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ヴォイジャー 特別エピソードガイド
第76話「時空侵略戦争」(前)
Year of Hell, Part I

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・イントロダクション
1日目※1。科学の発展した惑星。地表上には多数の建物があり、道路や高速鉄道が走っている。そこに上空の船の影が映った。巨大な船の先端からビームが発射された。市街地を直撃する。ビームを受けたところを中心に光が広がっていく。跡には、建物や道路はなかった。緑の木々と、土だけが残される。
コンピューターの画面上で、何本もの複雑な線が移動し、ある形になって静止した。「時空侵略完了。全有機体および人造物は消滅しました。」 異星人※2が報告する。中央の椅子に座った、同じ種族の男※3が尋ねる。「連続体を調べろ。目的は達成されたのか?」
「いいえ。作戦は失敗です。信じられません。何ヵ月もかけて計算したというのに。」
「そう焦るな。根気よく続けるしかない。ザール※4の植民地を消しただけでは、わが帝国の復活とはいえん。もっと視野を広くもつのだ。ザール星へ向かう。その間に中心点を割り出せ。我々は全てを消滅させねばならない。全生命体、全分子を。」

※1: 画面に "Day 1" と表示されます

※2: (John Loprieno) 声:内田直哉

※3: (カートウッド・スミス Kurtwood Smith 映画 ST6 "The Undiscovered Country" 「未知の世界」の連邦議長、DS9第106話 "Things Past" 「秘められた過去」のスラックス (Thrax) 役) 声:池田勝

※4: Zahl

・本編
※5星雲。ジェインウェイが話している。「宇宙…偉大なる未知の世界。ついにその一部を解明できる日がきたのね。ハリー。」 映像の倍率が下がり、銀河系全体が映し出された。さらにその上に線が描かれる。チャコティ:「かつて地図や地球儀、レーダーや亜空間センサーができる前、船員は星に導かれていた。我々も原点に戻るんだ。ヴォイジャーのやり方でな。」
「キム少尉とセブン・オブ・ナインが艦隊とボーグの知性を融合させ、新しいテクノロジーを生み出したの。全クルーを代表して、ぜひこの言葉を言わせてちょうだい。ありがとう。」 部屋※6に集まった上級クルーから拍手が起こる。「それでは、お手並み拝見といく?」 笑いが起こる。説明するセブン。
「このセンサーは同時に 30億個の星の放射性フラックスを測定し、そのデータを基に船の位置を算出できる。」
キムが続ける。「この星図作成技術は、現在のものより 10倍正確です。セブン、例のデータを。」
セブンが操作すると、画面上に赤い線が表示された。キム:「地球への新たなコースです。」
セブン:「この軌道に乗れば、あなた方の旅は 5年短縮できる。」
ニーリックス:「俺たちの旅だ。よくやったぞ、セブン。」
トレス:「でもほんとにそのコースで大丈夫? 途中に Mクラスの惑星があるわ。」
セブン:「その通りだ。空間グリッド 005、第1種族はザール。」 一部の区画が拡大され、種族の領域が色分けされて表示される。
トゥヴォック:「種族に関する情報は?」
「技術水準は高いが凶暴性はない。かなり友好的な種族だ。」
チャコティ:「話は以上だ。みんな仕事に戻ってくれ。」 みんなが帰ろうとした時、ドクターが口を挟んだ。
「あの、ちょっとよろしいでしょうか。スピーチを用意してきたのです。私が初めて起動したのは宇宙暦 48315。ふと気がつくと、この修羅場のヴォイジャーにいました。すぐに壊滅すると、思ったものです。争い合い、憎しみ合い、みんなが首を絞め合っていた。しかし今はみんなの成長を非常に嬉しく、また誇りに思っています。同僚として、また友として。」 うんざりしているパリスは「はい拍手」という。ジェインウェイたちも帰ろうとするが、構わず話し続けるドクター。
「このヴォイジャーのクルーが真の家族になり得るなどと、一体誰が想像できたでしょう。宇宙艦隊、マキ、クリンゴン、タラクシア人、ホログラム、ボーグ、パリス君までが一丸となって闘ってきたのです。言い変えれば、我々は喜びも苦しみも分かち合ってきた訳だ。私の最高の思い出を披露したいと思います。皆さんも思い出してみて下さい。私がここの生活の中で一番…。」 通信が入った。
『ブリッジから艦長。』
「ジェインウェイよ。」
『交信あり。左舷前方に宇宙船です。』
チャコティ:「今いく。」
「じゃこの続きはまた後で」というドクターを残し、全員出ていった。

スクリーンに映し出された船が、武器を発射する。保安コンソールのラング※7が「攻撃をしかけてます、艦長」という。代わりにコンソールについたトゥヴォックが報告する。「小さな船です。生命体は 15名。ワープ技術は低く、武装もわずか。威嚇ではありません。」
「回線をつないで」と命じるジェインウェイ。スクリーンに船の司令官※8が映し出された。「ごきげんよう。我々が何かしました?」と尋ねるジェインウェイ。
『ただちに船の針路を変更するのだ。ここはクレニム※9領で、戦闘域だ。お前たちには関係ない。』
「ここはてっきりザールの領域だと思ってましたわ。」
『ザールなどに権利はない。奴らは我々から不当に奪ったのだ。変更しなければ、直ちに破壊する。』
トゥヴォックをチラリと見るジェインウェイ。「大変失礼ですが、あなた方の船の武装では、我々のコースは変えられません。話し合いなら喜んで応じさせて頂きます。」
『話し合いも妥協もする気はない。』 通信が切れた。「退却しました」というトゥヴォック。
笑いを抑えるチャコティ。「負け犬の遠吠えってやつだ。」
ジェインウェイ:「何か考えがあるのよ。警戒警報発令。コースは維持して。ザールに聞いてみるしかないわね。」

