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TEAM 2×4 の 2003 WEM,SUGO 対策(実は2002年改造済)


レースでは抑えられっぱなしのDDWモータ利用者チームですが,
せっかく買ったモータだし,この際ですから分解して可能性をアップさせようと思いました!!
というのはパワーMOSFETのON抵抗に注目して他のFETへの換装を目指しました!!
それでは換装物語の始まり始まり...

いよいよDDWモータを分解してみます。
このモータは2001SUGOで故障してしまったホンダDDW4030(Hギア)モータです。
というのはレースで回生電圧をかけすぎてしまいそれ以来トルクがなく不調です。
元に戻せるのかとても心配ですが思い切ってやってみよう!!もう知らない..
分解前の正面から見た写真です。
ボルトを外してみると複雑な基板と減速ギアが現われます。
グリースたっぷりのギア軍団です。どうしましょう,たじたじ...
基板にグリースがかからないように接着剤のようなものでアルミ合金製の本体どおしがうまく目張りされていました。
このモータを見ていると芸術品のような感じがします!!
その基板のひとつ目を外してみました。ドキドキ..
モータの中には基板が2つ入っていて,そのうちの1枚目です。
よくもまーこんな狭い場所に2枚も入っているなーと感動しました!!
それぞれの基板がコネクタでうまく上下に接続されています。すごい!!
モータ関係ではよく出てくるIR製のICが使用されているようです。
なんに使用されているのか当方にはよく分かりませーんが,
単一電源用のドライブ回路なのでしょうか?
1枚目の基板を外すとこんな感じです。
アルミ合金製と思われる本体は3層構造となっていました。
プリント基板は2枚あって1枚目を外した状態がこれです。
これらの基板やギアが絶妙に組み合わさっていて,すごい!!
本体は複雑な穴やリブがあり,この構造の仕組みが私にはよくわかりません。
これらを設計した技術力の高さにものすごいものを感じます。
アルミ合金製と思われる中間層とプリント基板はボルトで固定されていて,
外すとこんな感じです。
FETは熱伝導性を高めるためと思われる両面テープでアルミ合金製の本体とくっついていました。
FETの型式は2SK1506でした。2個が1組なのかなー?
または1個が回生用なのかもしれません。
この基板から回路図を起こせると良いのだけれど..
今度はモータの裏側です。
TEAM2×4のシール付でっせー。
ボルトを外すとこんな感じてコイルが現われました。12スロットのようです。
これが特徴となっている末広型閉口形状スロットによる,低騒音・低回転・低コギングトルクのモータ構造というものらしいです。すごい!!どうやってコイルを巻いたのでしょう。
真中が強力なネオジウム系の磁石ロータですよね。
この磁石は6ポールなのでしょうかよくわかりません。
ロータ磁極の位置を検出するホール素子はどこについているのかもよく分かりません。
磁石はすごく強力で引っこ抜くのに少し大変でした。

2002年5月2日
これがうわさのFET!!
やっと手に入りました。
5月4日がレース予選というのにモータが分解されたまま完成してませーん!!

IR製のIRFP2907です。
ON抵抗が小さいとのことで,USO800さんお勧めFETです。

最初についていた2SK1506を取り外します。
おせわになりましたねーFETさようなら〜。

取り外したあとです。
全部で12個ありました。

新しいFETは寸法や足の配置まで同じなので助かりました。
しかし特性はまったく違うと思われ,はたして動くでしょうか?
やってみるしかありません!!
最初のFETの足を基板からはがすのはめんどうなので,そのまま折って流用しました。

やっと全部交換しました。
めでたしめでたし。

気になった個所がこの抵抗です。たぶん電流センサーの役目をしていると思われます。
余計な抵抗は減らしたいので,この抵抗もハンダでショートしました。もう電流の保護回路は働かないので過電流すると即焼けてしまうのだー。こわいこわい。

熱伝導をよくするテープを張っておしまい。

ついにFET換装できました!!やりました!!

ホンダDDW2×4スペシャルモータの完成です。

その後,走行して良好な結果でした。ひみつ。

なんと完成したのは秋田行きの前日ということになりました。
はたしてレースではどんな結果が待っているのでしょうか!!応援してねー!!

