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ヴォイジャー 簡易エピソードガイド
第63話「9歳のケス」
Before and After

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・イントロダクション
「生体活性チェンバー※1を作動」という声が聞こえた。光が走る。
目の前には男の子※2がいた。これでよくなるのかな、と話している。治療に専念したいから医療室から出てくれというドクター。だがその頭には、髪が生えている。隣に立っている制服を着た女性※3が、母のそばにいさせてという。細心の注意を要するから、人がいると気が散るんだというドクター。別の男性が、ドクターに任せて外に出ようという。わかったわといい、女性は歩いて行った。ドクターは話し始めた。今まで言わなかったが、覚えていてくれ、君は最高の友達だという。生体活性チェンバー作動準備、約5分後に開始すると命じた。再び光が走った。
先ほどの男の子が、おばあちゃん、目が覚めたかなといって近づいてきた。小さな箱を置き、プレゼントを持ってきたという。ケスおばあちゃんと呼ぶ。ベッドの上で目を開く、年老いたケス。

※1: bio-temporal chamber

※2: (Christopher Augilar) 声:水田わさび

※3: (Jessica Collins) 声:佐々木るん


・あらすじ
男の子はアンドリューという名で、孫だというがケスには記憶がない。ドクターは「ヴァン・ゴッホ」という名前を付けていた。生体活性チェンバーに入れられたことを話すが、ドクターはまだ使ってないという。チャコティは艦長になっている。ケスは 9歳で、老化のために記憶の 99%以上が失われている。チェンバーはケスの寿命を 1年ほど延ばすことのできる装置だという。ケスは寒がり始める。チェンバーに入れた後みたいだと不思議がるドクター。再び光に包まれ、ケスは今度は自室のベッドにいた。手元には赤ちゃんを抱いた自分の写真が置いてある。アンドリューは誕生日プレゼントを作っていた。以前医療室にいた女性はケスの娘、リニスだ。リニスの父親、つまりケスの夫はパリスで、さらにリニスの夫=アンドリューの父親はキムだった。また寒がり出すケス。光に包まれて現れた場所は、ケスの 9歳の誕生パーティだった。
ニーリックスは保安士官に、トゥヴォックは副長になっている。記憶の断片が他の人とずれていることをドクターに話すケス。ドクターが思い付いたばかりの生体活性チェンバーのことをケスが知っていたため、時間をさかのぼっているのか、未来を見通しているかのどちらかだ。記録を調べたケスは、5年前に放射能汚染されたことがわかる。それはパリスによると、「暗黒時代」の始まりで、クレニム人の攻撃によってヴォイジャーが壊滅的な被害を受けたのだという。その時にジェインウェイやトレスは死んだ。クレニムが使ったクロノトン魚雷によって、クロノトンに汚染されたことがケスの時間移動の原因かもしれない。だが再び時をさかのぼり、ケスはアンドリューが生まれた時にいた。半年戻っている。死に間際のケスが生体活性チェンバーに入ったことにより、体内に残っていたクロノトンが活性し、それで時間をさかのぼっているのだ。クロノトンを除去するには魚雷の正確な時間変動の数値が必要だが、センサーが壊れていたため記録には残っていない。このままだと、ケスは生まれる前の状態にまで戻ってしまうかもしれない。
時間移動を起こさないように、ケスは医療室の密閉フィールドに入れられる。しかし、それも効果はなくケスは再び時を越えた。そこはシャトルでケスが出産しているところだった。リニスが産まれた。ヴォイジャーはクレニム人の攻撃を受けていた。また時間をさかのぼり、クレニムの攻撃を初めて受けた時に戻った。その攻撃でジェインウェイとトレスが死んだ。
未来を見て来ているケスのアドバイスで、クレニムは撃退できた。ヴォイジャーに突き刺さったままのクロノトン魚雷のところへ、正確な時間変動を調べるために向かうケス。トリコーダーで数値を確認できたが、放射能の影響でケスは倒れる。だが再び時をさかのぼった。ドクターの髪もなくなっている、6年前、つまり 3歳の頃に戻ってきたのだ。時間変動の数値がわかっているため、生体活性チェンバーで反クロノトンをケスに照射し、クロノトンを中和することにする。だが治療中、ケスはまた時を越えた。ジェインウェイに船に置いてもらうようにニーリックスと一緒に頼んでいるところだ。さらに若返るケス。今度はオカンパ星の菜園の中にいた。
父親のベナランに何を言っても信じてもらえない。再び時間を戻る。母親のマルティスが出産している。ケスが産まれた。さらに戻り、胎内へ、細胞が一つに……そして真っ暗闇になった。だが、再び細胞分裂が始まる。胎内、出産。ケスはヴォイジャーでドクターの治療を受けていた。クロノトンは消滅した。ケスは記憶も取り戻したが、未来でパリスと結婚していたことは秘密にしていた。そしてクレニム人に付いての報告をまとめはじめた。


・用語解説など
パリスのセリフ「でもケスが放射能に汚染されたのは 3年も前のことだ」→「でもケスが残りのクルーと一緒に治療を受けたのは 3年も前のことだ」の誤り。クレニム人に襲われたのは、この時点より 5年前です
ニーリックスはケスが見た未来でも保安主任ではなく、officer つまり士官に過ぎません。それで最後のシーンで妙な訳になっています:「俺は主任じゃなくて部長になるかも」→「俺は士官じゃなくて部長 (=主任) になるかも」

ケスが見た未来の、チャコティ艦長は艦隊の階級章になっています。トゥヴォックは中佐、パリスは少佐、キムは大尉、リニスは階級章なし

「暗黒時代」= "Year of Hell"


(リニス・パリス)
Linnis Paris
(ベナラン)
Benaren
(Michael L. Maguire) VOY第33話 "Dreadnought" 「惑星破壊ミサイル」で言及。LDジャケットや一部資料ではエイミス (エイニス、Arnis) とされています。声:田中正彦
(アンドリュー・キム)
Andrew Kim
幼いケス
(Janna Michaels)
マルティス
Martis
(Rachel Harris)

モリロジアム
morilogium
ヤッソー
Yattho
クレニム人
クレニム Krenim
後にも登場 (!)
ジョー・ケアリー
ジョセフ・ケアリー Joseph Carey
VOY第1話 "Caretaker, Part I" 「遥かなる地球へ(前)」などに登場した、当初の臨時機関部長。ファーストネームが初めて言及
クロノトン
クロニトン chroniton
時間量子を搬送する亜原子粒子。TNG第124話 "The Next Phase" 「謎の頭脳改革」など
クロノトン魚雷
chroniton torpedo
モーツァルト
ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト Wolfgang Amadeus Mozart
(1756-1791) オーストリアの作曲家。TNG第134話 "A Fistful of Datas" 「ホロデッキ・イン・ザ・ウエスト」など
反クロノトン
antichroniton
レントゲン
roentgen
MEV
メヴ
百万電子ボルトの略

・感想
スタートレックでは比較的多い、「可能性の未来」を描いた話。今回は未来から過去へとさかのぼってくるという面白いアイデアを使っています。それぞれで描かれる描写は興味深いものが多く、楽しめます (特にパイロット版のシーンを再現しているところ)。リニス&アンドリューは、オカンパ人の血が混じっているので速く成長しているということを忘れないようにしないと、混乱するかもしれませんね。クレニムのくだりは、後のエピソードへの複線にもなっています。


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