熱心党員と


熱心党とはどんなグループか、もともと意味は「律法の為にむきになる人間」のグループでローマの支配によって律法がないがしろになる事に強烈に反抗したグループであってパリサイ派の最も過激なグループとも思われる。
熱心党の中の実行部隊として「短刀派の人」シーカリー部隊がおり、はじめヘロデ暗殺を企て10人の市民がテロを試みたが事前に捕まり拷問を受けて死んでいる。
熱心党を組織として確立させたのは、洗礼者ヨハネではないだろうか、イスラエルの70年戦争で中心的な役割をはたし、あの有名なマサダの戦いで消滅したグループである。
そしてイエスの弟子の1人に熱心党員シモンがいる、シモンは熱心党の中でも中心的役割を果たした人物である
もう1人裏切り者とされているイスカリオテのユダについて、イスカリオテも一種の熱心党である。
学者の研究ではイエスの弟子の4人ないし5人が熱心党のながれではないかとされている。
熱心党は洗礼者ヨハネの死によりカリスマ的な指導者を失って、それをダビデ王の末裔といわれたイエスに求めたのではないだろうか...
イエスは彼らに何と言ったのか...
あの有名な山上の聖訓を思い浮べてみたい、引用は全部ルカのテキストである

6−20さて、イエスは目を上げ弟子たちを見て言われた。「貧しい人々は、幸いである、/神の国はあなたがたのものである。
6−21今飢えている人々は、幸いである、/あなたがたは満たされる。今泣いている人々は、幸いである、/あなたがたは笑うようになる。
6−22人々に憎まれるとき、また、人の子のために追い出され、ののしられ、汚名を着せられるとき、あなたがたは幸いである。
6−23その日には、喜び踊りなさい。天には大きな報いがある。この人々の先祖も、預言者たちに同じことをしたのである。
6−24しかし、富んでいるあなたがたは、不幸である、/あなたがたはもう慰めを受けている。
6−25今満腹している人々、あなたがたは、不幸である、/あなたがたは飢えるようになる。今笑っている人々は、不幸である、/あなたがたは悲しみ泣くようになる。
6−26すべての人にほめられるとき、あなたがたは不幸である。この人々の先祖も、偽預言者たちに同じことをしたのである。」
6−27「しかし、わたしの言葉を聞いているあなたがたに言っておく。敵を愛し、あなたがたを憎む者に親切にしなさい。
6−28悪口を言う者に祝福を祈り、あなたがたを侮辱する者のために祈りなさい。
6−29あなたの頬を打つ者には、もう一方の頬をも向けなさい。上着を奪い取る者には、下着をも拒んではならない。

特に有名な6−29あなたの頬を打つ者は...
イエスはただ単に無抵抗主義を唱えたのではない、敵を愛しあなたがたを憎む者とはだれのことか
あなたがたとは熱心党員をたくさん含む民衆であり、あなたがたを憎む者はローマ人のことである
つまり熱心党員にたいして律法主義なり反ローマ主義を捨てさせる説教をしているのである。
イエスは熱心党の活動が勢力拡大していき、ローマとの対立が深刻な事態になれば、大国ローマは必ず大軍をおこして殲滅行動に出るであろうと予見していた。
われわれユダヤ人が神から与えられたユダヤの地で生きていけるのは、ローマ帝国の下につき隣国と協調していく道しかないだろう。
しかし、再三の説得にも関わらず頑固な反ローマ主義者はますます依怙地になり、イエスはむしろ諦めに近い心境になったのかもしれない

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