TEAM2×4使用予定のホンダDDWモータ

特徴:ネオジウム系希土類磁石の採用や末広型閉口形状スロット設計による,低騒音・低回転・低コギングトルクのモータ構造


ホンダDDWモータに使用していた(分解してみました)パワーMOS FET


USO800さんお勧めの パワー MOS FET IRFP2907

またまた,2002年WEMがやってきました!!
今年はちょっとモータをいじるぞー!!
しかし,DDWの構造は恐ろしく複雑で,もしかして分解後に動かない可能性大です!!
まずは,昨年SUGOで故障したモータで試すことに...はたしてうまくいくのでしょうか!!?

昨年までのことをすぐ忘れるのでまた書いておこー


WEMは,決められたバッテリーで2時間内に走った距離を競います。
そのバッテリーは4個支給され,仕様は4個とも同じです。
電圧が12Vで1個の容量は,10時間ゆっくり放電させてやっと3Ahの容量です。短時間で放電させると3Ahいきません。

バッテリーの接続方法は自由ですので,2個直列にしたものを2組並列にして24Vにしたり,
4個全部を直列にして48Vにしたりするのが一般的みたいです。
モータの駆動電圧が合えば,4個を全部並列にして12Vでもかまわないと思います。

このバッテリー4個で,上位チームは2時間に約70km以上を走っています。
いま上位を狙うとしたら70km以上が必須となってきました。


目次

1.時間内で70km走るのに必要な速度は?
2.使えるバッテリー容量は?
3.使える電流は?
4.モータに許される消費電力は?
5.モータの出力は?
6.その出力で必要な速度を出すためには?
7.そんな車体は可能なのだろうか?


1.レースの2時間内で70km走るのに必要な速度は?

70km÷2時間=平均35km/h 上位チームは,この電池でこのスピードを保ちながらが走っているみたいです。
WEMのコースは行きは追い風で,帰りは向かい風の時が多いです。ということは南風ということかなーと今ごろ気づいてます。
夏が近づいているからかなー?と風流な気分になってます。でもこの時期,結構寒かったりするんでドライバーは車内で凍ることもあります。
追い風のときは38km/hぐらいで走り,向かい風のときは32km/hでもよいと思います。

ただし,空力のよい車体ほど消費電流一定で行きと帰りの速度差が少ないようです。


2.使えるバッテリー容量は?

古河電池様よりいただいたバッテリーの特性グラフをじっくりみると,放電時間から使用できる容量がわかります。
レースは2時間なのでその時間いっぱいで放電したほうがグラフからみても絶対有利なので,10時間率3Ahの約80%が使用できることになります。だって,たとえば1時間で走りきるとバッテリーの70%しか使用できないことになりますもんね。
2時間では,

3Ah×80%=2.4Ah しか使用できないということになります。きびしい!!


ただし,別の特性グラフよりバッテリーを暖めて充電すると110%ぐらいの容量となるみたいなので暖めながら充電するのは当然みたいです。上位チームはほとんどやってるみたい。
あと,走行中はバッテリーの入れ物にホッカイロを入れたり,断熱材で保温するみたいです。これはバッテリーは化学変化で成り立っているので,冷えるとたぶん化学変化の進行が鈍ってしまうためと思われます。うちもホッカイロ真似しよう!!

それで10時間率では,

3Ah×約110%≒3.3Ah に増加できそうです。
これは,やらないと損ですね。でもバッテリーちゃんは大丈夫なのでしょうか?ゆでだこになってしまう!!


これを,2時間で放電すると容量が約80%に低下するとすれば,

3.3Ah×約80%≒2.64Ah となると思われます。なんか0.2Ahぐらいしか増えないみたい。でも貴重なのだ。


(ただし,容量110%からの2時間放電カーブは不明のため予想です。)

3.使える電流は?

前記のバッテリー1個分の容量で1時間あたりに使用できる電流は,

約2.64Ah/2時間≒1.32Aとなります。


4.そのときのモータに許される消費電力は?

電圧を48Vとしたら4個直列なので1個分の電流そのまましか使用できないので電力は,

約1.32A×48V≒63.4W となります。

電圧を24Vとすると2個直列にしたものを2組並列で2個分の電流が使用できますが,

約1.32A×2個×24V≒2.64A×24V≒63.4W と同じです。
(ただし,どういうわけか24Vのほうが走るときもあるらしい?)

電圧を12Vとすると4個並列で4個分の電流が使用できますが,
約1.32A×4個×12V≒5.28A×12V≒63.4Wと同じです。
ただし,モータが熱くなりやすく磁石を悪くしそう?(コイル抵抗が同じ場合かな?)


5.そのときのモータの出力は?

