USS Kyushuトップに戻る

ディープスペースナイン エピソードガイド
第90話「裁かれるウォーフ」
Rules of Engagement

dot

・イントロダクション
※1ウォーフはバトラフを持ち、ディファイアントの通路を進んでいる。重傷を負い、助けを求める連邦の士官がいる。ほかにも死んだクルーがいて、何人ものクリンゴン兵がバトラフを高く掲げ、雄たけびを上げている。ブリッジに入るウォーフ。クリンゴン人の子供が死んでいる。ほかの席にも何人も死んだ子供がいた。
目を覚ますウォーフ。そこは監禁室の中だった。大丈夫かというオドー。今何時だと聞くウォーフ。午前4時だ、後4時間で裁判が始まるというオドー。もう少し眠っておいた方がいい、長い1日になるぞといい、部屋を出ていった。

※1: DS9第88話 "Bar Association" 「ロムの反乱」に続き、3度目のレヴァー・バートン (ラフォージ役) 監督作品です

・本編
鐘が鳴らされる。審判を始めます、クリンゴン帝国から殺人容疑で、ウォーフ少佐の身柄を引き渡すようにという艦隊への要請について審議を行うというタララ※2提督。クリンゴンから派遣されたチュポック※3訴追人が申し立てを行う。チュポックはウォーフに以下の罪状を申し立てるという。宇宙暦49648、ウォーフは艦隊宇宙艦※4ディファイアントを指揮してペンタス星系※5の近くを航行中、クリンゴンの民間船をそうと知りつつ攻撃、破壊しその結果441名の一般市民が命を失ったという。ウォーフが攻撃命令をだしたのは誤りです、戦いにはやる気持ちが正しい判断を鈍らせたというチュポック。身柄を引き渡し、同胞の裁きを受けさせたいという。次にシスコが話し出す。訴追人は大事なことに言及するのを避けている、ディファイアントは2隻のクリンゴン戦艦に攻撃されていたという。まさに生死を賭けた戦闘の最中にあり、突然正面に1隻の船が現れた。ウォーフが攻撃を指示したのは不注意からでも残酷だったからでもなく、敵の戦艦だと思ったからですというシスコ。主張したいのは民間船を攻撃したのは、遺憾ですが避けられぬ事故だということですといった。証拠の吟味は明日午後3時から行うというタララ。再び鐘を鳴らした。
プロムナードを歩きながら、オドーに民間船のクリンゴン船長について全て知りたいというシスコ。民間船は戦いを見かけて攻撃するためにディファイアントの前に現れたのかもしれない。攻撃するのはあまり賢いとは思えないというオドー。シスコはオドーのクリンゴン内部の情報網で、船長の情報を入手するように言う。酒飲みとか、好戦的だとか自殺願望が強いといったことだ。ターボリフトに乗るオドー。そこへチュポックがやってきてパッドを渡した。チュポックが呼ぶ証人のリストだという。実に素晴らしいステーションですなというチュポックに、最近クリンゴン人は減ったというシスコ。事件の片がつけばまた大勢来るようになります、ウォーフが引き渡されればそれは宇宙艦隊の士官が大虐殺をはたらいたことになるというチュポック。この宇宙域での連邦の立場は弱まり、評判を立て直そうとしている間は我々にとっては動きやすいと微笑む。それはカーデシア領内へ攻め込むチャンスということか、新たに軍事基地を設置するつもりかと聞くシスコ。どちらにしろウォーフは戦いでは決して勝ち取れない同情をもたらしてくれそうです、クリンゴンは連邦に対してどんな要求を出してもみんなから当然だと思ってもらえるというチュポック。シスコはそれはまだわからん、ウォーフは無罪を主張しているという。しかも有罪の立証は訴追側の責任ときた、連邦の司法制度は非常に面白いが大きな欠陥があるというチュポック。実質より手順を、事実より形式を重視しがちだという。だから不利だと思うなら残念だというシスコに、逆ですよ、そちらのルールで戦うのは楽しみだというチュポック。戦うのではなく真実を求めるんだというシスコ。チュポックは真実は必ず勝つ、それでは戦場でお会いしましょうといい、離れていった。
審議が再び始まった。ウォーフの報告書、ディファイアントのセンサー記録も、ほかの士官の報告書も読んだというチュポック。内容を信用します、惑星連邦の誇りにかけても艦隊士官が嘘をつくことはないでしょうという。ですから事実は報告書に書かれている通りだったと考えますというチュポック。シスコは立ちあがり、事実に基づいて争わないのならば、この審議はもう終わるべきだとタララにいう。チュポックはクリンゴン人は事実や状況はあまり重要視しない、問題なのは攻撃指示を出した時のウォーフの心理だという。艦隊士官として義務を果たしただけだったのか、クリンゴン戦士の闘争本能を目を覚ましたのか。だから私が来たのです、ウォーフがクリンゴン人として戦いに我を忘れたのだとしたら、裁けるのは我々だけだというチュポック。心理で有罪無罪は決められない、被告人の心理は法廷において議論の対象ではなく、訴追人は物的証拠にのっとって議論をお願いしたいというシスコ。真実を明らかにするには必要でしょうというチュポック。タララはウォーフの心理は重要な要素だという。心理面についての言及を認めます、ただし必要な範囲にとどめてくださいという。懸命なご判断感謝しますというチュポック。最初の証人が呼ばれる。
