Factory43's Best CD in 1996



1、Cooper 『No.2』  Out Of Step recs. CDW0053

Borders/Pose/Confessions/Locks/Irony/Hanging On The Telephone/Mosquito/Gerby/Grab/Modesty/Picture This/Too Soon

オランダの3ピースロックバンド。数枚のシングルリリース後の、これが2ndアルバム。音楽的にはパンクになるんだろうなあ、世間的には。新宿のユニオン辺りではメロコアのコーナーにあったし。ただし個人的には、非常に優れたギターロックアルバムだと思っていて、 実際これをGreen DayやBad Religionと同じカテゴリーの音楽としては聴けないなあ、やっぱり。Dag Nasty的ニュアンスやRamones風味もないし。それはともかく、この全編に溢れるパワーとポジティヴィティといったらどうだろう。力強いリズム隊の上で爆発するギター。 それを加速させる、中低音域をブートしたプロデュース。各所で多用される印象的なハーモニウム。そしてなにより、圧倒的に曲が良い! 個人的に愛聴しまくった初期Flopに通じる、パンクを通過したギターバンドの理想型がこのアルバムにはあると思う。
こういった素晴らしいバンドが、アメリカでもイギリスでもなくオランダから出てくるってのが、洋楽音楽雑誌における今の「ロック絶滅」状況を示していると感じる。もはやロックすら英米の時代じゃないのかも。オランダと言えばTechnoが有名なのだが、それにしてもNRAといいこのバンドといい、いいロックバンドも多いよなあ。


2、Out Cold 『Permanent Twilight World』  Kangaroo Recs. KR-010

Useless/Shot Dead/Long In The Tooth/Another Empty Nothing/What You Deserve/Pull The Trigger/No Point/Watch You Die A Sick Death/Hacked To Pieces/Falling Apart/Faster To Nowhere/Last Breath/Days Are Numbered/Beginning Of The End

マサチューセッツのHCバンド。Voが変わっての初マテリアルらしいが、とにかく「完璧」の一言。ほとんどの曲が1分前半の短さ。剛球一直線のドライヴするGに、酷い現実を告発するシニカル、かつ熱いVo。というと、どうしても後期Poison Ideaを彷彿としてしまうが(事実似てます)、それが気にならない格好良さ。ボリューム全開で聴いて暴れてやる、って感じですか(笑)。いや実際、「いっちょケンカしたろか」って刺々しい気分になるッス。とにかく「This Is the REAL Punk」な一枚。
これも、なぜかオランダのレーベルからのリリース。オランダ、恐るべし(笑)。


3、Aphex Twin 『Richard D. James』  WEA Japan WPCR-928

4/Cornish Acid/Peek 824545201/Fingerbib/Carn Marth/To Cure A Weakling Child/Goongumpas/Yellow Calx/Girl:Boy/Logan Rock Witch/Milk Man/Inkey$/Girl:Boy(£18 Snarerush Mix)/Beetles/Girl:Boy(Redruth Mix)

リチャード先生の4thアルバム。Technoというと、どうしてもアッパーイケイケ系のDance Floor向けに行きがちだが、それ以外のモノでは、ほとんど孤高といっていい一枚だと思う。とにかく何にも似ていない、完全なオリジナリティ。流行のDrum N' Bassをしっかり取り入れながらも、どう聴いてもそうは思えない、歪みきったポップ感覚。凄いッス。「音楽なんてノレて気持ち良きゃなんでもいいよ」という人には絶対に薦めないが、ここには新しいポップミュージックの姿がある。「良い音楽」でなく「凄い音楽」が聴きたい人に。


4、Weezer 『El Scorcho EP』  MCA Victor(Geffin recs.) MVCG-13033

El Scorcho/You Gave Your Love To Me Softly/Devotion

ご存じアメリカのロックバンド。2ndアルバムも良かったんだけど、シングルならではのトータル感でこちら。どうもPixiesフォロワーという印象が拭えなかったのが、このCDsのM-2で払拭。とにかく名曲です。


5、The Posies 『Amazing Disgrace』  MCA Victor(Geffin recs.) MVCG-197

Daily Mutation/Ontario/Throwaway/Please Return It/Hate Song/Precious Moments/Fight It(If You Want)/Everybody Is A Fucking Liar/World/Grant Hart/Broken Record/The Certainty/Song #1/? Will You Ever Ease Your Mind ?/Terrorized/Sad To Be Aware

