■第16章 しまった!!


旅もそろそろ終わりに近づいてきた。バナラシからカルカッタへ戻らなければならない。ラジュ達と別れを告げたオレ達はバナラシ駅向かった。

このころのオレの体調は非常に悪く、熱のせいで頭がくらくらしていたため、結構移動がしんどかった。

オレ達のチケットはバナラシシティー駅からの乗車だったのだが、それに気づいたのはバナラシ駅に到着してしばらく経った定刻時間の約15分前だった。気づいたときは結構焦ったが、どうにかなるものだ、というよりは無理矢理どうにかした。だってダメって言われてもバナラシ駅に着いてしまったのだし・・・。今更となり駅のバナラシシティー駅へ行ったら列車に乗り遅れる。まあ、幸いバラナシシティー駅からの料金とここバラナシ駅からのカルカッタ行き料金は変わらないし、バラナシ駅の方がカルカッタ寄りであったため、ラッキーだった。

さて、時間にルーズなインドはいまだに健在で、出発時間になっても全く来る気配がない。まあ、いつかは来るだろうと気長に待った結果、1時間遅れで到着した。しかもこの到着の仕方はいかにもインドらしい

5番線のはずだったのだが、何のアナウンスもない状態でいきなり3番線へ到着。この列車を待っていた人達はみんなあわてて3番線へ向かう。

何故この5番線に到着した列車がカルカッタ行きだとわかるのか?

それは単純、西の方角から来たこと、そしてバラナシ駅に止まったからだ。別の言い方をすれば何となくそう思ったかな?

あたりまえのことだが、5番線から3番線への階段がパニック状態となる。当然インドは何でもありの国だから、ショートカットをして線路を渡って移動する人もいっぱいいる。

幸いオレ達は階段付近で待っていたこと、そして3番線に到着した列車を見て、カルカッタ行きと判断したから、パニック状態になる前に3番線に着き、これはカルカッタ行か?と乗客へ確認をしていた。だって既に乗っている人達が一番よく知っているからネ。

普通は列車のドアの入口に計算機用紙に乗車名簿を駅員が貼るのだが、そんなもの待っていられない。人に聞きながら、さっさと自分の車両を見つけた。こうしてとにかく何とか列車に乗ることができた。

帰りは2nd classの3-tier sleeper。列車の中は薄暗く、シート番号がよくわからなかったが、こうして自分の席を発見することができた。

さて、ここまでは順調だったが、この後すぐに事件が起こるとは予想がつかなかった。


オレの席は3段ベットの一番上。セカンドバッグとリュックをまず自分の席に置いた。そして手すりにつかまって一番上までよじ登る。当たり前のことだが、その間はバッグは目の前から離れることはないのだ。そころが、自分のベッドについてバッグにチェーンをかけようとすると、あるはずのセカンドバッグがない

最初、自分の目を疑った。あれっ?オレ、セカンドバッグどうしたっけなあ?何だか夢を見ているような感じになり、頭の中がポ〜!!っとした。それから10〜20秒後、”しまった!!バッグを盗まれた!!”ということに気づく。

慌てて周りの人に”バッグを盗られた!!”と叫び、辺りを捜す。まずは車内で逃げる雰囲気のある奴等、不信人物を捜す。次に外へ出て人並と逆行している奴等がいないかを確認する。しかし、見つからない。

”くっそ〜っ!!、やられた〜!!”

席へ戻るとイギリス人の若者二人が、”大丈夫か?”と心配してくれる。インシュランスは?と聞かれる。彼らはこの言葉の説明をしてくれている。はて、インシュランスって何だったっけなぁ?と考える。そう言えばこの言葉、取扱説明書によく使われている言葉だったなぁ。おお、補償、保険のことだ!と気づき、盗難保険という手を思いつく。しかしそんなもの入っていなかったよなぁ〜、病気の保険はしっかりと入っていたと思ったけれど・・・と、説明する。そうこうしているうちに、5m位離れたところであるインド人がオレを呼ぶ。そしてそこにはオレのバッグがあった。どうやらバッグだけは見つかった。見つけたバッグの中身を見る。APSカメラ1台デジタルカメラそしてラジュにもらった菩提樹のネックレスの3点がなくなっていた。フィルムもカメラに入っていたものを除き大丈夫だった。

まあ、それだけだったら盗られても御の字。何故ならバッグ内にある別のチャックの中には現金US$40-と帰りの飛行機のチケットが入っていたからだ。チケットだけは無くしたら基本的に帰れなくなってしまう。奴等はきっとこのチャックの存在を暗くてわからなかったのだろう。オレも盗られたときはこのことをすっかり忘れていたが・・・。

さて、ここで盗難の原因について考えてみたいと思う。

いろいろな悪要因悪状況が重なっての出来事なのかもしれないが、でも基本的には盗られる人がいけないのだ。盗った奴等からみれば、スキがあるから狙うわけだ。もちろんいかにも金持ちそうに見えるということ(例えば服装や持ち物、もちろん彼らから見た場合での話だ)も狙われる原因である。オレにもきっと奴等からみたらスキだらけだったに違いない。

この点を非常に反省しなければならない。いい勉強になった。

でもモノを盗られて泣き寝入りするのも嫌だ。当然保険請求をするのだが、そのためには証明書をもらわないといけない。バナラシ駅の列車内での出来事だから、バナラシ駅、もしくはカルカッタ駅での発行になるはずだ。しかしオレ達には時間がない

そこでカルカッタに戻った日の夜、保険の内容をまず確認した。すると50万円の携行保険にはいっているではないか?ラッキー!!

翌朝、ゲストハウス付近の最寄りの警察署へ出かけ、ダメもとで事情を説明し、交渉してみた。もちろんオレ達には時間がない(この日の夜に飛行機で帰国する日なのだ)ため、証明をもらうのに時間がかかっても困る。すると警官はその場で証明書を発行してくれた。しかもたったの40分である。多分インドへ行ったことがある人はわかると思うが、何をするにしてもインドでは大体半日から一日かかるのが常。こんなに早く手続きが終わってしまうなんてとびっくりした。下の写真がそのときの証明書である。

ただし、さすがに証明書では”盗難”という言葉は使ってくれず、”紛失”にされてしまった。もちろん反論したのだが、機嫌を悪くして発行してくれなくなってしまったらたまらない。ここは”missed””stole”と同等の意味としてとらえ、帰国して保険屋さんに説明することにした。

今まで何回か海外旅行をしたが、初めてで且つ貴重な経験であった。もちろん2度と同じ事を繰り返さないように、緊張感を持ちつづけないといけないことを改めて感じた。

上の写真がカルカッタでもらった盗難証明書。

A4サイズよりも一回り小さく、B5サイズよりはちょっと大きかった。

オレも人のことはあまり言えないが、字が汚ねぇよなあ!


帰国後、早速保険会社へまずは連絡し、上記の”missed”と”stolen”の違いを説明した。するとその保険屋さん、エライ!すぐにOKしてくれた。必要事項に記入をして現在保険請求中である。

保険金が入ったら会社名を出して宣伝でもしてあげようかなぁ〜!


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