ダックスに、クリンゴン文化の専門家だと伺っていますというチュポック。前の本体のクルゾンならそういうでしょうが、私はたまたまクリンゴンの文化に少々詳しいだけですというダックス。ではそういうあなたから見て、クリンゴン人は攻撃的で暴力的な種族ですかとチュポックは聞く。そういう側面がありますと答えるダックス。ではクリンゴン人を猛々しく恐るべきしているのは、血に飢えた獣のような本能だということには賛成ですかと聞くチュポック。ダックスはそう思いますと答える。チュポックはウォーフがディファイアントを指揮して戦場に出た時、本能に負けたとは考えられませんかと聞く。いいえ、ウォーフ少佐は自分の戦いの本能をちゃんと抑制していますとダックスは言う。チュポックははっきりと断言できますかと聞く。ホロスイートで何度も戦ったからですというダックス。それは遊びでしょうというチュポックに、戦う時は本気ですとダックスは言う。
ウォーフと戦っている様子が思い出される。ダックスは女だとかトリル人とかと言うことで、手加減しないようにいってあるという。※6怪我をしたことはというチュポックに、一度指を折ったことがある、打ち身はしょっちゅうだが小さな怪我ですというダックス。それに勝ったこともあるというダックス。ウォーフと戦闘を続けている。首元にメクラフが突きつけられた。恐くないんですねと聞くチュポックに、ウォーフの目に殺しの本能が浮かぶことがある、その気になれば殺すこともできるでしょうというダックス。でもそれは一瞬のことですぐに消えていくといい、負けを宣言した。
チュポックは、今朝ウォーフの個人的なデータベースから引き出した記録をご覧いただきたいとタララにいう。そのような捜査命令は出されていない、ウォーフのプライバシー侵害に当たると怒るシスコ。タララは認め、当局の命令、およびウォーフの許可なしに引き出した情報は証拠としては認められないとチュポックにいう。あいにく捜査命令は出ていませんからといい、ウォーフに見せてもいいかと頼むチュポック。隠すことでもあるのかという。挑発に乗るなと耳打ちするシスコに、ウォーフは隠すものなどありませんという。ウォーフは構わないといった。チュポックはダックスに、トンヴェイの戦い※7というホロスイートのプログラムを知っているか尋ねる。ウォーフがエンタープライズから持ってきたプログラムの一つですというダックス。クリンゴンの歴史的な戦いをそのまま再現したもので、ソンペック※8皇帝に率いられた1万人の戦士がトンヴェイという町を征服した。栄光ある戦いです、ウォーフがこのプログラムをする時どの人物になっていましたと聞くチュポック。ダックスはソンペックですと答える。でしょうな、征服者でありクリンゴンの誇る英雄ですとチュポックはいう。ソンペックがトンヴェイの町を征服した時、最後に下す命令はと聞く。ダックスはしばらく黙り、ウォーフの方を見た。お答えくださいとチュポックにいわれ、ダックスは町を焼き払い、市民は一人残らず殺せということをいった。兵士だけでなく、町の人々までをもですかというチュポック。民間人も、女性も、子供もだ。ではウォーフはこのプログラムで最後の命令を出しましたかとチュポックは聞く。それとこれとは話が違います、シミュレーションですというダックスに、質問に答えてくださいというチュポック。※9ダックスはあのプログラムを終わらすにはその命令を出さないと終わらないという。タララにイエスかノーで欲しいだけなのですというチュポック。タララにイエスかノーかといわれ、ダックスは仕方なくイエスですと言った。思った通りです、ウォーフはクリンゴン戦士であり艦隊士官と同じ道徳精神はもちあわせていないというチュポック。我々と同じ殺人者だ、羊の群れのオオカミだという。異議を訴えるシスコ。タララはチュポックに言葉を慎むように言う。この証人には後一つだけ聞きたいことがある、ウォーフがこのプログラムを最後に使ったのはいつですかと聞くチュポック。ダックスは受け取ったパッドを操作し、今回の任務に出かける前日ですといった。前日ですか、任務の前の日とはとチュポックはいう。そして質問を終えた。

