アート織田の週末画廊日記
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2003年6月28日

タイトル: 個展
作家: 伊勢田扶美子
場所: ピッコラマーノ


個人蔵

 磁器というのはいい。あくまで白く、ぽってりとした質感の器に飲みものなり、食べ物なり、華なりが加わり、そのどちらも柔らかさが増す。日々の食生活には磁器は欠かせないくらいある。特に伊勢田さんのは絵付けがいい。何とこの「ゆるい」線。いい。
 あまりにいきなりだが、「人生は生きるに価しない」とムルソーは言った。これは言い過ぎかもしれないが、人はいつかは死ぬのだし、どう生きたところでどっちみに大した事はない。これはまあそうだ。だったらそれなりに享楽的に生きればいいじゃないかと、思うことは思うのだが・・・。
 馴染み深く、シンプルで平凡。きれいな磁器に脱力系の味がある絵付け。きっと買った人は、毎日がより少し楽しく、豊かに感じられるだろう。いい事だ。
 きっと私もそれを望んでいるのだ。望んでいるが、何かが後ろから引っ張る。運命か性分か?たぶんそうでない何かか。
 帰りも私は自棄に雨の中バイクを走らせた。何故ずぶ塗れになるか。結局私は何も知り得ない。

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