■第10章 なんじゃ〜、この暑さは?


カルカッタを出発してから約18時間。寒い思いをしてようやくバナラシ駅へ着いた。外はきっと暑いだろうと想像はしていたが、この予想をはるかに越えた暑さが

”Welcome to Banaras!”

と言わんばかりに容赦なくオレ達を襲う。

カルカッタではチケット購入で高い金を費やしたこともあり、その場で帰りのチケットを購入。このころはまだ周りは(直射日光ではなく)36℃程度だった。それでも15℃の列車の中にいたオレ達から見ればこの約20℃の気温差は大きい。

まるで今まで出番を待ち続けていたと言わんばかりに汗が噴水のように出てきた。

チケットの方は何とか順調に購入(2nd Sleeper)できたが、空港で両替したUS$30-分のルピー(約Rs1,200-)がなくなってしまった。

よし、次は銀行へ行こうとオートリキシャの兄ちゃんに言うと、

兄ちゃん”今日は日曜日、銀行はお休み。”

オレ達”あ〜れ〜っ!”

仕方がない、闇両替屋でUS$30-分ルピーへ替えた後、最終目的地であるダシャシュアメード・ガートへ向かった。

そしてようやくダシャシュアメード・ガートへ着いたころ気温はもう40℃を超えている。頭がくらくらする。

だけど部屋を見つけなければ・・・、そんなことを考える余裕はすでになかった。ということで前回泊まったBaba Guest Houseへそのまま向かった。

そしてこのとき最悪なことにオレはどうやら熱射病にかかってしまったようで、このゲストハウス滞在中はほとんど死んだ状態でいた。

さらにとんでもないことがオレ達を待ち構えているなんてこの時は知る由もない

夜になり、少しは涼しくなるかと予想していたが、全くその気配がない。

何しろ部屋の中は約32℃、ベッドが体温よりも熱い。さらにオレの頭からは熱が発散されている。とてもじゃあないが、寝れたものではない。

壁も熱いし、風も来ない。まるでローストチキンになったような気分だ。

うなされているうちにとうとう朝になる。一日目は一睡もできなかった。

しかし朝日は見たいので、5時ごろシャワーを浴びて外へ出かける。

バラナシの朝は8時ごろまでは涼しい、とはいっても28℃くらいだが・・・。

しかしそよ風がオレ達の体から汗を引かせ、ちょっと昼寝!?ができるような心地よさだ。

8時を過ぎるともう30℃を超える。そして昼ごろから夕方にかけては40℃を超えるほど気温が上がる。とても外へなんかは出かけられない。

したがって35℃くらいの気温であるゲストハウスで暑さをしのぐ。

夕方5時を過ぎると外は30℃位まで下がるが、今度は地面がとっても熱い。まるでフライパンの中にいて、熱されているような感じだ。

そしてまた夜。今夜も暑くて寝れない。

結局このゲストハウスにいる4日間は一日を除き、一睡もできなかった。

一晩寝れた理由は後の章で紹介しますので、それまでおあずけ

ここ、バナラシにいる間、あることを考えた。

”どうしてせっかくのGWに高い金を払ってまでこんなに苦しい思いをしなければならないのだろう?”

この3年の間にいろいろと外国へ仕事も含めて出かけた。

しかしこれらの中で今回の旅が一番辛い。

何が辛いかってやはり体の調子が非常に悪くなったときだ。やはり人間弱っているときが一番ネガティブに物事を考える。

帰国した後に何人かからある話を聞いた。

”オレ達がインドへ出かけた翌日(4/29)から熱波がインドを直撃したらしい。”

しかし帰国後は当然例のごとく強がっているため、この苦しかった経験も忘れている。

”そうだったんだ、へ〜っ!向こうは死ぬほど暑かったよ!”

と笑いながら答える。

苦しかった日々も過ぎてしまえばこんなものだ


[第9章へ] [第11章へ] [懲りずにINDIAへ] [HOME]