貧しきものにも日は降り注ぐ

 

ハートビート・モータース

 この原稿を書いているのは4月である。暖かい。日ごろ「オープンは冬だ」などと書いていたが、やはり暖かいのは心地よい。
 さて、最近カー雑誌などを読んでいると、今後数年で次々と国産オープンカーが発売される予定だ。新型ロードスター、フェアレディZロードスター、コペン1600、マーチカブリオレ、その他新型が沢山出てくる。これもユーノスロードスターとこのサイトの影響かなぁなどと、んなわけないと、思いながら、めでたくも、大丈夫かいなとも思う。
 ここで言っておくが、屋根を開けて走るのは、普通の感覚の人間にとって「恥ずかしい。恥ずべきである」だけでなく、4月くらいの陽気でも日差しがきつく、その分疲労もするし、日焼けするし(要日焼け止め)、埃っぽいし、排気はかぶるし、うるさいし、朝夕は冷えるし、鳥の糞は気になるし、悪い事ばっかりだ。その悪い事を補うものは「開放感」という一つであり、それを理解できなければ、本当に悪い事ばっかりなのだ。
 オープンなクルマに対して、特にサンルーフではなくロードスターについては、それなりの理解がないと、屋根はひらけない。それなら、クーペの方が絶対にいいぞ。と釘を刺しておこう。
 ただ、昨日大型スーパーの一角でダイハツ・コペンを売っていた。赤のコペンに子供たちが喜んで、乗ったりハンドルを回したりしていた。ぼっと見ていた私に販売の人が「遊園地のおもちゃみたいだ」と言ったが、僕は「オープンカーは本来それでいいんじゃないですか?」と言った。
 そう。悪い事ばっかりだけど、一生に一度は所有するのも悪くはないかもしれない。もし子供のときに、オープンに乗りたいと心に決めた事を思い出せば、それは心残りというものじゃないか?


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