インターネット普及可能性を読み解く
Update: Jan. 4. 1998
インターネットが今後どんな形で、どの程度普及していくのかを考えるには、利用意向のあるユーザ(見込みユーザ)や非ユーザの意識や環境、やインターネットへの態度などを知ることも必要です。このセクションでは、インターネットの利用者と非利用者との比較や、非利用者の今後の利用意向などを明らかにしている調査を取り上げます。おのずとオンライン調査ではなく、従来の質問紙を用いた大規模なアンケート調査によるものが多くなると思います。
REVIEW and COMMENTARY
野村総合研究所「情報通信利用者動向の調査(Cyber
Life Observation:CLO )」
第1回調査:http://www.nri.co.jp/nri/news/970701.html
第2回調査:http://www.nri.co.jp/nri/news/971208.html
- 一般生活者の情報通信機器およびサービスの利用実態や意向について、毎年3月と9月の2回、野村総合研究所が企画、実施している大規模アンケート調査。「科学性/客観性を確保した総合的なアンケート調査は日本で初めての試み」とありますが、規模や手法的にもうなづける内容です。第1回実施は1997年3月、第2回実施は1997年9月で、それぞれ2〜3か月後に野村総研のサイトで結果が公表されています。
- 全国の15〜59才男女個人を層化2段無作為抽出法により抽出、質問紙訪問留置法で実施。一般生活者の通信/放送/コンピュータ等、幅広く情報通信機器および関連サービスの利用実態や動向を把握することを目的として設計されていますが、パソコン・インターネット関連の設問も数多く含まれます。最新の第2回調査は1997年9月実施。設定2,000サンプル、有効回答は1,409サンプル(回収率70.5%)。主な調査結果は以下の通り。
- パソコンが自宅にある人の割合は33%で、第1回より約5ポイント増加。パソコンの個人使用率も、17%と第1回より約3ポイント増加している。
- 家庭でネットワークに接続されているパソコンの比率は35%。台数は、この半年で約390万台から約510万台へと30%程度増加したものと推計される。うち、インターネット接続事業者に接続されているものが75%、パソコン通信事業者に接続されているものが36%となっている(複数回答)。
- インターネット利用者は12%、約1,000万人がインターネットに触れていると推計される。うち自宅のみで利用している人は19%、職場や学校のみで利用している
人は62%、自宅と職場・学校の両方で利用している人は19%。
- 1997年3月調査(第1回)は、設定4,000サンプル、有効回答は3,067サンプル(回収率71.3%)。主な調査結果は以下の通り。
- 一般生活者のうちパソコン使用経験のある人は47%(男性50%強、女性約40%)程度。
- 電子メールやインターネットで情報収集できる人は10%弱。
- 一般生活者のうちキーボードを使うことができるのは65%(手元を見ないで速く打てる人は7%)。
- パソコンの世帯保有率は28%、パソコンのネットワーク化率は7%。
- パソコンの当初の購入目的「家で会社の仕事をするため」(40%)「ゲームやCD-ROMを楽しむ」(25%)「インターネットやパソコン通信を行うため」(15%)。
- ホームページを持つ一般生活者は1%にも満たないが、ホームページによる情報発信意向ありとの回答は24%。
- また1997年4月〜5月にかけては、インターネットユーザに対するオンライン調査を、第1回と同じ質問項目を用いて実施し(NRIサイバービジネスパークのホームページで依頼、有効回答は557サンプル)、利用者と一般生活者との比較やインターネット上で実施するアンケートの有効性、限界性なども検討されています。
- インターネット利用者は「人より先に新商品を利用する」というイノベータ的な人が25%で、一般生活者の4倍。
- インターネット利用者は一般生活者よりもテレビの視聴時間が短い。2時間以上視聴する人は、平日40%、休日70%程度。
- インターネット利用者は一般生活者よりも、電子手帳・PDA、LDプレーヤ、デジタルカメラなどの所有率が高い。逆にラジカセ、ワープロ、ポータブルCDプレーヤなどは低い。
ビデオリサーチ「ACR (Audience
and Consumer Report)」
http://www.videor.co.jp/box/acr/acrd/97/in3_1.html
- ACRは、新聞・雑誌の媒体接触率や商品・サービスの普及率を測定する有名な調査。全国7地域(東京30km圏、関西、名古屋、九州北部、札幌、仙台、広島)の12歳〜69歳男女を無作為抽出、全体で12200サンプル設定、調査実施は1997年5月。96年からインターネット関連質問開始。地域別のデータが基本ですが、ウエイト付け集計した全7地域のサンプルを対象に、インターネット利用者と非利用者に分けた簡単な分析結果も紹介されています。
- インターネット非利用者のパソコン所有率は15.3%(96年は13.7%)、今後インターネットを利用したいとの回答は14.6%(96年は13.7%)となっています。パソコン所有率はともかく、利用意向に関しては意外に低い数字と思うのは私だけでしょうか。1年でほとんど増えていないですし、調査地域は都市圏ですので、全国ベースではもっと低いと思われます。
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