アメリカン・パワーポップの雄、The Posiesの4thアルバム。3rd『Frosting On The Beater』があまりにも良かったのと、本作でいきなり曲も歌詞も甘いポップ部分を抑えて、かなりハードな内容に変わっていたことで、当初の印象は良くなかったんスけど(新メンバーのマッチョな雰囲気とか、インナーのオーディエンスに仁王立ちしてるKen?のライブ写真も、かなり抵抗あったなあ)。で、しばらく無理に(笑)聴いてるうちに、この渋さにズブズブハマっていったという感じッス。


6、Hybrid Children 『Uncensored Teenage Hardcore』  Rebel recs. MVCG-197

Intro:Things Could Be Worse...And Will Be/Boundless I.Q./We're Here To Secure The Peace/Life Goes On...Except For Those Who Die/Retual Foreplay/Black Leather Charm/We Can't Act No More/Would You Trade The Chance To Try Them All To Having Just The One/All Fun & No Work/Dying Young Is A Trend/Happiness Is A loaded Gun/Sorted Out/Get Yourself A Head/Play Alive/Social Whore

フィンランドのパンキッシュなハードロックバンド。多分これが2〜3枚目のアルバム、のはず。メタリックなGリフとHCのリズムがパワフルに合体した上に、コーラスを多用したメロディが乗るという「たまらん」パターン。特に「Life Goes On」の地味なリズムチェンジや、「All Fun & No Work」のGリフのズラし方は、渋いながらもイカしまくり。前作『Honeymoon In Babylon』より格段に良くなったプロデュースと、短めになってタイトさが増した曲も非常にグッドっす。


7、Electronic 『Raise The Pressure』  WEA International(Warner Bros. recs.) WPCR-791

Forbidden City/For You/Dark Angel/One Day/Until The End Of Time/Second Nature/If You've Got Love/Out Of My League/Interlude/Freefall/Visit Me/How Long/Time Can Tell/All That I Need

バーニーとジョニーの2nd。ゲストのKarl Bartosが何やってるのか分からないくらい、前作そのまんまな感じが良い(笑)。1stがなんとなく、New Order風エレポップにジョニーのギターを加えて無理にまとめようとしている感じがあったが、本作は開き直ったかのようにその2要素が曲ごとに分かれていて、これはこれで非常に良いと思う。本家New Order的なM-3、M-5も当然良いのだが、個人的にはプラスアルファが感じられる国内盤ボーナスのM-14が印象的。ジョニーがいなければこういう音は出ないんじゃないか、と思うんですが。カッコいいッス。


8、Descendents 『Everything Sucks』  Epitaph recs. 85481-2

Everything Sux/I'm The One/Coffee Mug/Rotting Out/Sick-O-Me/Caught/When I Get Old/Doghouse/She Loves Me/Hateful Notebook/We/Eunuch Boy/This Place/I Won't Let Me/Thank You

伝説の(笑)USメロディック・パンクバンドのリユニオンアルバム。とは言っても、昔のDescendentsの面影はほとんど感じられない内容で、パンク風なニュアンスよりもハードロック的なダイナミズムに溢れ、同名異バンドな感じ。往年の特徴だったMilo Aukermanのボーカルも声質・歌い方とも結構変わっているし、曲そのものもDescendentsよりも現バンドのAllに近いと言える。が、それでも良いものは良い訳で。とにかくキャッチーでパワフル、そして良いメロディ。時としてToo muchなギターソロやメタルフレイバーも許そう、という気分ッス。
インナーの、以前のライブ盤に比べてすっかりオヤジになったメンバー達の写真がイカス(笑)。


9、Pet Shop Boys 『Alternative』  Parlophone recs. 7243-8-34353-2-6

DISC1:
In The Night/A Man Could Get Arrested/That's My Impression/Was That It Was ?/Paninaro/Jack The Lad/You Know Where You Went Wrong/A New Life/I Want A Dog/Do I Have To ?/I Get Excited(You Get Excited Too)/Don Juan/The Sound Of The Atom Splitting/One Of The Crowd/Your Funny Uncle
DISC2:
It Must Be Obvious/We All Feel Better In The Dark/Bet She's Not Your Girlfriend/Losing My Mind/Music For Boys/Miserablism/Hey,Headmaster/What Keeps Mankind Alive ?/Shameless/Too Many People/Violence(Hacienda version)/Decadence/If Love Were All/Euroboy/Some Speculation