4日目。ヴォイジャーと 2隻の船が相対している。会議室でジェインウェイたちに話すザール人※10。「あなた方がザール領にいる限り、我々の友人です。クレニムの暴挙は、私からお詫びします。」
「何ともありません。それより、教えてくれませんか? なぜクレニムは、ここを自分たちの領域だと?」
「確かに昔はクレニムに占領されていた。時空科学に基づいた兵器を所有し、権力を欲しいままにしていました。しかし一世代前、我々は彼らとの戦いに勝って、武力を一掃し、かつての領域を取り戻したのです。しかし彼らは未だにあきらめきれず、この辺をうろついてる。困ったものです。今度は、ヴォイジャーの話を。たった一隻で遥か故郷を離れ、一体どんな冒険を?」
キムから通信が入る。『ブリッジから艦長。会議中すいませんが、クレニム船が艦長と話をしたがっています。』

ブリッジに入り、クレニム人司令官に話しかけるジェインウェイ。「お呼びかしら。」
『我々の警告を無視した上、今度は我々の敵と手を結ぶ気か。』
「今すぐ出て行かないと、船ごと貨物船で送り返すぞ」と警告するザール人。ジェインウェイは抑える。「やめてちょうだい。信じて。あなたたちに敵対するつもりはないわ。」
警告音が鳴った。キムが報告する。「艦長、空間の歪みが襲ってきます。正体は不明。5光年に渡り現在も拡大中。」
トゥヴォック:「発生源を探知。ザール星付近の船からです。」
ザール人:「何?!」
「どうやら、巨大な時間エネルギー体らしい。時空衝撃波の一種のようです。」
ジェインウェイ:「トム。」
パリス:「ワープフィールドが不安定です。エンジン停止!」
「シールド最大。主要システム確保。全員衝撃に備えてちょうだい。」
ザール船に衝撃波が迫る。波が通るのと同時に、2隻の船は消えてしまった。同じようにクレニム船を通過するが、今度は消えずに巨大な船に変貌した。次はヴォイジャー。船自体は変わらないが、衝撃波と同時にブリッジにいたザール人が消える。そしてブリッジには非常警報が発令され、蒸気が吹き出している。
倒れた士官の首元に触れるチャコティ。「死んでます。」
報告するトゥヴォック。「シールド、17%。クレニム、攻撃開始。」 船が揺れる。「呼びかけです。」
ジェインウェイ:「でしょうね。スクリーン、オン。攻撃を受けるようなことをしたかしら。」
司令官が椅子の上でふんぞり返っている。『我々の領域にいること自体、十分挑発行為だ。』
「散々話し合いを求めたけど、そちらからの答えは攻撃だけでした。」
『素性を述べたまえ。』
「ジェインウェイ艦長です。連邦宇宙艦ヴォイジャー…」
『それで、ジェインウェイ艦長、我々の領域を侵した理由は何なのかね。』
「故郷へ戻りたいだけよ。あなたの領域を通らせてもらえれば…」
『だめだ。クレニム帝国※11に降伏しろ。お前の船を押収したい。これ以上、傷が大きくなる前にな。直ちに降伏するのだ。そうすれば、クルーの命を助けてやってもいいぞ。』
「そんな脅しに屈するつもりはありません。」
『では力尽くで奪うとしよう。』 交信が終わった。ジェインウェイは命じた。「全クルーに告ぐ。戦闘体勢に入れ。覚悟して。これからは地獄になるから。」


※5: タイトル表示は "Year of Hell" のみですが、このサイトでは便宜上わかりやすくするため "Year of Hell, Part I" で全て統一しています

※6: 天体測定ラボ Astrometrics Lab
VOY第74話 "Revulsion" 「生命なき反乱」から触れられていました。このエピソードで初導入

※7: Lang (Deborah Levin) VOY第58話 "Blood Fever" 「消えた村の謎」などにも登場。声:児玉孝子

※8: (ピーター・スラッカー Peter Slutsker TNG第72話 "Menage a Troi" 「愛なき関係」のニボア (Nibor)、TNG第148話 "Suspicions" 「新亜空間テクノロジー超フェイズシールド」のレーガ博士 (Dr. Reyga)、TNG第174話 "Bloodlines" 「怨讐の彼方に」のデイモン・バータ (DaiMon Birta) 役) 声:手塚秀彰

※9: Krenim
VOY第63話 "Before and After" 「9歳のケス」より

※10: (リック・フィッツ Rick Fitts TNG第112話 "Violations" 「記憶侵入者ユリア星人」のドクター・マーチン (Dr. Martin) 役) 声:津田英三

※11: クレニム帝権 Krenim Imperium

トゥヴォック:「敵は魚雷を発射。衝撃まで 3秒。」
ジェインウェイ:「回避行動をとって。」 揺れるブリッジ。
キム:「第2船体に直撃!」
チャコティ:「なぜ奴らの魚雷はシールドを破れるんだ。」
クレニム艦から再び魚雷が発射された。ヴォイジャーに命中する。トゥヴォック:「彼らの兵器はクロノトン※12仕様です。時空兵器なので、シールドは効果ありません。」
ジェインウェイ:「戦闘には退却する勇気も必要だわ。ワープ6 で脱出。」
パリス:「ワープ6。追跡はされてません。」
「被害報告。」
トゥヴォック:「負傷者 15名。メインパワー停止。第7・第8デッキの環境制御システム停止。コンピューター停止。」
「ミスター・キム、センサーは何か生きてる?」
キム:「短距離だけです。」
「副長、24時間戦闘体勢に入って。トゥヴォック、クロノトン魚雷※13を分析して情報を集めてちょうだい。何とか、シールドを修復したいの。次の攻撃までに、間に合うように。」

