コンピュータ室運営日誌


11月のできごと

256色事件(11/1)
カラーOHPシートの作成(11/13)
学習発表会の招待状の作成(11/16)
カラーOHPシートの作成2(11/22)
小学校でのコンピュータ活用(11/23)
室内の整理整頓(11/27)
小学校でのコンピュータ活用2(11/29)

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  256色事件
 11月1日。デジカメで撮った秋の遠足の写真をhtml形式で編集し,写真集を作成しました。児童用の各パソコンにはあらかじめインターネットエクスプローラがインストールされていますから,写真集をサーバに保存しておけば,それぞれのパソコンから自由に閲覧できるようになります。

 早速,できあがった写真集をサーバに保存してみることにしました。WindowsNTserver は使ったことはなかったけれど,ファイルマネージャを使って適当にやってみたら,何となくできたようです。マニュアルをパラパラめくりながら,関係ありそうなところを調べてみると,どうやら「共有ディレクトリ」とかいうものをつくれば良いようです。よくわからないけれどファイルのアクセス権も一応無制限(FREE)にしておきました。試しに児童用パソコンのインターネットエクスプローラから呼び出してみたらうまくいきました。

 次に,これまで256色だった児童用各パソコンの色数を,画面のプロパティから,16ビットカラー(65536色)に変更しました。これもうまくいきました。16ビットカラーに変更したことによって「キッドピクススタジオ」の起動時「256色をおすすめします」と言うようなエラーメッセージが出るようになりましたが,動作に支障は無いようなので,この件は後で先生方に報告することにして作業を続行することにしました。

 最後に,ショートカットを作成し,スタートメニューに登録し,いつでもすぐに呼び出せるようにし,作業は完了です。

 翌日,コンピュータの時間に子供たちに見せたところ,とても喜んでくれ,ハイパーテキストの画面を自由に操作して楽しんでくれました。

 ところが,その翌日,「キッドピクス」の起動時に出るはずの「256色をおすすめします。」の表示が出なくなっています。画面のプロパティで確認したところカラーパレットが256色に戻ってしまっています。遠足の写真集は,256色では見られたものではありません。もう一度16ビットカラーにして調べてみると,またいつのまにか256色に戻ってしまいました。何度やっても同じです。調査の結果,私の学校のパソコンは,3度目の起動時に必ず256色に戻ってしまうことを発見しました。

 業者に連絡し,来校してもらって調べてもらいましたが,原因はわからないということでした。マルチメディアの時代に,私たちは256色のままで使い続けなければならないのでしょうか。



  カラーOHPシートの作成
 11月13日。私は,園芸委員会の担当をしています。園芸委員会とは,児童会の組織の一つで,花を育てたり,植物に親しんでもらうよう啓蒙活動を行う組織です。私に園芸は全く似合いませんし,望んだわけでもありませんが,とにかく園芸委員会の担当をしています。

 その園芸委員会が主催して,全校集会を開くことになりました。そこで,色々な花を全校児童に紹介するため,花の写真のOHPシートを作成することにしました。

 ありがたいことに,私の学校のコンピュータ室には,イメージスキャナ,フィルムスキャナ,デジカメ,カラープリンタなど,必要な機材はすべてそろっています。それに,それらの機材の使い方を知っている先生は,ほとんどいないので,使い放題です。校庭に咲いている花はデジカメで撮り,見あたらない花は図鑑の写真をイメージスキャナで取り込むことにしました。インクジェットプリンタ用のOHPシートも,近くのパソコンショップで購入してきました。

 ところが,それらの機材の接続状況がちぐはぐです。イメージスキャナとフィルムスキャナは,サーバパソコンに接続されていますが,カラープリンタは教師用パソコンに接続されています。デジカメの写真は,PCカードかシリアルケーブルを使って取り込めますが,PCカードスロットはありませんし,パソコンの後ろ側は,覆いがされていて,はずすのが面倒そうです。それにシリアル転送は時間がかかるのでやる気がしません。(この前行った遠足の写真のHTMLファイルの作成は自宅のノートパソコンで行いました。)