※2: トゥララ T'Lara (デボラ・ストラング Deborah Strang) ヴァルカン人。4つ星なので階級は大将

※3: Ch'Pok (ロン・カナダ Ron Canada TNG第113話 "The Masterpiece Society" 「遺伝子操作惑星」のマーチン・ベンベック (Martin Benbeck) 役)

※4: ディファイアントは確かに戦艦ではありますが、starship を相変わらず戦艦と訳しています。後にも同じ間違いがあります

※5: Pentath system

※6: これ以降、回想シーン内で述べる個所があるためこのように色を変えます

※7: The Battle of Tong Vey

※8: Sompek

※9: この時以降のシスコの階級章に注目。なぜか星3つの中佐のものになっています


シスコに質問するチュポック。今回の任務でウォーフにディファイアントの指揮を任せましたね、どのように任務を説明しましたかと聞く。
ウォーフに説明するシスコ。ペンタス3※10にあるカーデシアの植民地で、ルデリア熱※11が発生した。カーデシア政府は救援部隊と医療物資を送る予定だが、ペンタス星系はクリンゴンの領域に近く襲撃を恐れている。ペンタス星系は戦略的にみても重要です、襲撃の可能性は高いというウォーフ。カーデシアには船団を守るための十分な戦艦がない、保護を要請してきたカーデシアに、宇宙艦隊は人道的な見地から要請を受け入れたと話すシスコ。来週早々ペンタス3に向けて7船団が向かうが、各船団に1隻宇宙艦をつけるのだ。ディファイアントは第6船団を担当する、君に指揮を任せようと思うというシスコ。なぜウォーフを選んだのか聞くチュポック。ウォーフは非常に経験が豊富な士官で、今回の重要な任務もこなせると考えたというシスコ。経歴は素晴らしいし、クリンゴン人をよく理解しているという。
心配ではありませんでしたか、ウォーフは勇猛なクリンゴンの戦士で、戦いと見れば飛びついてしまい任務を忘れてしまうのではというチュポック。心配なら最初から任務を命じたりしないとシスコは言う。ウォーフに今回の任務の性格を徹底しましたか、つまり人道的な見地から救援するのであって戦いを求めていくのではないという点ですがとチュポックが聞く。もちろんと答えるシスコ。チュポックの質問は以上だという。タララはシスコに、被告の弁護人でもあるため何か付け加えたいことがあれば発言を許可するという。シスコは現時点はありませんといった。次の証人が呼ばれる。
バーのカウンターにいるクワーク。あれは夕方の5時ごろだったか、コップを拭いていました、ベシアがカウンターにいてダボガールのエサリアと話していたという。ベシアはワームホールが開くのは見たことがあるか聞いている。クワークは待ったといい、エサリアじゃなくグライディアだという。違うな、あれはミディアかというクワーク。質問と関係ないことはというチュポック。クワークは思い出した、ロリディアで相手はモーンだったという。そしてモーンはロリディアにこう話しかけたという。
※12本題に戻って頂けませんかというチュポック。わかりましたといい、コップを拭いている時にウォーフが来たという。
ウォーフがやってきた。それは特別変わった珍しいことですかと聞くチュポック。いいえうちの常連です、でもすごく機嫌が良かったというクワーク。珍しいことか聞かれ、クワークはクリンゴン人が機嫌がいいことなんてまずめったにないという。だからって無愛想で嫌な種族というわけじゃありませんという。チュポックはそれからウォーフはどうしましたかと聞く。クワークは飲み物を注文した、プルーンジュースでそれから話をしたという。クワークが聞いていた護送船団の任務の話をすると、ウォーフは自分がディファイアントを指揮するといったという。どんな態度でしたかとチュポックに聞かれ、難しい、感情を表に出さない人だから、口数が多い人でもないしというクワーク。チュポックは任務を恐れているようでしたかと聞く。クワークがいいえと答えると、気がはやっているようでしたかという。気がはやるという感じとは違う、クワークはこう聞いたという。もしクリンゴンが船団を襲ってきたらどうするんだとウォーフに聞く。ウォーフは何ともいえない顔になり、コップを下に置き、クワークを見据えてこう言ったという。「望むところだ」。では、結局はウォーフ少佐の望む通りになったというわけかというチュポック。質問は以上ですといった。