モータや機械的伝達には損失があるので,
上記消費電力のうち,効率が良いものでも80%ぐらいしか出力できないと思われます。

しかも,モーターの効率の良い回転数にギヤ比を合わせないと,とんでもなく効率が低下します
ただし,最近はダイレクトドライブのモータを使用しているチームが多いので90%ぐらいの効率かも。

当方の場合,約63.4W×約80%≒50.7W 良くてこの程度の出力だと思われます。
この,約50Wの出力で平均速度35km/hが出せれば2時間で70kmいけると考えられます。

2×4が使用するモータはホンダのDDW2015のギア比がDタイプのものです。使用電圧は24Vです。
TEAM DDWさんからの資料によると下記の特性です。TEAM DDWさん資料ありがとうございます!!
この特性グラフは,スピード調整するボリュームを最大にしたときの特性のようですのです。
このグラフより,50Wの出力が得られる電流と回転数,効率がわかるではありませんか!!今ごろ気づいている。
グラフより,50Wが必要なとき自動的にDタイプのギア比のモータ回転数は最大回転数の約90%となるので約261rpmです。
ですので,モータ回転数が261rpm(90%回転数)のとき,
車速が35km/hぐらいになるようにギア比を調整すれば良いと考えられます。
また,電流値は約2.5Aとなりますので,先ほど計算した許される電流値以下でいけそうです。わいわい!!
さらに,モータ単体での効率は約80%以上が期待できそうです。
ただし,チェーンなどを使用してさらに減速しますのプラスして伝達損失が発生します。とほほ...

でも車体が良くないと,約50Wの出力で35km/hのスピードは出ないので
車体の空力などをまず基本的に考えないとダメだわなー。がっくり...


6.その出力で必要な速度を出すためには?

それには走行抵抗による損失を,モーター出力の約50W以下にする必要があります。
これは積算すると2時間で約100Wh以下が必要です。

(1)とりあえず最初に,ころがり抵抗による損失を計算してみます。(実際の車体で測定するのがベストだと思いますが...)

ころがり抵抗は重量と関係します。
運転手の体重はレギュレーションで決まっていますので,
70kgとし,(体重の軽い人はおもりをのせることになっている。)
問題は車体の重量です。
とりあえず上位チームを参考に,
25kg程度としバッテリーを含めると,(1個あたり1.44kgだそうですが,実際にはもう少し軽かったような...)
合計約100kg が必要と思われます。

その条件で平地(コースはほとんど平ら)でのころがり抵抗を,2×4計算機で求めてみました。

☆ ころがり抵抗分として必要な出力
自動車の質量 m [kg]
ころがり抵抗係数
車速[km/h]
 ころがり抵抗分に必要な出力=
9.8 ×  
× 
 ×  /3.6
[W]

ころがり抵抗係数をかなり小さくしないと,他の損失も含めて50W以下におさまりそうもありません。



(2)そのほかに,空気抵抗による損失も必要ですが,残った出力以下でまかなうしかありません。
とりあえず,下記の2×4計算機で求めてみました。
(実際の車体で測定するのがベストだと思いますが...)

☆ 空気抵抗分として必要な出力(空気密度が0.125[kgf・s^2/m^4]のとき)
正面投影面積[u]
空気抵抗係数Cd
車速[km/h]
 空気抵抗分に必要な出力 =
9.8 × ( ×
 ×
/3.6 )^3×0.125 )/ 2
[W]

     正面投影面積をかなり小さくしないと,他の損失も含めて50W以下におさまりそうもありません。



(3)加速抵抗による損失は,残った出力でみるしかないので,

折り返し地点で,数十Wh程度かなー?(運転手のテクニックも関係しそうです。)

☆ 加速度分に必要な出力
自動車の質量 m [kg] 加速度[m/s^2]
速度[km/h]
 加速度を得るために必要な出力=  ×
 ×
/ 3.6
[W]


(4)また,折り返し地点で普通のブレーキで熱に変えてしまうと,せっかくのエネルギーがムダになります。

あまり減速しすぎると,その後の加速にエネルギーが余計かかります。(これまた運転手のテクニックも関係しそうです。)
ここで,大容量のキャパシタなどに瞬時にエネルギーを蓄えて回生制動できるとかっこいいなー!!


7.そんな車体は可能なのだろうか?

すべての損失を合計すると,大幅に赤字のエネルギーとなる予定です!!
70kmなんて無理だよなーどうしよう!!
ご意見ご感想をお待ちしております。


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