クレニム時空兵器艦※14。艦長のアノラックス※15が置物を見つめている。チャイムが鳴った。「入れ。」 部下のクレニム人がやってきた。「閣下、予想通りです。ザール星が時空の中心点でした。既に時空侵略は完了。帝国は完全復活です。」
「完全?」
「はい閣下。」
「もし宇宙の星を全て数えろといったら、完全に数えられるか?」
「閣下?」
「今回の成果は十分だ。ある意味成功と言えるかもしれん。だが完全とは言えん。言葉は選べ。慎重にな。」
「以後気を付けます。」
「正確な結果は?」
「クレニム帝国は力を回復しました。我々の領域は 849の有人惑星を含む、5,000パーセクにまで及んでいます。」
「反勢力は。」
「ご心配なく。高等種族の反乱も、未知の病気も皆無です。帝国領の回復率は 98%に達しています。我が種族は再び栄え始めました。」
「それで、キアナ・プライム※16の植民地も、取り戻せたのかね。」
「いいえ閣下。このタイムラインでは、そこまで手が及びません。」
「……では失敗だ。次の侵略の数値を出したまえ。」
「閣下、我々は不可能を可能にしたばかりです。98%の復活ですよ。ここでまた欲を出せば、全て無にしかねません。すぐにこの武器を処分し、国家を建て直すべきです。」
「だめだ。全ての植民地、全ての固体、葉の一枚に至るまで取り戻すまではな。」
「それでは我々の任務はいつまで経っても完了しません。閣下、これまで挙げた成果でよしとすべきです。この 200年の中で初の快挙なのですから。」
「まだ不十分だ。」
「失礼を承知で言います。多くのクルーが閣下の決断に疑問を抱いています。常に完璧を求めるのは、非現実的だ。閣下、領域を 100%取り戻すことは不可能です。今後 10世紀分の時空連続体を操れたとしても、起こり得ません。」
「ステーションに戻り新たな数値を算出しろ。わかったかね。」
「はい閣下。」
「呆れたものだ、オブリスト※17。何年ここにいる。まだ時間を型にはまってしかみられんのか。ここでは不可能などありえん。我々はこの船にいる限り、時空によって守られている。任務遂行のための時間は、永遠にあるのだ。」
「わかりました。」

32日目。ヴォイジャーは攻撃を受けている。
ジェインウェイ:「反撃開始!」
トゥヴォック:「武器システムダウン。今回のシールド修復は失敗しました。」
チャコティ:「敵もかなりのダメージを受けています。船尾シールドダウン。チャンスです。」
パリス:「反撃するなら今だ。」
キム:「どうやって。フェイザーバンクは消失。魚雷発射管も不能です。」
ドクター:『ドクターからブリッジ。医療室のパワーがオーバーロード。至急機関部員をよこして下さい。』
チャコティ:「待っててくれ。ハリー、止められるか。」
キム:「無理です。既に手遅れだ。デッキの半分が、5分以内に吹っ飛びます。」
「ドクター、患者を連れて来てくれ。ブリッジより全クルーへ。第5デッキから緊急避難せよ。」
ジェインウェイ:「魚雷は後いくつ残ってるの?」
トゥヴォック:「11本。」
「うち 4本を装填。発射管を開いてスタンバイ。4発まとめてお見舞いしてやるわ。」
「了解。」
「トム、腕の見せ所よ。クレニム艦を 5,000メートル以内までおびき出して。」
パリス:「お任せを。」
「ほら急いで!」 ドクターが通路でクルーを急がせている。「早く! もう少しだ。がんばれ。」 コンピューターの音声が流れる。『警告。構造崩壊まで 3分。』
トゥヴォック:「魚雷装填完了。」
パリス:「射程内です。」
ジェインウェイ:「トゥヴォック、発射。」
順番に 4つの魚雷が発射された。クレニム艦に命中、船は大爆発を起こした。
衝撃で揺れるブリッジ。「命中!」 喜ぶパリス。オプスコンソールで警告音が鳴っている。調べるキム。「第5デッキのコンジットがオーバーロード。30秒で吹き飛ぶ!」
先頭を走っていた士官がジェフリーチューブの入口に来た。「みんな急いで! 早く開けてくれ」というドクター。次々と中に入っていくクルー。『警告。構造崩壊まで 20秒。』
ブリッジに緊張が走る。
キム:「あと 15秒です!」
『警告。構造崩壊まで 10秒。』 全てのクルーを先に入れ、ドクターはジェフリーチューブの扉を閉めようとする。だが、向こうから 2人のクルーがやってくるのが見えた。『警告。構造崩壊まで 5秒。』「早く!」 女性士官はもう一人の男性士官と共に、こちらへ向かってくる。『4、3…』 2人を見つめるドクター。『2、1…』 ドクターは扉を閉めた。
右舷後方から爆発が起こり、第5デッキの部分を横方向に隔壁が吹き飛んでいく。衝撃はブリッジをも襲った。椅子から投げ出されるジェインウェイ。「報告!」
キム:「第5デッキ、セクション 10から 53まで…崩壊。」
「負傷者は?」
トゥヴォック:「今入りました。12名です。重傷者多数。ドクターが食堂に仮説医療室をつくっています。2名が命を落としました。」
「非常警報解除。保安部員を招集して各デッキを一つずつ回り、全ダメージの報告をしてちょうだい。作戦室にいるわ。瓦礫の山だけど。ブリッジをお願い。」

