アート織田のヒカリモノ日記
WEEKEND_GALLERY.log

2003年7月14日

タイトル: ヒカリモノ日記
作家: フィロソフィー
場所: シルバーギャラリーRadius


個人蔵 (A5302CA)

 いきなりヒカリモノ日記の新シリーズに突入だ。新展開の第1回を始めます〜。

 いつか気に入って買った指輪を最近しだした。パン製造という仕事柄、勤務中はしないが、通勤はもちろん、家でも、寝ててもつけている。
 装飾品の本来の目的は「外見の向上」であるが、私にとってはその役目は果たしていない。外見は多少は気にするものの、向上となると根本的に原型を留めないほどの修正が必要である事を十分自覚しているからだ。まさかリング一つで変わるわけがない。ありえない。
 ではなぜ、しだしたのか。ムルソー的に言うなら「別にしないという理由はない」くらいで、実は自分でもよく理解していない。もちろんもともとヒカリモノは大好きだった。だけど、「いつもする」というのは別問題という気がしないでもない。ただ単に享楽的で子供じみた行為かもしれない。
 ひとつ、思い浮かぶ言葉があるのなら、「自分はそれくらいしかない」という感覚だ。偶然にもこの指輪には「我思う・・・」のデカルトの言葉が彫られている。
 しかし、この言葉も不明だ。「思う」でしかない存在。それは亡霊のような自分。思わないものは非現実なのか。
 ともかく、私にとって装飾品とは、あまりにも中身のない自分ゆえのもので、包帯をとった透明人間が、指輪で存在がばれたというのにちょっと似ている。ヒカリモノへの入れ込みは、人生の虚無感にエピキュリアン的に比例する。

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