※10: Pentath III

※11: Rudellian plague

※12: 惜しい!^^;


オドーに捜査の進行状況を聞くシスコ。民間船の船長は、軍隊経験はなく家族や友人によれば穏やかな性格で、現在の仕事に不満もなかったというオドー。突然ディファイアントを攻撃するような男には思えない。船が本来のコースを離れて戦闘区域に迷い込んできたことについては、フライトプランを確認したところ本来のコースもすぐそばだとオドーは言う。操舵ミスで入ってきたという説明も嘘だとはいえないという。ディファイアントの正面で遮蔽を解除した点については、誰も答えられなかった。答えられないのか、答える気がないのかというシスコ。オドーはなぜかみんな喜んで答えてくれる、でも警官の質問に進んで答える手合いは信用できないという。シスコは船の乗客について調べるように頼む。ウォーフ個人や連邦を恨む者が乗っていたかもしれない。船のコントロールを奪って攻撃したのかもしれない、もちろん推測だが今はわらでもつかみたいというシスコ。調べてみますというオドー。
オブライエンはディファイアントのブリッジにいる。敵は2隻いてバードオブプレイ※13がディファイアントを追い、旧式の巡洋艦が船団を攻撃していた。そして入れ替わって巡洋艦がこちらを攻撃してきた。右舷第3シールドがダウンしたというキラ。ウォーフは敵が船団から離そうとしている、左舷を敵に向けろと命じる。操作するオブライエン。戦闘は5分ぐらいで、巡洋艦はディファイアントを船団から引き離そうとしたが失敗、バードオブプレイが迫ってきたという。攻撃してくるバードオブプレイに反撃する。敵は遮蔽に入った。ダメージはないようですというキラ。一度姿を消しもう一度攻撃してくるのは、クリンゴンのよく使う手でしたというオブライエン。ウォーフがもう一度出てくるといい、座標を指定して量子魚雷の準備をするように言う。オブライエンはセンサーで辺りを調べ、正面に高濃度のタキオンを検知した。ウォーフは発射を命じた。魚雷が発射されたが、命中したのは民間船だった。それが民間船だと気づいたのはいつだったかと聞くシスコ。爆発した後でした、キラは民間船だわといった。
血が凍りました、すぐに生存者を探しましたが皆無でしたというオブライエン。シスコにウォーフの判断が正しかったかと聞かれ、判断には従いますと答える。民間船と知りつつ攻撃したように思えるかと聞くシスコ。少佐とはもう9年の付き合いになるが、名誉を知る男です、丸腰の相手を撃つとは思えませんというオブライエン。シスコは質問を終えた。チュポックは一つ聞きたいことがあるという。ウォーフの判断に従うといったが、賛成はしますかという。100%支持しますというオブライエン。判断に賛成するかということですとチュポックがいうと、指揮官じゃないから判断を批判する立場にないという。指揮官だったらどうしますと聞くチュポック。