アート織田の週末画廊日記
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2003年6月21日

タイトル: 個展
作家: 平岡昌也
場所: 共同アトリエ3号倉庫


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 「うんう」。描かれているのは雨滴である。何故か私はこの作品と対峙すると侘びしさが募る。僅かに残った雨跡が、まるで私の少しの幸せな時間の儚い思い出のように、しかもそれで終ってしまったのだと感じさせるようだ。
 無論こんな感じ方は極めてまれで、本来の色は晴れやかに美しく、午後まもない頃の陽射しの様に、うっとりとするくらい煌(きら)びやかだ。
 だけど私はつい目をそらすように、作品を受け止めてしまう。それは空に手が届かないのに似ている。次第に雨跡は銃創にも見えてくる。そしてもう絵を見るのを止める。で、いつかちゃんとこの絵を見つめられる様になれたらと思うのだ。
 この日はオープニングだったので、ビールを1缶いただいて飲み干した。夕方7時くらいだろうか。曇り空はゆっくりと夜へと移ろいで行った。都市高速を走るヘッドライトが蛍の様だった。

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