化石のようだ。
只そこに居るだけの、空間の無駄のような人間が、只只そこにあるような絵から、砂漠の蜃気楼のような光を受け、先にいったい何を見るというのか。
過去と未来が空虚の中で混乱するような、そんな感覚が、ずっとつづいていた。
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