オブライエンはわかりませんと答えた。チュポックはオブライエンが艦隊に入って何年かを聞き、22年ですと答えるオブライエン。戦闘状態に遭遇したのは何回くらいと聞かれ、いちいち覚えていないが大体100か150回くらいと答える。チュポックは記録ではオブライエンの戦闘経験は235回に及び、15回も表彰を受けているという。宇宙艦隊における戦闘の専門家といってもいいでしょうというチュポック。タララに異議はあるか聞かれ、いいえと答えるシスコ。オブライエンに、ウォーフが負傷したらあなたが指揮を執ったのではと聞くチュポック。ありえますと答えるオブライエンに、ではそう仮定しましょう、あなたが指揮官ですという。
オブライエンは司令官席に座っている。クリンゴンのバードオブプレイを追っていくが姿が消えた、また出ると予想し部下※14に命令する。座標を指示し量子魚雷の発射準備をさせるオブライエン。船は回り込み、部下は真正面に高濃度のタキオンがあると告げた。そこで時間を止めてください、次の判断に全てがかかっていますというチュポック。スクリーンには今にも船が現れようとしている。あなたは攻撃しますかと聞くチュポック。そんな質問はずるいでしょう、仮定の話で私は指揮官じゃないというオブライエン。チュポックはそんなことは関係ない、正面に船が1隻現れた、正体はまだわからない、攻撃を命じますかと聞く。オブライエンはしばらく考え、いいえと答えた。でもそれは今だからこそ言えることかも、あの日だったらわかりませんという。それに指揮官には重圧がかかるというが、チュポックは微笑んだ。確かにそうでしょうねというチュポック。ウォーフは無表情のままだった。
プロムナードで席に座っているシスコのところに、ご一緒してもいいですかとチュポックがやってきた。無言で隣の席を指すシスコ。チュポックは今日の午後はウォーフに証言させるつもりですね、提案があるという。お止めなさい、ウォーフの身柄を引き渡すようにいうチュポック。誓って死刑にはさせません、私が彼の弁護に当たりますという。欲するのは闘いのスリルでどっちでもよく、それにウォーフの有罪は決定ですという。シスコは君が親切心からいっているとは思えない、狙いは連邦の立場を弱くし、船団の護送を止めさせペンタス星系をクリンゴン人が支配することじゃないのかという。こんな言い回しもあります、そんなことは朝飯前だというチュポック。朝飯前かどうかはまだわからない、やってみなければといい席を立つシスコ。去り際に今の話で一つわかったという。君はウォーフが証言台で何をしゃべるか心配なんだとシスコは言った。心配すべきはあなたの方でしょうにというチュポック。シスコは歩いていった。

※13: ただの戦艦と訳されています

※14: (クリストファー・マイケル Christopher Michael TNG第80話 "Legacy" 「革命戦士イシャーラ・ヤー」の連合の大尉 (Man #1) 役)


