■第17章 相変わらずルーズな列車地獄


インドのガイドブックの中には”列車・飛行機などは時間通りに動く”などと言っているところもあるが、それは大きな間違いである。

前章でも記載したが、インド内での移動手段(飛行機や列車など)は相変わらずルーズだ。でも別に批判しているわけではなくて、インドでは当たり前のことなのである。だから物事は気長にやらなければならない。焦ったって無駄な苦労にしかならないのである。

では逆に日本ではどうか?

最近は電車などが遅れると電光掲示板や駅のアナウンスでしっかりと教えてくれる。また都内の電車は2・3分ごとに来るので非常に便利だ。その分電車のダイヤを管理する方は1秒毎の単位で行わないといけないだろうから、かなりシビアだと思う。

しかしこんなに便利なはずなのに、電車のドアが閉まりかけても平気で飛び込んで乗ってくる人達をよく見かける。一体彼らは何を考えているのだろう?一本遅らせてもいいではないか?そのために他人に迷惑をかけることをきっと本人達には分かっていないのだろう?

さて、話が外れてしまったが、バナラシからカルカッタへの列車、出発は1時間遅れで済んだ。盗難に遭ったり、気力・体力の面においても結構大変だったが、とにかく無事に列車に乗ることができた。列車の外から入ってくる風や天井にある壊れかけた扇風機のお陰でインドでの滞在で一番涼しく過ごすことができた。熟睡もできたし、体力の方も朝起きたらほとんど回復していた。もちろんこんなに快適なのは夜だけの話だが・・・。

朝起きて下の座席の方を見ると大変なことになっている。人数分のベッド兼座席以上の人達がいつのまにいっぱい座っている。そして中段のベッドだったOzyは下にひきずりおろされ(本人は自分の意志で下に降りたと言っていたが・・・。)、3人がけのシートに5人くらい座っている中で狭そうに小さくなっている。まあ、不運なことにオレ達の座席は列車の出入口付近であったため、とにかく人がいっぱいいた。ここに座っている人達のほとんどはきっとチケットを持っていないのだろう。2nd classはこれが辛い。Ozyは特に大変な経験をしたと思う。しかし面白いもので、ある駅に着くと人々は慌てて降りていく。あんなに混んでいた列車内はいきなり空いた。別に大きな駅でもないのだが・・・。そして列車が走り出してしばらくすると車掌が来た。そうか、彼らは車掌が来ることを知っていたんだな?無賃乗車に対して一応気を使っているのだろうか?と思い、ちょっとおかしかった。

そうこうしているうちに、昼ごろになる。直射日光を浴びている列車の中もいよいよ暑くなってきた。喉も渇いてくる。しかし定刻(12:30ごろ)だともう少しのはず、まあ一時間遅れで走っているから、その分は遅れるだろう、なんて思っていたのだが、そこはさすがはインド。周りの人に聞いてみるとダイヤはかなり遅れているらしい。かわいそうなことにイギリス人の若者二人はRs500札しか持っていなく、水分が取れないようで辛そうだ。

でもさすがなことに、US$1札を売り子に見せ、”偽札ではない、Rs500札しかないので、どうしてもこれで払いたい!”と言いだしたのだ。当然売り子にはそのUS$1札が本物かどうかなどはわからない。だって外国通貨なんてほとんど目にしないだろうし・・・。周りの人達が何人か見た後、どうやら偽札でないことを確認してRs40分のジュース(US$1=約Rs40、このことも一生懸命説明していた)を買っていた。土壇場の交渉力のすごさを目前にしてすげ〜っ!と感じた。

一方、オレ達はどうかというとやはりこんな事になるとは思っていもいなかったので、細かい金をあまり持っていなかった。どういうタイミングで水分補給すればよいかがうまく計算できない。

そこで何人かの人達に聞いてみる。いろいろな答えが返ってきたが、話を総合するとどうやら夕方になるらしい。つまり出発時は1時間程度だった遅れがいつのまにか4〜5時間の遅れになってしまっていたようだ。どうやら長丁場になりそうだ。このころはまだ昼過ぎくらいだった。とにかく少ないお金をセーブしなければならないことがわかった。飯を一食抜くのはさほど苦ではないが、さすがに水分はそうもいかない。列車内は相変わらず暑い。とにかくこういう場合はじっとしているに限る。じっとしていればきっと時間が過ぎて、いつかは目的地に着くだろう。

そうこうして終点であるカルカッタのハウラー駅に着いたのは約5時間半遅れの夕方6時だった。

いやいや、列車時刻のルーズさもここまでくると大変である。行きはA/C(寒さ)地獄、そして帰りは暑さ地獄にやられるとは・・・。これだからインドはあなどれない。

特に暑い場合はこういったことも計算しておかなければならないことを学んだ。


[第16章へ] [第18章へ] [懲りずにINDIAへ] [HOME]