荒れた作戦室に入るジェインウェイ。ガラクタの中から使える道具を見つけ、手にとる。ドアチャイムが鳴った。「どうぞ。散らかってるけど。」
チャコティは言う。「アカデミー時代の私の部屋よりはましですよ。」
「何か考えが?」
「あなたは気に入らないでしょう。」
「でも押し通すんでしょ。壊れてる。」 黒くなった個人用コンソール。
「はっきり言って、作戦は失敗です。シールドの修復に期待をしたが、効果は発揮できなかった。」
「今はね。でもできる。攻撃を受ける度にクロノトン兵器の情報を集めるのよ。」
「そんなことを続けてたら、その前にヴォイジャーがなくなる。」
「選択の余地はないわ。」
「いえ、あります。」
「私のやり方に反対?」
「直ちに船から脱出すべきです。クルーを何班かに分けて、脱出ポッド※18、シャトル、それぞれで逃がすんです。運が良ければ、クレニム領外で合流できます。」
「その後は?」
「まだ考えていませんが、少なくとも生き残れる可能性は増します。」
"Abandon ship? The answer's no. I'm not breaking up the family, Chakotay. We're stronger as a team... one crew, one ship. The moment we split apart, we lose the ability to pool our talents... we become vulnerable... we'll get picked off one by one. Now I say we make our stand... together"

「船を放棄する? それはできない。家族をバラバラにする気はないわ。チームでいるから強いの。独りじゃ何の力ももてない。バラバラになれば個人の能力を結集させる機会を失い、私たちは弱り、一人ずつむしりとられるだけだわ。全員一丸となって闘うしか、道はないの。」
「正直私も気乗りがしなかったんです。」
「ヴォイジャーが形を留めている限り、逃げはしない。」
「わかりました。これは無事だったようだ。どこへ?」
「幸運のカップね。ここに。」 船が揺れた。パリスの通信が入る。『非常警報。攻撃を受けました。左舷前方にクレニム艦。』 2人はブリッジへ戻った。テーブルの上に置かれた「幸運のカップ」は、振動して床の上へ落ち、粉々になった。


※12: chroniton
素粒子。TNG第124話 "The Next Phase" 「転送事故の謎」など

※13: chroniton torpedo
VOY第63話 "Before and After" 「9歳のケス」より

※14: Krenim temporal weapon ship

※15: Annorax
ジュール・ヴェルヌの小説「海底二万里」のキャラクター、Pierre Aronnax 教授にちなんで名づけられたようです

※16: Kyana Prime

※17: Obrist
この前編では訳出されていません

※18: escape pod
壊滅的な事故を起こした宇宙艦などの宇宙艇から脱出するために使われる小型救難船。映画ST2 "The Wrath of Khan" 「カーンの逆襲」など

47日目。停止したターボリフト。「いつになったら出られるのかしら」というトレスに、「落ち着いて。ゲームに戻ろう。グレイス・ケリー。泥棒たち。リヴィエラ。作品名と、主演男優名」というキム。
「『泥棒成金』。」
「当たり。」
「クラーク・ゲイブル※19。」
「ブー、はずれ。ケイリー・グラント※20だ。」
「ホログラフで 2回観たけど、クラーク・ゲイブルだったわ。」
「イニシャルが同じだから混同してるんだよ。ケイリー・グラントだ。」
「もう 20世紀の娯楽クイズはいいわ。私の番。カテゴリーは…スポーツ選手。」
「どうぞ。」
「有名なスポーツ選手。パリシススクウェア※21。優勝決定戦。あー、論争を呼んだ判定。」
「ムコタ・ルチョー※22。初のクリンゴン人選手で、2342年の決勝戦。レフリーが彼のチームにペナルティを課し、ルチョーが絞め殺した。」
「お見事だわ。」
「僕はスポーツオタクだからね。次は恒星間の歴史なんてどう?」
「ったく、アカデミーで落としそうになった科目を選ぶなんて。いいわよ、次。」 激痛に耐えるトレス。
「大丈夫?」
「ちょっと痛むだけ。……もう何日もいるみたい。」
「まだ 6時間だよ。がんばるんだベラナ。すぐに救急員が助けに来る。全く、何やってんだ!」
「下らない質問ごっこを続けて、気を失ったら相手できなくなるわよ。」
「わかった。あー、有名な船の名前。ワープが発明される前。えー、モンタナ、それから、第2段階…あと、ケミカルエンジン。」
「ほかには?」
「えー、ヴァルカン星、地球、ファースト・コンタクト。」
「あー、わかった、わかった。あー、ゼフレム・コクレインの船よ。何て言ったっけ。喉まで出かかって…」 再び痛みがトレスを襲う。
「いいよいいよ、ほら横になって。クイズはもう終わりだ。」
「嫌よ。絶対思い出すわ。」
物音がした。扉の間に棒が入れられ、開けられる。セブンだ。「中尉、少尉。」 「やっと来たわね。ターボリフトに何が?」と尋ねるトレス。
「19のメインパワーリレーが打撃を受けた。ターボリフトは全て停止している。」
「第11デッキのジェフリーチューブへ、EPSも被害を受けたはずよ。」
トレスを補佐して歩くキム。「セブン・オブ・ナインに行ってもらえばいい。君はドクターに診てもらうんだ。」
「わかったわ。」
「フェニックス」というセブン。
キム:「え?」
「さっきの質問の答えだ。キム少尉が言っていた特徴は、フェニックスのものだった。」
「驚いたな。君が地球の歴史に詳しいとは。」
「そうじゃない。ボーグが詳しかったのだ。」
「へえ。」
「理由はいろいろあるが、またの機会にしよう。」※23
「ええ、そうしてよ」とトレスは言った。