 このような接続状況ですから,カラー印刷を行うためには,サーバに保存したデータを教師用パソコンに転送する必要があります。この前サーバに保存した遠足の写真のhtmlファイルは,偶然にも,他のパソコンのブラウザから呼び出せるようになりましたが,適当に色々やったので,どうやったかはっきり覚えていません。今度もちゃんとできるかどうか不安でしたが,とにかくやってみることにしました。

 作業環境は,サーバがペンティアムの 200メガヘルツでメモリが96MB,イメージスキャナはEPSONのGT9000ですから,作業はストレスなく快調に進みました。写真保存用に作成しておいたディレクトリに,取り込んだ画像をどんどん保存していきました。シリアル転送がいやなので,デジカメを使うのは結局やめにしました。

 ところが,というか,心配したとおり,サーバに取り込んだ画像を,教師用パソコンから呼び出すことができません。もちろん私の勉強不足が原因ですが,困りました。この前は適当にやってもできたのに,今度は適当にやったらできません。教師用パソコンからは,この前作った遠足の写真のディレクトリしか呼び出せないのです。

 結局,この前運良く認識できた遠足の写真集のディレクトリに,花の写真のファイルを移して作業を続け,無事OHPシートを作成する事ができました。カラープリンタから印刷された花の写真のOHPシートは,とても綺麗で,満足のいく出来映えで,集会でもまずまずの評判だったようです。

 サーバのディレクトリを,クライアントから呼び出せるようにすることぐらい,できる人には簡単なことなのでしょうが,これまでスタンドアロンでしか使ったことのない私にとっては,とても難しく思われます。(マニュアルも分厚いし用語の意味もよく分かりません。)

 WINDOWS NTの勉強をもっとしなければと痛感した1日でした。


  学習発表会の招待状の作成

 11月16日。私の学校では,もうすぐ学習発表会(学芸会のようなもの)が行われます。そこで,クラスの一人一人の子供が,父母に向けて,パソコンで作った招待状を出すことにしました。

 これまでのコンピュータの学習は,お絵かきが中心でしたが,今度は文字もたくさん入力します。ワープロソフトに絵を貼り付けるか,お絵かきソフトに文字を入力するか迷いましたが,綺麗な飾りや枠を入れてカラフルなものを作らせたかったし,お絵かきソフトの方が子供たち(小学4年生)が抵抗なく取り組めそうでしたから,お絵かきソフトを使うことにしました。

 そこで,「メディアルーム」というマルチメディア作品を制作するソフトのお絵かき機能を使って,招待状を作成することにしました。

 実際に作業を始めてみると,子供たちは,今回かなり苦戦しました。日本語入力は,「キッドピクス」の作品に自分の名前を入れるときに練習しただけです。ですが今度は,タイトル,日時やプログラム,父母への言葉など,たくさんの文字を入力しなければならないからです。慣れない子供たちにとっては,文字一つ探すのも一苦労です。それでも,子供たちは,相談したり,助け合いながら熱心に取り組んでいました。

 苦労した末にできあがった作品が,プリンタから出力されたとき,どの子供も満足感にあふれた笑顔をしていました。

 結局,35人全員の招待状が完成するまで,計3時間もかかってしまいましたが,日頃の教科の学習では味わえない貴重な経験ができたと思います。
 


  カラー0HPシートの作成2
 11月22日。この前園芸委員会の集会のために作った花の写真のOHPシートが好評で,早速,保健の先生から,今度の保健の集会のために「歯と歯ぐき」の写真のOHPシートを作ってほしいと頼まれました。

 前回,私の勉強不足から,サーバの設定で少々手こずったので,しっかり学習しておきました。たまたまコンピュータ教育の研修会があったので,その研修会の内容とは直接関係なかったけれど,ずうずうしくインストラクターの人に教えていただいて勉強しました。

