インターネット利用者プロフィルを把握する(海外)
Update: Sep. 7. 1997
米国や欧州で実施されたインターネット利用者プロフィル調査・インターネットの利用実態調査を紹介します。
REVIEW and COMMENTARY
GVU's WWW User Survey
http://www.cc.gatech.edu/gvu/user_surveys/
- 「GVU's WWW User Survey」は、米ジョージア工科大学(Georgia Tech's College
of Computing)の関連研究機関である The Graphics, Visualization, & Usability
(GVU) Center が実施する世界最大規模のWWWを使ったオンラインウエッブユーザー調査である。1994年以降、毎年4-5月と10-11月に定期的に実施されており、調査終了後ちょうど1か月後(6月10日、12月10日)に調査結果を上記ホームページから無料で入手できる。
- 調査テーマごとに別々の質問表が準備され、一人の回答者は複数のテーマを選んで、回答する。第7回の質問表は以下のテーマに別れていた。回答時には個人属性を登録するようになっており、前回回答した場合はそのIDを入力して調査に入る。
- - Basic Sections: General Demographics / Web and Internet Usage
/ Electronic Privacy, Spamming, etc. / Politics
- - Consumer Sections: Security of Transactions / Information
Gathering Behavior / Purchasing Behavior / Opinions of Vendors / Internet
Banking
- - Special Sections: Webmastering / HTML Authoring, Java, etc.
/ Web/Internet Service Providers
- 最新のデータとなる第7回調査は1997年4月10日〜5月10日に実施、6月10日に詳細な分析結果が公開された。19,970人から、のべ87,000サンプル分の回答を収集(テーマ毎に異なる調査票になっている)。調査結果分析で強調されているのは、ユーザー属性の面で半年前の第6回調査からほとんど変化が見られなかったことである。利用者特性が安定してきたことはインターネット市場に関心を持つ人々には安心感を与え、これまでのような不確実で荒っぽい予測に基づいて判断をしなくてすむ(The
stabilizing of user characteristics is comforting. No longer do we need
to make decisions based upon uncertain and often times wild predictions
of what may become. )といったコメントもされている。日本の主なインターネット時系列調査では「短期間にこんなに変化しましたよ」という結果が多いのに比べると、対照的といえよう。
- 《回答者属性》 全回答者の平均年齢35.2歳で、同時期に全米を対象とした無作為抽出によるインターネット利用者調査(FIND/SVP's
1997 American Internet User Survey) の平均年齢36.5歳のサンプル誤差の範囲という。女性比率は31.3%で前回とほぼ同比率。米国に限れば33.4%(FIND/SVP調査では35.9%)。
- 《WWW利用目的と問題点》 WWWを使っている目的(複数回答)は「情報収集
(Gathering Infomation)」86%、「検索 (Searching)」63%、「ブラウジング
(Browsing)」61%が上位3項目で、かなり目的志向が高い印象。また利用上感じる問題点としては「読み込みスピードの遅さ」が66%でトップだが、通信環境の向上とともにスコアは毎回下がる傾向にある。むしろ「リンク先がなくなっている
(Broken Links)」を50%の人があげていることに注目したい。「コスト」をあげる利用者は数%に過ぎないが、それは比較的高収入の利用者が多いためであり、問題がないわけではないそうだ。
- 《プライバシー問題》 第7回調査では「Electronic Privacy」の分析に力が入れられているようだ。嘘の情報を送ったり登録したことがあるとの回答は約4割で前回より上昇。他には「どういう時にサイトに登録してもいいと思うか」「ブラウジングの記録をとられることについてどう思うか」「ダイレクト電子メールをどう思うか」などの設問がある。
- 第6回調査は1996年10月10日〜11月10日に実施。約15000人から、のべ59400サンプル分の回答を収集。
主なファインディングスは以下の通り。
- 《回答者属性》 全回答者の平均年齢34.9歳、女性比率が31%を占める。20代が中心でかつ女性比が1割程度と見られる日本の状況に比べるとかなり成熟した印象。また家庭からのアクセスは米国では64%に上るが、欧州では37%に留まる。
- 《消費・購買行動》 ウエッブ上でのショッピング経験者の比率は、1年前の11%から今回20%に上昇。セキュリティの問題がショッピングしない最大の理由ではあるが、クレジットカード情報をウエッブ上で送ることに関しては、徐々に抵抗が薄れている。
- 《インターネットが直面している問題》 インターネットが現在抱えている問題としては「検閲」36%や「プライバシー」26%が上位に挙がっている。過半数が不要な電子メールを送らないようにあらかじめ登録しておく制度を望んでいる。また約3分の1の利用者が、個人情報登録を必要とするサイトに対して嘘の情報を送ったことがあると回答している。
- この調査のテクニカル面に関する詳細な情報(母集団の代表性検証、調査告知の方法、CGIスクリプトの応用など)は、以下の論文に詳しい。
Colleen
M. Kehoe & James E. Pitkow, Surveying the Territory: GVU's Five WWW
User Surveys, The World Wide Web Journal, Vol.1, no.3
Nielsen/CommerceNet "Internet Demographics Survey"
http://www.nielsenmedia.com/
http://www.commercenet.com/
Project 2000 "Internet and Web Use in the United
States"
http://www2000.ogsm.vanderbilt.edu/
Nielsen/CommerceNet 調査に基づく利用者数推計に対する疑問を提示
FIND/SVP "The American Internet User Survey"
http://trg.findsvp.com/features/newinet.html
O'Reilly Survey
http://www.ora.com/research/users/
NOP "Internet User Cluster
Analysis"
http://www.maires.co.uk/inet/profile.html
- 英国の大手世論調査会社NOP社による、英国のインターネットユーザーを対象にしたクラスター分析。インターネットへの態度・意識に関する15の質問による。電話インタビュー法。サンプルは595で、1995年12月実施。
- 6クラスターを抽出しているが、各クラスター間の性・年齢の違いが小さい(つまり、インターネットユーザーにおいては従来のデモグラフィック特性による分類はあまり意味がない?)という重要な結果が紹介されている。また、利用者でありながらインターネットに対してネガティブ・懐疑的なクラスターが多いのが面白い。保守的な英国人だからか?
- 各クラスターは以下ように名付けられている。訳すのはちょっと困難だが...
- 1. Adventurous Team Players(熱心なビジネス利用中心の組織人)
- 2. Pioneers(流行に敏感な人たち)
- 3. Ambivalent Flock(態度がどっちつかずの一群)
- 4. Introspective Sceptics(消極的なおたく)
- 5. Negative Guide(インターネット大嫌い)
- 6. Cautious Enthusiasts(保守的だけどはまっている)
‖HOME‖新着情報‖メニュー‖情報ソース‖
Copyright
1996-97 ISW