「横断隔壁です。全デッキ、全セクション間に非常用フォースフィールドを張れば、大規模な亀裂が起きても被害の拡大が防げます。」 ヴォイジャーの構造図の前でジェインウェイに説明するチャコティ。
「感謝するわ。」
「礼ならミスター・パリスに。彼の発案です。」
パリス:「大昔のタイタニック号※24からヒントを得たんです。タイタニック号の設計者は、特殊な隔壁を作ってました。蜂の巣のようにです。すると致命的な亀裂でもダメージを軽減できる。つまり船体の半分に浸水しても、沈没しないのです。」
ジェインウェイ:「タイタニックは、沈んだんじゃなかった?」
笑うパリス。「あの頃より、技術は進んでます。」
「いつかは歴史をかてに、何かやってくれると思ってたわ。ご苦労様。」
通信が入る。『ドクターからパリス中尉。』
「パリスだ。」
『すぐに食堂に来てくれ。負傷者が跡を絶たない。』
「すぐ行く。今日はモテモテだ。」 パリスはターボリフトに乗った。

ジェフリーチューブの階段を降りるセブン。スイッチを押しても扉が開かないため、手動で開ける。中に入ったセブンは、先の方に赤い光を発する物体があるのに気づいた。近づくと、それは壁から突き出ており、煙を発している。トリコーダーで調べ、コミュニケーターに触れるセブン。「セブン・オブ・ナインからトゥヴォック。」
『トゥヴォックだ。』
「第11デッキ、セクション2 のジェフリーチューブに不発のままクレニムの魚雷が撃ち込まれている。信管は現在も作動中。」
『分解を試みるな。私が行くまで、そこを動かないように。』
「了解。急いでくれ。」

混雑した食堂の中で、ニーリックスも負傷者の手助けをしている。横になったトレスの治療をするパリス。「内出血は止まったよ。もう大丈夫だよ。」
「それって、正式な診断?」
「約束だよ。」
まだ苦痛の声を上げるトレス。「そんなに痛むかい?」 パリスはトリコーダーで調べる。
「大丈夫。」
「脊柱が砕けてる。治療してみよう。」
ドクターが呼んだ。「ミスター・パリス、手伝ってくれ。」
「待ってくれ。」
「今すぐだ、中尉。」
「すぐ戻る。動くなよ」とトレスに声をかけるパリス。医療キットを持ってドクターのところへ行く。
「一応言っておくが、患者はベラナだけじゃない」というドクター。
「苦しんでるんだ。」
「だが命に別状はない。医療の第一条件は生命維持だ。次へ移れ。感情を断ち切るのが一番だ。でないと判断を誤る。」
「了解。」
「今後も友人が次々と運ばれるだろう。耐えられなければ、ほかの助手を探す。出てけ。」
「『医者よ、まず自分を治せ。』」
「どういうことだね。」
「一番感情的になってんのはドクターでは?」
ドクターは話し始めた。「数週間前、第5デッキのコンジットがやられる寸前、廊下のつきあたりでストリックラー少尉※25とエマニエル※26乗組員を見た。2人がジェフリーチューブへ向かって来たので、私はハッチを開け、できるだけ 2人を待った。だが時間が尽き、私はハッチを…閉めたのだ。」
ドクターの隣へ行くパリス。「さぞ辛かっただろうな。」
「そんなことを言ってるんじゃない。私が決断を迷い、ハッチを閉めなければ、全クルーが死んでいた。肺組織をやられてる。インアプロヴァリンを。」

セブンと共に魚雷を調べるトゥヴォック。「もしも無理に移動させたり、転送したりすれば、間違いなく爆発する。」
「分解は。」
「無理だ。信管が不安定になっている。2分以内には爆発するだろう。非常用パワーをこのジャンクションに接続し、レベル10 のフォースフィールドを張れば、爆発を吸収できる。急ごう。」
「もしもこの魚雷の時空差を割り出せれば、対応可能なシールドを張ることができる。」
「時間がない。」
「こんなチャンスは、二度とないはずだ。」
「これは命令だ。行くぞ。」 セブンの腕をつかむトゥヴォック。
「分析完了。時空差 1.47マイクロセカンド。」
「よくやった。だが今度私の命令に逆らえば君を…」
魚雷から異常な音が出始めた。セブンを先に行かせ、盾になるトゥヴォック。爆発を起こす魚雷。炎が迫る。


※19: Clark Gable
(1901〜1960) 「或る夜の出来事」(1934)、「戦艦バウンティ号の叛乱」(1935)、「風と共に去りぬ」(1939) など。IMDb

※20: Cary Grant
(1904〜1986) 「愛のアルバム」(1941)、「孤独な心」(1944) など。IMDb

※21: parrises squares
人気のあるスポーツ。TNG第15話 "11001001" 「盗まれたエンタープライズ」など
「ブリージズスクウェア」と吹き替え

※22: M'Kota R'Cho
キムとトレスは「プロ」の選手について話しているようです。TNG "11001001" ではウォーフがやっています

※23: このあたりの話はもちろん、映画第8作 "Star Trek: First Contact" 「ファースト・コンタクト」より。ちなみに映画の公開は 1996年11月22日で、このエピソードの放送日は 97年11月5日でした

