アート織田の週末画廊日記
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2003年9月14日

タイトル: たまには反アート
作家: アート織田
場所: 自宅


 最近、学校教育における美術教育の衰退という話しを聞いた。選択教科として美術がなくなった、とかそんな内容だった。筆者はどうしたことかみたいな感じだったが、私思うに、本当に美術なんて教科が必要なのかい?と。それだけでなく、この世に博物館は必要であっても美術館など必要ないんじゃないか、そうまで思える。それくらい、美術は世の中で「偉そう」ぶってて、虚しいまでに権威主義だ。
 そもそも僕は美術なんてのはオタクのなかでもマイナーな世界であり、決して健全な青少年に強要するものではないと考えている。「この線がいい」とか「この色はこの人にしか出せない」なんて会話だけでも、カークラブで「エンジンの振動がいいんだよ」とか「C5の油圧はシトロエンらしくない」とか言ってるのとなんらかわりはないわけだ。
 表現力にしても映画とかと比べれば低いし(映画では泣けるが絵では泣けない)、デザイン性にしても工業デザインや服飾に比べれば明確でない気がするし、重厚さにしても伝統工芸ほどではない気がするし、その上、写真、漫画、イラストといった超強力なライバルまでいる。(最近ではこれらを美術業界に抱きこむ動きもある)。
 そんな中、ものの「質感」とか「雰囲気」とかに、美術以上にこだわっているのは最近の若者のファッションである。単純にあたらしい布地の持つ質感に飽き足らず、古着や加工によって、雰囲気を追求し、重ねたり、切ったりしながら自分のラインを作りセンスを醸し出して行く。
 正直私から見ても、下手な美術よりはよっぽど面白い。映画、漫画を楽しみ、ファッションを楽しむ。そんな若者を相手に「美術教育」などというオタクは、まず着替えて出直すべきだ。一方で映画や服飾デザインという選択科目があってもいいと思う。考えて見れば平等にみな文化だ。美術ばかりが高尚な面をすることは、ぜったいにない。
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