ウォーフとシスコが一緒に歩いてくる。シスコは先にウォーフを部屋に入らせた。オドーに吉か凶かと聞くシスコ。凶です、民間船の乗客にはウォーフに関係のある人物はおらず、船のコントロールを奪って攻撃を仕掛けてくるほど連邦に恨みを抱いているような者もいなかったというオドー。でもあきらめませんという。シスコは礼を言うが、ここに至ってはウォーフを救えるのはウォーフしかいないと言った。
ディファイアントにいるウォーフ。任務は初めの2日間は順調に進み、何回か遮蔽した船らしき亜空間の歪みを探知したが、何もなかった。トラブルの最初の兆候はと聞くシスコに、いきなりの攻撃だったというウォーフ。クリンゴンのバードオブプレイが遮蔽を解いて現れたというキラ。ウォーフはシールドを上げ、攻撃の準備を命じる。もう1隻旧式の巡洋艦が現われ、船団を追跡していくというオブライエン。ウォーフは追跡を命じた。
クリンゴンの襲撃と知ってどう思ったか、胸が躍ったかと聞くシスコ。もちろん、クリンゴン人なら戦いは生きがいですというウォーフ。戦えるチャンスかというシスコに、違います、個人的にどうであれそれが指揮官としての務めを怠ることはないというウォーフ。シスコはオブライエンが攻撃したことは間違いだったと述べたことを話し、どう思うと聞く。尊重します、オブライエンとは長年の同僚ですし、友人でもあります、しかしあの日の指揮官ではないと答えるウォーフ。事情が全く異なります、オブライエンは事故の後何週間も経ってから分析しているが、指揮官として起こりうるすべての事態に対して準備しなければならなかったという。民間船と出くわすことは予期していたかと聞くシスコ。ウォーフは民間船の航路が近くにあることは承知していたが、戦闘中にいきなり遮蔽を解除して現れるとはまさかという。だが船が遮蔽から現れたらためらわずに攻撃しようと思っていたという。民間船に乗っていて、君の攻撃で死んだ乗客のことを考えその上で答えて欲しいというシスコ。また同じ状況におかれたら、やはり攻撃するかと聞く。ウォーフはもちろんですと答え、もしあの時ためらい戦艦が現れていたらやられたのは我々の方です、船団も全滅したでしょうという。シスコは質問を終え、次にチュポックが行う。
チュポックはなぜ君は祖国で爪弾きにされているのかと聞く。カーデシア侵攻の際連邦側に付いたからだ、そのためにガウロン総裁は私と家族の名誉を奪ったというウォーフ。名誉にしたがって行動したのに重い処分を受けた、どんな感情が生まれたかとチュポックは聞く。怒りか、恨みかという。もちろん怒りを感じている、納得はいかないし不公平だと答えるウォーフ。チュポックは誰だって怒る、家は断絶になった上に弟は最高評議会から追われ、領地は没収され息子のアレキサンダーは裏切り者の子という汚名を着せられているという。クリンゴン帝国でどのように思われているかと聞かれ、憎まれていると答えるウォーフ。連邦側に付いたからか、原因はもっと深いところにあるのではというチュポック。それはどういう意味だというウォーフ。わからないのか、君は地球で人間に育てられ艦隊士官の制服を着ている、心の中でも帝国を裏切っていたのではないかねというチュポック。違うというウォーフ。その身は人間の中にあっても心はクリンゴンだというチュポックに、そうだと答える。ならなぜクリンゴンを攻撃したのかとチュポックは聞く。最初に撃ったのはそっちだ、私を攻撃する者はみんな敵だというウォーフ。チュポックはそれならばなぜ民間船を攻撃したことを悔やむ、死んだのは敵とその子供ではないかという。武器を持たず、自分の身を守れない相手を殺しても名誉ではないというウォーフ。チュポックは君は無力な相手には決して攻撃しないということかという。手は出さないと答えるウォーフ。では私の勘違いのようだ、君はやはりクリンゴンの心は持っていないらしいとチュポックは言う。真のクリンゴンなら敵の死に喜びを感じる、大事なのは勝つことだけだという。君は子供たちを思って泣いたかと聞くチュポック。暗澹たる気持ちだと答えるウォーフ。クリンゴンらしからぬ感情だ、彼らは戦場で死を迎えた、名誉ある死は称えられこそすれ、嘆かれるものではないというチュポック。君は彼らの死を侮辱していると叫ぶ。シスコは意義を求めた。タララがチュポックを止める。何とでも言えばいいというウォーフ。チュポックは連邦にとどまるのは祖国で暮らすのが恐いからだという。ウォーフは恐いのではない、もしお前に言葉ではなく剣を持って戦う度胸があるのなら、証明してみせるという。君はクリンゴン戦士と同じように、勇敢なところを見せたかったんだというチュポック。ウォーフは私はクリンゴンの戦士だという。感情的な発言は控えてくださいとチュポックにいうタララ。だからクワークに襲撃を待ち望んでいるといった、君は同胞の前で勇敢さを証明したかったんだというチュポック。いい加減にしなさい、法廷侮辱罪で逮捕しますよというタララ。チュポックはウォーフにすまなかったな、同情するという。一番哀れなのはアレキサンダーだ、いずれ大人になれば、自分は一体何者か疑問に思うだろうという。そうしたら教えてやれ、自分の勇敢さを同胞に証明するために子供の乗った船を撃墜した、臆病で小心者の息子だというチュポック。ウォーフはそれに耐えられなくなり、ついにチュポックを殴り倒してしまった。起き上がりながら、武器を持たない相手には手をあげないのじゃなかったかというチュポック。とんでもない話だ、怒ればすぐに手が出る、自分の強さを誇示したがると言った。チュポックは質問を終えた。