※24: Titanic
あの映画「タイタニック」の公開は 1997年12月

※25: Ensign Strickler

※26: Emmanuel
階級は訳出されていません

65日目。「艦長日誌、宇宙暦 51268.4。今朝の襲撃で第11デッキのパワーグリッドが破壊。負傷者はいないが、レプリケーターシステムに深刻なダメージを受けた。現在は非常用食料を支給。結局状況は以前より悪化したことになる。環境制御システムは故障個所を広げ、7個所のデッキで生活することができなくなる。クルーを移動させざるを得なくなった。船もクルーも限界に達している。一体何が最初に破綻をきたすのか。ヴォイジャーのシステム、クルーの士気。とにかく今は一丸となり、共通のゴール、生還を目指すしかない。」
クルーに食料を配るニーリックス。狭い部屋の中で床につくキムやパリス。ブリッジも梁が落ち、辛うじて使えるといった状態だ。
懐中時計。「誕生日おめでとう」というチャコティ。作業をしているジェインウェイは「誕生日?」という。
「今日は 5月20日だ。」
顔を上げるジェインウェイ。「そう。まだ 4月かと思ってた。時間の感覚がないの。」
「じゃあ、丁度良かった。」
時計を受け取るジェインウェイ。「綺麗だわ。」
「19世紀に作られたものらしい。英国海軍のクレイ艦長が付けていたクロノメーターだ。彼の船は太平洋で台風に遭った。生存者はいないと思われていたが、8ヶ月後、クレイ艦長の船はロンドンに帰って来た。船は損傷し、帆も半分。だがクルーは無事だった。」
「気持ちは嬉しいけど受け取れないわ。悪いけど、無駄なエネルギーを使える余裕はないはずよ。」 時計を返すジェインウェイ。
「キャスリン、数ヶ月前にレプリケートしたんだ。誕生日のためにね。」
「このエネルギーで、ハイポスプレーや食べ物を作れる。このエネルギーが生死を分ける日が来るわ。」
チャコティはその場を離れた。

洗面台の前で、剃刀を濡らして頬につけるトゥヴォック。ふいに動きを止め、あごをさすった。前の鏡にはひびが入っている。剃刀を置き、手探りで布を取り、血をぬぐうトゥヴォック。チャイムが鳴り、「入れ」という。セブンが「任務報告にきました、少佐※27」という。
「何の報告だね。」
「通常任務の後で、ディフレクターコントロールに来て欲しい。時空シールドに関して、あることに気づいたのだ。」
再び髭を剃り始めるトゥヴォック。「素晴らしい。」
「損傷している。」
「少し切っただけだ。」
「よければ、その作業をアシストしよう。」
「自分の仕事をしろ。私は一人で平気だ。」
「同意しかねる。一人では危険だ。」
「髭剃りは、命を脅かす作業ではない。」
椅子から立ちあがり、壁をつたって歩き始める。「それで、何に気づいたのだ。」
「クレニム魚雷の時空差を、我々のシールドに応用するには、ディフレクターアレイの数値を、時空差の逆数に設定すればいい。」 ブーツをトゥヴォックの前へ置くセブン。
それを履くトゥヴォック。「素晴らしい。ディフレクターの準備は。」
「もうできている。だが、まだテストはしていない。」
「通常任務はいい。ディフレクターコントロールへ急ごう。」
セブンの腕をつかむトゥヴォック。

トゥヴォックを補佐しながら、廊下を歩くセブン。隣を歩いていく女性士官が、「セブン」と声をかけていった。「少尉」と返事するセブン。
「友達か」と尋ねるトゥヴォック。
「いや、同室者だ。ボーグとして、多くと共生することには慣れているが、一人の人間と暮らすことの方が、よほど難しい。」
「理由は。」
「ブルックス少尉※28は怠慢なのだ。部屋は常に雑然とし、服は脱ぎ捨てたままだ。」
「いかにも。地球人は自分の身の回りのこととなると、非常に無頓着になる。」
「同感だ。」
黄色の艦隊制服を着たニーリックスがやってきた。「ヴァルカン君※29、戦略上の質問をしても?」
「言いたまえ。」
「艦内のセキュリティセンサーの修理が終わりましてね。後は声を入れるだけなんスが、何て入れます? 『侵入者警報』、それとももっとこう大袈裟に、『警告、侵入者発見!』とか。『侵入者がいるぞ! 危険! 危険! 侵入者がいるぞ!』」
「『侵入者警報』、これにしたまえ。」
「ああ、これまた地味な。了解しやした。」 歩いていくニーリックス。トゥヴォックはセブンに言った。「君も、早く慣れることだ。」
警報が鳴り、チャコティの声が響く。『全クルー、戦闘体勢に入れ。クレニム艦が接近中。繰り返す。全クルー、戦闘体勢に入れ。』 慌ただしくなる通路。「ディフレクターコントロールに行って、シールドを稼動させろ。実戦で試す。」 壁づたいにあるいていくトゥヴォック。

