アート織田の週末画廊日記
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2003年12月22日

タイトル: 個展
作家: 赤木明登
場所: 梅屋


会場にて撮影 (A5302CA)

 ありえないことではあるが、仮に私がパン職人として、トップのレベルに達したとしても、それはそれとして、弟子にエラソーぶる程度だろう。プラス商才があれば、ビゴさんのようになれるかもしれない。
 ところで、自動車評論家の福野礼一郎の著書「ホメずにいられない」に出てくる塗装工の話をちょっと。
 主人公の塗装名人がある外国人技師の吹き付けを見ていた。手並みは平凡で、ノズルの位置は明らかに近すぎ、「こいつは全然だめだ失敗だ」と思ったそうだ。しかしその仕上がりは目を見張るような美しさを持っていたという話。仕事には名人がいて、その上の神様というのがいるらしい。
 それだけではなく、レンズ研磨、プレス機の調整など、あらゆるところで職人の手仕事は機械の精度をはるかに超えるという話を聞く。
 しかし、漆塗の職工というのは精度を求めるそれとちがって、芸術性が高く、視覚的感性に訴えるところが大変おおきい。したがって、陶器、漆器を作る人というのは、人間国宝になってたりするのだ。
 実際、赤木明登さんの器などは、色気や凛々しさがあり、心が底から持ってかれるような魔力がある。まったくすばらしい。
 一方「職」には松竹梅があり、私などパン工場の従業員として、もっとも格下に属するのだが、そこからこのような、はるかはるか上を垣間見たあと、逆にすごく清々しい気持ちがした。それはどこかで、作る気持ち(にもいろいろあるが)そのものには松竹梅がないはずだと思っているからだろう。っしまった、今回はいい事言ってしまった。
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