アート織田の週末画廊日記
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2003年11月15日

タイトル: 骰子一擲
作家: ステファン・マラルメ
場所: フランス


骰子一擲

 またしても初心を忘れて、ただの日記になります。すみません。
 象徴派であること、はここ最近の私の関心事である。さんざんテキストだの、表現だの、やれ「伝わってる?」だの言ってきた割りには、変なところに落ち着いて申し訳ないのだが。
 象徴派とは「隠された部分」であり、「あやふや」で、「なんとなく」で、「全体的でちょっとした印象」で、季節で言えば中秋、天候で言えば霧のような小雨、すなわち「語らぬ、描かぬ核心」であり、「親和的でしかな表現」であると思っている。
 この点は今日のアート、前世紀から引き継がれ、さらにコンセプチャルで、「寄せ」的なアートに、欠けているものであり、実は個人的な不満であるわけだ。
 ところで、このマラルメの詩本「骰子一擲」は、文に余白をもって構成され、額に入れればさぞカッコ良かろうと思えるのだが、それはそれとしてだ。
 マラルメは別の詩で「表現はできるだけ正確さを欠くように」と説いている。詩は全体が暗喩でなければならないというわけだ。
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全星宿
  は夜を徹する
    疑う
      輾転する
        かがやく  思念する
    それを聖別とするある終極点
     に停止するまえに

     全思考は発出する骰子一擲
(秋山訳)
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 正直なところ、何度読んでも人に説明できる詩ではない。それゆえか、日本では2度の廃刊の憂き目を見た詩だが、私は、あらゆる詩の中でもっとも好きな詩である。
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