アート織田の新週末画廊日記
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2009年1月21日

作家: 高田麻衣子
個展タイトル: 須恵美術館
場所: 

山に分け入るように、美術館に向かった。
実は福岡市からはそう遠くはない、コンビニもさっきあったし、住宅も多い。
山深くといと、住んだ人に失礼というものだ。
とはいえ、その道自体はさっきからかなりの登りになっている。

美術館に入ると、展示室は仕切られており、実際頭をぶつけるだろう低さの躙(にじ)り口に入る。
入り口出口の両方にかかった鈴が小さな音を立てた。
出口のカーテンを両手で払うと、そこはライトアップされた美しい滝が、探検隊を迎えた。


会場にて (SoftBank 913SH (Full Face) VGA)

上から垂れた輝く落水は、金属のビーズをひとつひとつ、一本一本と集まったもので、おそらく3mを超える高さがある。
おそるべし、労力。
おそるべし、丁寧。
その手間を感じながら、作品の美しさを愛でていると、どうも後方にある古布も作品のようだ。


(部分)会場にて (SoftBank 913SH (Full Face) VGA)

キノコが生えている。ではない。
決して「大四畳半大物語」ではない。
やはり広葉樹林の山の稜線と見る。
美しい。

何よりも、これらが美しく丁寧に作られている事に感動する。
そして、自然を愛するという事を考える。
それはエコというよりも、葉の一枚、水の一滴に注ぐ愛着としての、感じ方である。

いつの間にか、会場にいながら、深い山の中にいる気持ちになった。
まるで足下に枯れ葉が敷き詰められているようだ。
私の自然のイメージはいつもこれだ。
先生の主人公はみんな枯れ葉のように終わっていく。
滝の水はいつしか上に上っているようにも見えた。


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