宇宙暦49665.3。審問は休廷に入り、タララ提督は自室で熟考している。だが情勢は明らかにウォーフに不利だ。オドーが部屋に入ってきた。吉報ですといい、パッドを手渡す。
タララが入ってくる。シスコは大丈夫だ、任せておけとウォーフにいっている。タララは鐘を鳴らした。シスコが話し始める。休廷のところお邪魔して申し訳ありません、重要な事実が判明したという。まずチュポックにクリンゴン帝国の専門家としてこの証拠を見てもらいたいというシスコ。タララはチュポックが嫌なら証言する必要はありませんという。戦場で会おうといったのは君だよなというシスコ。チュポックは証言台に座った。シスコは惑星連邦とクリンゴン帝国の現在の関係をどう考えるかと聞く。両者の政府間には公式な関係は存在していませんと答えるチュポック。我々をどう見る、非公式な味方か、非公式な敵かというシスコ。チュポックはどちらにも発展していく可能性はあるが、現時点ではどちらとも言えないと答える。面白い、すなわち現時点では互いに信頼しあうのは難しいというわけだなとシスコに言われ、難しいが不可能ではないというチュポック。困難を越えて信じあえることもあります、たとえば今回の事件は公平に裁かれると信じていますという。タララ提督は不正はしない方だというチュポック。提督を信頼しているのは非常に嬉しいし喜ばしい、しかしこの法廷の外では君は我々を完全に信頼してくれるというわけではないだろうというシスコ。チュポックは連邦と帝国とはもはや同盟関係にはないので、仕方のないところだという。では同様に我々が疑念をもつのも当然だろう、クリンゴンは自国の利益のためならためらわず連邦をだますだろうねとシスコは言う。チュポックは異議を訴え、質問はあいまいで仮定に基づいているという。クリンゴン帝国が連邦を欺こうとする状況を想像してくれないかというシスコ。私は想像力に欠けていましてというチュポック。その想像力を刺激してみようといい、この名簿に見覚えはといってパッドを渡すシスコ。チュポックはすぐに民間船に乗っていた犠牲者の名簿だと言った。441名いるが、彼らの名前と顔は私の心に深く刻み込まれていますというチュポック。臆病者の手にかかり無念の死を遂げた英雄たちだ、忘れるはずはありませんという。シスコは面白い顔ぶれだと思わないか、商人や軍人、芸術家、小売店主、子供たちもいる。経歴を調べて共通していることはただ一つ、たまたまこの船に乗ったということだというシスコ。これには賛成だろう、運命の手に導かれ、この441名は撃墜される船に乗り込んだという。運命というのは地球人の概念です、彼らはたまたま悪い時に悪い船に乗り込んだというチュポック。ところが彼らはまたやったというシスコ。チュポックはどういう意味かわからないという。シスコは3ヶ月前、あるクリンゴン民間船がガロルダプライム※15にある山岳地帯に墜落したという。絶望的な大事故で、誰もが生存者はいないと考えていたがなんと奇跡的に全員が助かったという。その船に乗っていた乗客を知っているかと聞くシスコ。チュポックはいいやと答える。シスコは本当かね、君が持っているのがその生存者の名簿だと言った。もちろん驚くのも無理はない、その名簿はこっちの名簿と同じだといってもう1枚のパッドを手渡す。ディファイアントに攻撃された乗客名簿と同じ、これは一体どういうことだと思うと聞くシスコ。