額の汗をぬぐう、操舵席のパリス。ブリッジに入ったトゥヴォックはコンソールについた。「コンピューター、触覚接続、稼動。」 手を使って状況を確認する。
チャコティ:「武器の状況は。」
「フェイザーは無事です。魚雷発射管は使用不可。」
パリス:「クレニム艦、目視領域内に入りました。」
ジェインウェイ:「スクリーン、オン。」
トゥヴォック:「セブンの時空シールドが、間もなく稼動可能になります。」
キム:「戦艦です。」
ジェインウェイ:「いつもの通りよ。」
パリス:「回避体勢に入ります。」
キム:「コースを合わせてます。」
チャコティ:「できるだけおびき寄せろ。ブリッジからセブン・オブ・ナイン。シールドはどうだ。」
トリコーダーを操作するセブン。「スタンバイ。」
キム:「武器を装填してます。」
ジェインウェイ:「セブン、今こそボーグが重要視する効率性を発揮して。」
コンピューターの設定を続けるセブン。
パリス:「敵を振り切れません。」
キム:「ブリッジを狙ってます。」
セブン:「時空シールド、オンライン。」
キム:「撃ってきました。」
チャコティ:「右に旋回しろ。」 1発目は避けたが、2発目がヴォイジャーに命中する。
揺れるブリッジ。「時空シールドは維持。ダメージなし」と報告するトゥヴォック。
ジェインウェイ:「交信。」
「回線がつながりました。」
「クレニム艦に告ぐ。こちらヴォイジャーの艦長。既に気づいてると思うけど、こちらはあなた方の魚雷をかわした。もうあきらめた方がいいんじゃない。」
無言。「応答なし。」
「残念だわ。船体反転。どんなことをしても彼らの領域を通ってみせる。」

アノラックスの時空兵器艦が、惑星へ近づく。オブリストが報告する。「ガレナー星の領域に入りました。」
「時空座標セット。全パワーを兵器へ。ガレナーの種族を消滅させるのだ。」
「ターゲット、時空中心点。セット。」
「発射!」
船からビームが発せられ、地表を直撃する。惑星の色が変化した。衝撃波が広がる。
「時空侵略完了しました。」
「成分の痕跡は。」
「減少中。」
「反勢力は。」
「今のところなし。全有機体および、人造物消滅。」
「衝撃波がこの星系を抜けるのを追跡しろ。タイムラインの変化をチェックしておきたい。逐一な。」
「了解。」

報告するトゥヴォック。「艦長、クレニムの戦艦が追跡中。武器システムは作動していません。」
鼻で笑うジェインウェイ。「自慢の武器をかわされたんでどうしていいかわからないんでしょう。」
キム:「艦長、空間の歪みがこちらに向かっています。センサーは探知不能。正体を特定できません。」
チャコティ:「発生源は。」
「わかりません。現在位置からおよそ 20光年離れたところです。時空構造内に生じる衝撃波のようです。」
ジェインウェイ:「トム、脱出して。」
パリス:「あれを追い越すのは無理です。」
「時空シールドが守ってくれるわ。全員、衝撃に備えて!」
衝撃波がヴォイジャーを通過していく。シールドが作動している。軽く揺れるブリッジ。「おっしゃる通りです。時空シールドに守られました。衝撃波は既に通過」というトゥヴォック。「艦長!」 スクリーンを凝視するキム。
衝撃波がクレニム戦艦を通過するのと同時に、船の形が変わり、小さいものになってしまった。
チャコティ:「報告。」
キム:「クレニム艦です。船体の特徴が一致。生物構造波も同一。しかし、規模も火力も半減してます。」
ジェインウェイ:「さっきの戦艦は?」
パリス:「長距離センサーでも探知できません。」
チャコティ:「空間全体が変えられてしまったようです。前回チェックした時は、クレニムの植民地と船隊で一杯でしたが、現在植民地は一個所もなく、クレニム船も数えるほどしかいません。」
ジェインウェイ:「ハリー、衝撃波の全データを天体測定ラボに転送してちょうだい。」
キム:「了解。」
「セブンをラボに来させて。」
チャコティ:「艦長、ラボは数日前深刻なダメージを受け、機能してません。」
「だったらすぐに直して。クレニム帝国が消滅したようね。トラブルが去って一安心だけど、理由を知りたいの。」

アノラックスに報告するオブリスト。「異常事態です。クレニム帝国が前ワープ時代に逆戻りしてしまいました。」
「そんな馬鹿な。計算は完璧だった。」
「手がかりを探知。20光年先で時空の異常が発生。宇宙船です。」
「宇宙船?」
「成分 049ベータ。艦名はヴォイジャー。」
「非常に低レベルな船だ。そんな船に時空フィールドを起こせるはずがない。」
「しかし事実です。おかげで我々の計算を狂わされました。」
「そこに急行しろ。」


※27: 訳出なし。"Lieutenant" (「大尉」) と呼んでいるような…

※28: Ensign Brooks
(Sue Henley VOY第60話 "Darkling" 「ドクターの内なる闇」の少尉役。同一人物と考えてもよいと思います) 訳出されていません

※29: お決まりの言い方ですが、「ミスター・ヴァルカン」と吹き替え。"Mr. Vulcan, sir." といっているので訳しにくいですが

70日目。天体測定ラボ。セブンがコンソールを操作している。「センサーオンライン。パワーレベル安定。」
「天体測定ラボのデータベースは?」と尋ねるジェインウェイ。
「無事だ。」
「時空の衝撃波がぶつかる前にスキャンしたデータを出して。」
種族の領域が表示される。「空間グリッド 005。」
「クレニム帝国だわ。200以上の星系、900以上の惑星、ワープ機能を備えた船は何万隻と……。それが衝撃波を受けて一変してしまったわけ? スキャンデータ。」
セブンが操作すると、一番大きかった緑の領域が縮小され、他の色が広がった。「空間グリッド 005。」
「同じ空間なのに全く違うわ。チャコティの言う通りね。帝国が擁する惑星は数える程度、船はまばらにしかないわ。誰かが、もしくは何かが…歴史を変えてしまったみたい。なぜ私たちは無事なの?」
「時空フィールドを張ったことにより、守られたんだろう。」
「うーん。でも疑問は残るわ。何よりまずなぜ衝撃波が起こったか。発生源を突き止められない?」
一つの星系が拡大された。「衝撃波は 20光年先から発散されてる。ガレナー星だ。」
「ガレナー? 3週間前に通ったはずよ。」
「もはや人類は住んでいない。」
「え?」
「このデータによれば衝撃波が通過した瞬間、ガレナーの種族は消滅した。」
「歴史から消された…。」
「艦長?」
「タイムトラベルには詳しいわけじゃないし、むしろ関わりたくないけど、これって時間循環のパラドックスみたい。聞いて。時空衝撃波が一つの種族を消し去り、結果として全ての歴史を変えてしまう。」
「興味深い理論だ。クレニムの仕業だろう。時空テクノロジーを所有してる。」
「でも、わざわざ自分たちを退化させると思う? きっとまだ何かが隠されているんだわ。ほかのデータを見せて。」 ヴォイジャーが揺れた。