Pet Shop Boysのシングルの、M-2以降のアルバム未収録曲がいいっていうのはファンの間では定説になっていて、オレも未収録曲聴きたさに、せっせとシングルを集めていたんだけど...まとめて出やがんの(爆)。これでウチには要らないCDsが15枚ほど出てしまったぞ。プンプン。でも今では入手激困難な初期の「A Man Could Get Arrested」とかが聴けるのは単純に嬉しいッスけど。
それにしても往年のNew Orderを思わせる、キャッチーかつ下世話なメロディに乗せてシニカルで嫌な歌詞を淡々と歌うスタイルは、 最新アルバム『Bilingual』よりこっちの方が明確で格好良いと思うなあ。
あ、国内盤はLiveが1曲多く入ってるんで、買うならそっちかも。


10、Slayer 『Undisputed Attitude』  BMG Victor(American recs.) BYCP-920 (74321-37703-2)

Disintegration/Free Money/Verbal Abuse/Leeches/Abolish Government/Superficial Love/Can't Stand You/Ddamm/Guilty Of Being White/I Hate You/Filler/I Don't Want To Hear It/Spiritual Law/Sick Boy/Mr.Freeze/Violent Pacification/Memories Of Tomorrow/Rechard Hung Himself/I'm Gonna Be Your God/Gemini

「あのSlayerが初期HCのカバーアルバムを出す!?」という一点でインパクトバッチリ。基本は完コピだが、バリテク演奏とGを前面に出した超轟音プロデュースでカッコイイっす。特に序盤のVerval Abuseのカバーのブチ切れ度は壮絶。「Guilty Of Being White」の歌詞を勝手に変えたために歌の意味が正反対になっちゃって顰蹙、とか、自己評価と逆に「Violent Pacification」は原曲の方が絶対にカッコイイ、とかは許そう。
ただ、これがオリジナルならなぁ、というのが正直なところ。個人的には、ほとんどが聴き馴染んでる「懐メロ」の曲だしなあ。


番外、Spiral Life 『Freaks of Go Go Spectators2 "Sell Out"』  Polystar recs. PSCR-5450

Game Over(version)/Lovin' Song(Cardinal C4 Mix)/Why Don't You Come With Me?/Dub White(Zebco 44 Classic Dub)/100 Miles(Diplomat 601 Ver.)/I Wish/Infinity With You/Dream All Day(version)/Planet Queen/Love & Hate(Abu 1044 Mix)

「Freaks of Go Go Spectatorsの曲をスパイラル・ライフが演奏」というコンセプトの、スパイラル・ライフの実質ラストアルバム。初期のこのバンドはどうもフリッパーズギターっぽくて面白いと感じられなかったのだが、最末期の充実ぶりは凄かった。フリッパーズフォロワーのグループのほとんどが本家と同じく、Primal Scream的アーシーなロックか、French Pop方面に行ってしまう中で、このバンドだけがMy Bloody ValentineやUKエレポップの影響下で、轟音ギターと端正なメロディのカッコいい曲を作り続けた、と思う。
現在、車谷はAIR、石田はScudelia Electroとして活躍。全ては過去形、か。


番外、C.J. Bolland 『The Analogue Theatre』 Internal Recs. TRUCD-13/828 832-2

Obsidion/Pesticide/The Analogue Theatre/On Line/The Prophet/People Of Universe/There Can Be Only One/Kung Kung Ka/Counterpoint/Suger Is Sweeter

C.J.の最新アルバムにして、最高傑作。
ダンスフロア受けする曲も、チャート受けするトラックも、ハードでミニマルなリフも、美しいメロも、全てを内包した一枚。特に、M-1のちょっと抜けた感じやM-4の繊細で性急な展開、そしてFloor Anthemと言っていいM-9のキャッチーなハードさは、必聴ッス。面白いのは、意図的にかどうかは分からないが、各所に古い音色を使用している点。M-1のキックはArt Of Noiseの「Beat Box」まんまだし、M-9のドラムロールなんかNew Orderの『Sub-Culture』maxi-EPの頃のHi-NRGミュージック(笑)風だし。気になる。


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