映画「ブロークバッグ・マウンテン」というのは、ゲイの方々だけのための映画ではない。
世間に知れたら殺されるという重圧の中、裏側で育む(男同士の)愛がテーマの物語である。
世間体を整えながら、人知れない深い部分で苦しみ、嘆き、喜びを得る人々。
表向きは熱心に働く一方、やや暗い印象で、面白さに欠けるかもしれない。
一人ファミレスで、多様で深い想いをめぐらせながら、つまらない夕食をとるような感覚
「人はみかけにはよらぬもの」である。
作品は電動で、手で一つ一つ刻み込んだ歯車が、ぎしぎしと、今にも壊れそうな感じで回っている。
上の部分はテキサスの砂漠のようで(行ったことないけど)、歯車に合わせて鳥さんのような、涙のような物体が踊るように回転している。
何処へ行くでもなく、何を目指すでもなく、一つところでぐるぐる回るだけである。
ただそれぞれは、一つの歯車から操られていて、それは絆のようでも、運命のようでもあった。
誰でもが見えぬ運命の下、ひっそりと、暮らし、苦しみ、裏側を生き、ただただ「とうとうたらり」とぐるぐる回っているものである。
|