 サーバの方は,ディレクトリを共有にして,アクセス権をフルコントロールにしておき,クライアントの方はネットワークドライブの設定で,そのディレクトリを指定しておけば簡単にできることが分かりました。

 今度はうまくいきました。ですが,虫歯や歯肉炎の写真ばかりですからちっとも綺麗じゃないし,面白くありませんでした。


  小学校でのコンピュータ活用

 11月23日。私の学校にコンピュータ室ができてから,もうすぐ3ヶ月になります。これまでの使用状況を調べてみると,毎週欠かさず使っているクラス,はじめのうち積極的に活用していたものの最近はほとんど使っていないクラス,最近になってよく使うようになったクラスなど,様々です。全体的には,最近コンピュータ室の使用回数はやや下降線をたどっているようです。

 そこで,これまでの活動の見直しとこれからの活用方法を考えていくために,全学級(19クラス)の担任の先生を対象にアンケート調査を行いました。

 主な質問項目と解答は下記の通りです。今年は「コンピュータ教育元年」ということで,教師も子供もコンピュータに「触れ,慣れ,親しむ」ことを目標にしていますので,このことを考慮してアンケート項目を作成しました。解答の方法は質問1・2が,選択式で,質問3が記述式です。

質問1「コンピュータの授業に興味を持って取り組んでいる児童はどのくらいいますか。」

 すべての学級が「ほとんど全員」と答えていました。
質問2「子供たちの,知識・技能の定着度はどうですか。」

 コンピュータやソフトの起動終了,お絵かきソフトの操作などは,おおむね定着しているようです。ファイルの保存・呼び出しや印刷については半分程度,日本語入力についてはまだ実施していないクラスが多く,ほとんど定着していないようです。
質問3「現在,指導を進める上で困っていることはどんなことですか。」

 「コンピュータの授業を行うと教科の学習が遅れてしまう。」「自分自身が初心者なので自信を持って教えられない。」「トラブルが起こったとき対処できない。」などの解答がありました。

 アンケートの結果を見ていると,子供たちは,コンピュータの授業にとても興味・関心を抱いていることがうかがえます。それに対して,教員の側は,「コンピュータの授業を行うことによって教科の授業が遅れてしまう。」「コンピュータの操作方法がよく分からない。難しい。」との理由で,やや消極的になっていることがうかがえます。
 
 コンピュータの操作については,徐々に経験を重ね,時間がたてば解決していく問題かもしれませんが,「授業の遅れ」の方は,深刻な問題です。本当は,各教科の授業の中で,コンピュータを活用する場面を見つけだしていく(あるいは創り出していく)ことが理想なのですが,現実はそうもいきません。すぐに教科の授業で使えるソフトはなかなかありませんし,あったとしても,それを効果的に活用していくには十分な授業研究が必要だからです。

 この問題はまだまだ時間がかかりそうです。



  室内の整理整頓
 11月27日。最近帰宅するのが遅いです。ずっとコンピュータ室にこもっています。今や夜のコンピュータ室は私のプライベートルームです。理由は3つあります。

 1つ目は,本業の教員としての仕事がたまっているからです。これは,暇なときに遊びすぎた自分が悪いのだから仕方がありません。

 2つ目は,私が加入している2つの研究会の研究集録の原稿の締め切りが,それぞれ月末と来月初めに迫っているためです。これも数ヶ月前に分かっていたにもかかわらず,今までほとんど手をつけてなかった私が悪いので仕方がありません。

 3つめは,一太郎7のせいです。私の学校のコンピュータは,PC9821V13の一太郎+ロータス123のセットモデルですが,9月初めに納入されたため,一太郎はVer.6.3です。

