アート織田の週末画廊日記
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2004年4月18日

タイトル: オブジェ「ひとがた」展
作家: 永武
場所: ギャラリーとわーる


DMより

 私の知る限り、永さんはずっとひとつのフォルムを追いかけてきた。多くは人の顔であったと思う。今回は立体作品ということだが、基本的には平面も立体もかわりはないのかもしれない。しかし、このDMのちっちゃいのが、個人的にえらく気に入った。
 最近多分に宗教的である私には、仏師の作品のように思えたし、かねてよりカフカ的な私には先生の紹介してくれた詩を思い出した。

僕は小さくなる いよいよ小さくなる
やがて地上で一番小さいものとなる
朝まだき 夏の草原で
僕は一番小さい草花に手をさしのべ
花のそばに顔を埋め
ささやく
「靴もなく着物もない吾子よ
空は 輝く朝露の玉をもて
わが身を支える お前を頼みとて
満天の重さを
かけて」(吉田訳)


「それで人生は楽しめてますか?」
「ああ、先生、ボチボチですよ」
「そうして人生のベルトコンベア―は人を何処へ知なく連れ去っていきます」
「マジデ、やな事言いますね。どういう時にも少しは良い事もあるっていうじゃないですか」
「いかなる不幸の中にも幸福があるように、幸福にも不幸を見出すことができるのです」
「もしかして喧嘩売ってます?」
「いやいや、少々浮かれているのでちょっと言って見ただけですよ。私達ユダヤ人は時に悲劇的な妄想を抱くものです。常に計算を超える何物かがあるのです」
「しかしそう言われると確かに”人生のベルトコンベア―が何処へともなく”って気がしてきました」
「マジデ?」
「マジデ」
「例えば行き先はひとけのない山中の岩の下とかですよ」
「寂しいすね、他には?」
「ひとけのない山中の木の洞(うろ)の中とか」
「そればっかかい」
「おそらく私は空想力を持たないのです。一方、現実の生活の至るところに独房があります。しかも明日は月曜日です。」
「しまった、また口車に乗せられて、暗い一週間を迎えてしまう〜」
(ちゃんちゃん)
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