アート織田の週末画廊日記
WEEKEND_GALLERY.log
2003年9月20日
タイトル: 木工展
作家: 山口和宏
場所: 梅屋
DMより |
カフカ「やっぱいいねぇ。木工は」 アート「そういや先生も作るの好きでしたね」 カフカ「カロリーネンタールのポティェブラート小路の指物師コルンホイザーのところで稽古を受けているよ。しっとるかね」 アート「あー、あそこねって、知ってるわけないでしょ」 カフカ「私の作ったカード・キャビネット見たいだろ?」 アート「いえ、あまり」 カフカ「しかし有益な手仕事ほど美しいものはないよ。役所の強制労働に比べるとはるかに美しく価値がある。見かけは役所のほうが何か高級で高等のようだがそれは見かけに過ぎない。実際はより孤独で、従って不幸なだけだ。デスクワークは人間を人間から引きはなす。手仕事は逆に人間を人間へと導くのだ」 アート「しかし本当に綺麗なお膳ですね。うっとりするなぁ。こういうの作れたら人生変わってたなぁ。しかし先生より不器用だからなぁ」 カフカ「私は農夫か手職人になってパレスチナへ行こうと夢想していたよ」 アート「何もかも捨てて?」 カフカ「何もかも。確実で美しい、意味のある生活を見出すために。しかし、それは叶わない。そして私は役所勤めのなかに、私の生活を溺れさせているのだよ」 アート「人生ままならずですわ」 カフカ「君にそれを言われるとますます情けなくなってくるぞ。それより君バングルまで買ったのかね」 アート「いつか銀細工職人になって宮崎県北方町にでも移住しようかと思って」 カフカ「また、そんな野垂れ死にするような事を」 アート「人の事は言えんでしょう。それより菓子器、欲しかったなぁ」 カフカ「仕方ない。私が作ってやろう」 アート「絶望をこれ以上悪化させないで下さいね」 |
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