ミニマリズムをめぐって5
5夜連続でお送りしてきたこの展覧会の感想も今回が最後です。
この作品はミニマリズムといえるかというとそうではなさそうです。
「参加者がそれぞれ勝手に色を塗ることによって、自己主張ではなく、まったくもって非個性的な作品が出来ないのか?」という実験の結果です。
展示オープンのプレイベントで、皆によって塗ったくられたようですが、爆撃された中東のどこかというイメージです。
参加者参加型の展示というのは、割ととりあえずやってみる私ですが、むか〜し、オノ・ヨーコの展覧会で、リンゴが1個おいてあって、勇気のある人はそれをかじってもいいというのがありました(かじれませんでした)。同じく、不幸と幸福の天秤があって、好きなほうに石を重ねるというやつ(当然私は不幸の天秤に大きな石を積みました)もしました。
今回は残念ながら参加できなかったんですが、どうでしょう、私なら隅のほうをちょこっと黒くぬったくらいかな?
どのみち私などはヘッセ版シッタールダいうところの「泡の波紋」にまちがいないので、しかも端っこの一際小さいやつだろうし、壁に塗りたくるようなイベントには不向きだから良かったのかも。
さて、おそらく、創造的な作業をする多くの人は、ミニマリズムと客観的普遍性の間でゆらいでいるものかもしれません。
私のような、ミニマリズム(日記)に浸るものにとっては、とうてい及ばぬ努力とは思います。
一方で私は、ミニマリズムを越えるものは、自己の奥深くにあるとも信じる一派で、こうした倉庫に篭もって、自分の感性に従って、こつこつと、石を積み上げるような作業には、心から敬服すると同時に、ぜひがんばっていただきたいと、そう思う所存でございます。
番長Tのポイントその12:もう、なんならあちこち切りっぱなしで。そんなTをチョイスしたいなと。