ガロルダプライムで事故に遭った乗客者全員が、数週間後旅行に出かけ同じ船に乗ったということになる。船長とクルーも同じ、船も撃墜されてしまった。二度悲劇が続くなんて運が悪いと思わないかというシスコ。運の専門家ではないというチュポック。クリンゴン帝国の専門家だということはわかっている、ウォーフの撃墜した民間船は無人だったということはありえないだろうかとシスコは言った。ウォーフが遮蔽から出てくるのを見たのはセンサー映像を使ってうまく事故を演出してみせたのではないのか、そうすれば連邦唯一のクリンゴン人士官は大量虐殺の罪に問われ、連邦はカーデシア船団の護衛から撤退せざるを得なくなるという。どうかな、ありえないことだろうかというシスコ。チュポックは苦々しそうに、ありえますと言うのだった。
ディファイアントのウォーフの部屋に、シスコが入ってくる。オブライエンとベシアが、クワークの店でウォーフのパーティを開いていることを教える。知っています、でも考えることが多すぎてというウォーフ。チュポックの言う通りです、私は同胞に自分を誇示したかったんですという。法廷でチュポックを殴り、血を流して倒れた彼を見て悟ったとウォーフは言う。挑発されて思った、いいぞ、これでこいつを殴る理由ができた、目にもの見せてやると。クリンゴンの戦艦が襲ってきた時もそう思った、とうとう復讐のチャンスが来たと思ったのだ。任務を引き受けたのが間違いでしたというウォーフ。自覚してくれて安心したよ、引き受けたのが第1のミス、第2のミスは何だというシスコ。ウォーフは民間船が現れた時、攻撃する前にチェックするべきでしたという。その通りだ、近くに民間航路があると知っていたのに確認せずに攻撃するとはとシスコは言う。船とクルーを守るため軍事的決断を下した、しかし君は艦隊士官であり市民を危険にさらしてはならないという。そのために戦いのために負けたり、命を落としたりしてもだ。シスコはそれができないなら、その制服を身に付けることはできないという。ウォーフは了解した。楽にしてくれ、君はミスを犯したが現実には被害はなかったというシスコ。一人の子供も殺していない、運が良かったなという。運がいいとは思えませんというウォーフ。シスコはその気持ちがあれば心配ない、いずれ素晴らしい指揮官になるだろうという。行こうか、みんなが待っているぞと立ち上がる。このパーティは君一人のためだけじゃない、緊張が続いたからみんなも騒いでストレスを解消したいというシスコ。しかし騒ぐような気分にはなれませんというウォーフ。シスコは人の上に立つには笑顔も必要だ、笑うような気分でなくても部下を喜ばせ安心させてやれ、君の部下なんだから君が思いやってやらなければという。ウォーフはこの赤い制服を着ていると、人生複雑になりますねという。シスコはその襟に4つ星が付いてみろ、植物学者になれば良かったと思うぞというのだった。

※15: Galorda Prime

・感想
全編ウォーフの裁判が描かれますが、ところどころ証人の回想という形のシーンがあり、単調になりがちな内容に変化を与え楽しませてくれます。実際はウォーフが攻撃した船は無人でしたが、もしかすると本当に乗っていたかもしれないわけです。


dot

previous第89話 "Accession" 「選ばれし者の困惑」 第91話 "Hard Time" 「つくられた記憶」next
USS Kyushuトップ | DS9 エピソードガイド