 その一太郎のVer.7への無償バージョンアップの期限が11月末なので,急いでユーザー登録カードを送らなければなりません。まあジャストシステムのお姉さんは優しいので(以前通販で期限切れのものを注文したり,間違えて購入したもの返品したときにを快く対応してもらえました。),1週間や2週間は大目に見てもらえると思いますが,やはり期限までに出した方が安心です。そこで,この際一太郎をはじめとして,いままでほったらかしにしておいたすべてのユーザー登録カードをこの際送ってしまおうと思ったのです。ついでに,色々なマニュアルや付属品等を一度きちんと整理しておこうと思いました。

 とはいうものの,なかなか,というか,とってもたいへんな作業のような気がしてきました。

 何しろ21台あります。セットモデルですから,登録カードだけでも,21台それぞれについている本体,WINDOWS95,一太郎,ロータス,駅すぱあとなどの登録カードのほか,数種類の教育用ソフト,LANボード,メモリやプリンタなどの周辺機器の登録カードなど,ざっと思い浮かべただけでも300枚以上はありそうです。

 とにかく,最初からの箱に入ったままのV13シリーズの付属品を,種類別に分ける作業から始めました。セットモデルを購入した経験がある方なら分かっていただけると思いますが,箱の中には付属のCD−ROMやフロッピーディスク,マニュアル,補足説明,諸々のチラシなど,数十種類もの付属品が入っています。それが21台分あるのです。それらを箱から取り出し,並べ始めたら,たちまちコンピュータ室内の床は付属品で埋まってしまいました。

 クラスの子供たちにも少し手伝ってもらいましたが,整理整頓作業だけで2日間で5時間以上かかり,もう疲れてしまいました。

 結局,登録カードの方は無償バージョンアップ目当ての一太郎と,cubeという教育ソフトだけで,力つきてしまいました。残りは,いつかそのうち行う予定です。

 今コンピュータ室のロッカーには,誰も読まない数百冊のマニュアル類と,誰も使わない数百枚のCD−ROMやFDと,絶対に加入しない数百部の各種ネット等の入会案内とが整然と並べられています。




  小学校でのコンピュータ活用2
 11月29日。今日は,私が所属しているコンピュータ教育の研究会の小委員会があり,研究集録の原稿の検討を行いました。

 私の分担は,「コンピュータ導入時の指導について」です。分かりやすく言えば,初めてコンピュータを使う子供たちに対して,まず最初に何から教えていけばよいかということです。

 原稿の内容は,9月から私が行ってきた,お絵かきソフトを使って一枚の絵を作成する作業を通して,コンピュータの起動・終了,マウスの使い方やファイルの保存・呼び出し,印刷などの一連の操作を徐々に学ばせてきたことを原稿としてまとめ,提出しました。

 市内のコンピュータ担当教員が集まる会ですから,原稿の検討も一段落すると,話題はやはり,コンピュータ教育はどうあるべきか,ということになってきます。

 こういう内容について考えるとき,我々教員と,保護者の方々を初めとする世間一般の人々との間には,きっと考え方にズレがあるのではないでしょうか。

 現在のところ,コンピュータの学習は,国語や算数のような一つの教科として位置づけされていません。ですから,私たち教員は,コンピュータそのものを教えるのでなく,各教科の学習の中でコンピュータをどう活用していけばよいか,という点を常に考えていかなければなりません。
 そのことが,私たちの視野を狭くしてしまうことがあるのではないでしょうか。

 つまり,高度情報化社会を生き抜く子どもを育てるために,コンピュータを学ばせるんだという,最も大切な目的を忘れてしまって,ともするとコンピュータを使って効率良く授業を行おうという考えにばかりに関心が向いてしまうこともあるということです。

 もちろん,コンピュータを活用して,授業の効率が上がることは良いことではありますが(小学生ですから,コンピュータを使える場面でも,あえて手作業でやらせて体感・体得させることも当然必要です。),それが最終目的になってしまってはいけませんよね。

 今後加速度的に学校教育の中でコンピュータを活用する場面が増えてくることが予想されますが,このことは,私たちが常に肝に銘じておかなければならないことだと思います。




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