アート織田の新週末画廊日記
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2008年11月9日
作家: 加藤民子、高田麻衣子、久保ユカリ
個展タイトル:8th N548展
場所: 福岡市立美術館
まったく意味不明のタイトルがついているが、これは「九州産業大学芸術学部美術学科酒井忠臣研究室卒業生展」である。
略して「九産大芸術学部美術学科酒井忠臣研卒業生展」であり、通称N548なのだろう。なるほど便利だ。
これには何度か足を運んでいるというのも、リストを見ると画廊日記でお世話になっている作家さんが数名おられる。
それらを中心に、全く個人的に3点ほど紹介したいと思う。
会場にて (SoftBank 913SH (Full Face) VGA)
まずは加藤民子さんの作品。
わりと作品を見ているのにも関わらず、ちゃんと取り上げるのは初めてだったとは、失礼つかまつりました。
もっとも加藤さんのレベルはここのようなホームページのはるか上にあるので、失礼にはあたらないかもしれません。
それはさておき、作品はやっぱりハイレベルです。
連続しているような、断片断片のような、淡い色の波が、解釈する以前に、心に響いてきます。いわゆる説明不要。
見事な書でも見るがごとく、「ほほ〜」とか「は〜」とか言って見てました。
会場にて (SoftBank 913SH (Full Face) VGA)
高田さんの作品は少々写真にとりづらいですが、構成の緊張感から、これくらいの距離で一つ一つの小瓶の作りが丁寧に作られていることまで感じ取れます。
とにかくこの人の作品は、いつもこの丁寧さに驚かされるところがあります。
いや、もしかしたら、丁寧さからくる緊張感というジャンルがあるなら、まちがいなくオンリーワンでしょう。
で、この緊張感が「やさしさ」であったり、「うつくしさ」であったりという、心の動きに繋がっていきます。
いや、すばらしい。思わず美術館で拍手しそうになりました。
会場にて (SoftBank 913SH (Full Face) VGA)
久保さんの作品はさらに写真に写しがたいです。油絵の具の微妙な塗りからなる黄色っぽい色の構成。
タイトルからすると月明かりのようです。
それを知ってか知らずか、絵の前に立ち尽くすと、光をあびるような感覚になってきます。(ほんとうに)
そして、心があらわれるような感じがするのはなぜでしょうか。この私の中の、ほんのほんのわずかな、なけなしのやさしい部分が揺さぶられるのはなぜでしょうか。
(部分)会場にて (SoftBank 913SH (Full Face) VGA)
不思議なのでもう一枚乗せてみますが、やはりうまく写真にはなりません。
わずかに思い出すのは、若き放浪時代、屋根付きのバス停で眠れぬ夏の夜、ぼんやりと浮かんでいた月、旅の始まりを祝うような光だったような、そんな気持ちになりながら、口を開けて絵を見ていました。