ヴォイジャーの上に時空兵器艦が近づく。「船をスキャン。奴らの防御シールドはレベル9 の時空破壊を起こしています。」 オブリストの報告を受けたアノラックスは、「サンプルを集めろ。生命体 2体、それと船体の一部だ」と命じる。
「了解。」
「シールドを破壊し、奴らの船を時空侵略で消滅させろ。」

キム:「敵船体は別の時間の流れの中にいます。まるで時空の外に存在しているみたいだ。」
パリスが「スキャンされてます」と言った瞬間、彼と隣にいたチャコティは光に包まれ消えてしまった。
ジェインウェイ:「船をロックして。」
キム:「何度やっても、シグナルを分離できません。」
トゥヴォック:「呼びかけてます。」
ジェインウェイ:「スクリーン、オン。」
アノラックス:『所属を述べよ。』
「連邦宇宙艦ヴォイジャーの艦長、ジェインウェイよ。あなたは誰? 部下はどこへ?」
『クレニム帝国のアノラックスだ。お前の部下はサンプルとして、我々の船に転送した。お前の船は、この宇宙域のものではない。』
「地球から来たの。ここから 65,000光年離れた惑星よ。帰る途中なの。」
『なるほど。』
「この領域でいくつか、普通じゃない体験をさせてもらったわ。あなたの帝国が突然、姿を消してしまったのはなぜか教えてくれない?」
『お前らには関係ない。さらにだ。私はお前らに敵意を抱いてはいない。だがお前はミッションの邪魔をした。』
「ミッション? あなたにはタイムラインを変えた責任がある。」
『お前の故郷は遠い。ある意味、私も同じだが…故郷へ戻れるのは私だけだ。お前たちは無数の命を蘇らせるための、犠牲となってもらう。残念だ。』
通信が終わった。代理の操舵士官と席を替わるジェインウェイ。
キム:「巨大なエネルギー反応をキャッチ。何かの兵器のようです。」
ジェインウェイ:「シールドを張って。」
クレニム艦からのビームがヴォイジャーを包み込む。
セブン:「時空シールドが弱っている。」
キム:「艦長、エネルギービームがヴォイジャーを時空連続体の外に押し出してます。」
ジェインウェイ:「私たちを歴史から消す気だわ。」
セブン:「敵の推進システムをスキャン。敵船はワープ6 を超えるのを防いでいる。脱出できるぞ。」
トゥヴォック:「艦長、言っておきますが、構造維持フィールドはまだ直っていません。今ワープをすれば、ヴォイジャーのダメージは極限に達します。」
キム:「チャコティとトムは。」
ジェインウェイ:「後で戻りましょう。全員、外部セクションから退避。大規模な亀裂に備えよ。トゥヴォック、横断隔壁を作動させて。」
セブン:「時空シールドは停止。」
ジェインウェイ:「発進、ワープ7。」
キム:「追跡痕なし。」
トゥヴォック:「船体外部、破損。横断隔壁は無事です。」 大きく揺れるブリッジ。
ヴォイジャーの船体がボロボロと剥がれていく。

73日目。食堂に集まったクルーに話をするジェインウェイ。
「みんな今日までよくやってくれた。でも気力じゃもう船を維持することはできない。現実に目を向ける時よ。9つのデッキを失い、船の半分以上が破壊され、生命維持もままならない。ヴォイジャーはもはやクルーの命を守れないの。この家族を解散するような命令は、決して出すまいと誓ってたんだけど、でもここにいろというのは、死ねと言っているようなものなの。脱出ポッドに乗り込んでヴォイジャーから脱出してちょうだい。コースはアルファ宇宙域にセット。途中で必ず同盟国を見つけて、できるだけ速い船を確保し、地球へ向かってちょうだい。上級士官と私はできる限り船に留まり、何とかしてチャコティとトムを救い出すわ。脱出ポッドには私たちが追っていけるように、亜空間ビーコンが装備されています。もしも合流できたら、いえできる。必ず合流できる。その時は、ここにいる家族全員で、土産話に花を咲かせましょう。幸運を。」
次々とハッチが開き、脱出ポッドがヴォイジャーを離れた。全てのポッドが同じ方向へ向かう。



・To Be Continued...
・感想
かつてないほどの長い期間に渡ったエピソードです。「最後にどうなるか」というのはほとんど読めるのですが、ここまでボロボロになったヴォイジャーは哀れの一言。ハッチを閉めるドクター、プレゼントを断るジェインウェイ、失明したトゥヴォック。辛いですね。
やはり整合性を欠くのが "Year of Hell" という言葉も使われた、第3シーズン "Before and After" 「9歳のケス」との関わり。クレニム人やクロノトン魚雷が出てきた時に、一言あってもいいはず。ちなみに、このエピソードのセブンの役割は、本来はケスに割り当てられていたそうです。


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