その12(1999.07.29)
今回の私の家の建築工事は、大工さんの確保の関係で敢えて梅雨
時期にかかる日程としていたのですが、6月末の集中豪雨の時までに
(さしたる雨にも降られずに)屋根まで張り終えることが出来た
お陰で、工期的には多少の遅延はあるにしても、構造体を長い期間雨に
濡らす、という2×4工法最大のリスクは回避することが出来ました。
その意味では賭けに勝ったと言えるのかもしれません。
これが当初の予定通り7月着工だとしたら、先週に梅雨が明けるまでは
凄まじい大雨のために、中旬ぐらいまでは基礎工事どころの話では
なくなっていたでしょう。で、その後土用のうだるような暑さの中で
基礎コンクリを流し込む事になり、前にも書いたように強度の確保が
より難しくなっていた訳ですから、今となっては早めて良かった、と
(最近着工された方には申し訳ないのですが)感じざるを得ません。
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では、なぜ着工期が早まったのか、といえばこのHPを公開している
事が大きなウエイトを占めているようにも思えるのです。
だって、普通施主が当時25歳の独身男で、選択したプランも(輸入住宅
ということもあって)面積的には下から2番目に小さい−つまり総工費も
メーカーの利益も相対的には安くなる−訳ですから、普通なら「与し易い」
客ですよね。言われるがままに工事が進んで、説明受けてもよく分からずに
「おまかせ」で、となればメーカー側だって手持ちの職人の中から腕の
あまりよろしくない戦力−つまり施工コスト的に安上がりな戦力−を
送り出すことになりますよね。特に職人との契約形態が一棟請負だったり
でもとしたら、経済の原則としては、非常にまっとうなお話でしょう。
無理して工賃削れば手抜き工事につながりかねませんし。
しかし、当事者としては低予算の建物ではあっても、良い職人さんに
入念に施工してもらって、長持ちさせたい、という心情は普通ありますよね。
そのために自分でも構造や仕上資材や土木やコスト積算関係等も可能な
限り勉強しましたし、契約形態及び施工監理について公開質問状も出し、
今のメーカーに決めた訳です。ただ、それだけではメーカーと施主との内輪の
話に止まる訳ですから、実際に現場工事に入った時、どうだったのでしょう?
結局、契約書の条項は(程度的に軽いとはいっても)やっぱり業者寄りな
訳ですから・・・。
2月27日に契約した後の雑談の席で、私自身がこのHPを開設している
ことを初めて伝えました。そうしたら、今まで連載して来た通り、配慮の
度合いには凄まじいものがあります。勿論、梅雨時だから腕のいい大工さんが
開いていたんだろうな、とか自社の都合というものも見え隠れはします。
(ただ、それについては梅雨時の施工というリスクを私自身が取った訳です
から文句は言えません。結果的には大正解だった訳だし)しかし、業者の
スタンスとしては、地鎮祭の際に列席された支店長さんの
「(ここに)書かれると困るから、下手なものはつくれない」という言葉に
象徴されています。ビジネスライクとも言えますが、施主としての立場から
すれば、心強い言葉だと思いませんか?
その意味で、私がこうやってHPを開設していることは、皆さんへの情報発信
以前に、私自身にも多大な利益が上がっている訳ですし、これからも冷静な
視点で記載して行きたいと思っています。
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しかし、それは諸刃の剣でもあるんですね。
今話題の東芝糾弾HP問題の状況を見ていて、そのことを痛感しました。
(私自身はそのHPは敢えて見ないようにしていますので、雑誌とか新聞記事
とかからの情報でしか把握していないので、事実誤認があったらご免なさい)
「お客様相談室から暴言を受けた」→「その内容をHPで公開した」
ここまでは問題はないと思うのです。
録音テープという動かぬ証拠があるわけですから。
但し、確たる証拠がないのに(誹謗中傷とまでは行かないにしても)掲載した
或いは、掲載自体は問題ないものであっても、それを各種掲示板等でアピール
したりすれば、一応法律を学んだ者の視点からすればたちまち「名誉毀損」
に該当すると思うのです。余りの抗議に取り下げましたけど、会社側も当該
HP削除の仮処分申請をしている訳ですから、上記に該当する事実が存在する
のではないでしょうか?
最近、家づくり関連でも「欠陥住宅」をテーマにしたHPが増えています
よね。場合によっては裁判の経過を記載されているものもあります。
しかし、裁判に訴えるのであれば、文句は裁判所に言うべきで、裁判官の
知らないところで、糾弾のボルテージを上げては、心証は悪くなって当然
でしょう。名誉毀損の問題もある訳ですし・・・。
だからもし、自分の家で裁判に打って出るような欠陥が見つかり、かつ対応が
不誠実なものであれば、HP自体は休眠させることになると思います。
証拠という事実だけは置き土産にしていきますが。
私自身の家づくりHPの考え方としては、「欠陥の予防」と「現場記録」を
基本に据えているということを、ご理解いただければと思います。
そして、このHPで敢えて掲示板やチャットのコーナーを設けないのは、
上記の理由にあるということを記載させていただきます。
よく暴走しますもんね、あれは。匿名って、危険だなぁ、と思います。
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7月11日の日曜日に、自分が買った団地で住民の懇親バーベキュー大会が
ありまして、ただには弱い自分のこと(ま、払った共益費から出ている訳ですけど)
参加して来ました。
何しろ、秋からお世話になる訳ですが、26歳シングルな訳ですから、
近隣には着工時には挨拶しているとは言っても、団地全体(と言っても
入居者はまだまだ少ないですが)に顔つなぎしておきかったんです。
ある程度は覚悟してますけど、色眼鏡で見られるのもやっぱり困るし。
見ての通り、それまでは雨続きだったんですが、この日の郡山地方は
いいお天気でした。車で来たので、お酒が飲めなかったのが非常に
残念なくらいでしたね。
ただ、場の雰囲気自体は余り気持ちの良いものではなかったですね。
住民の皆さんはそれぞれ気さくな方ばかりで、それに団地の常で、
近所で交流するのはこれが初めてだ、ということですから、入居しても
周囲から干渉されたり、人間関係でわずわらしい思いをすることは
今現在では余りなさそうだな、と感じました。
問題は、その場に「協力業者」の方々も参加していたこと。
そりゃ他の住民の皆さんは建築条件がないと言っても、結局そこで
建てているから話も弾むでしょうけど、私自身は数少ない協力業者
以外のところで自分でメーカー探して来て、しかも現場工事に入って
いる訳ですから居心地悪かった・・・。
だって、そこに入っている木造系のメーカーの現場も自分のところと
同時並行で進んでいるため、結構覗くのですが、郡山では結構名の
知れた工務店で住宅展示場にも出展している規模のメーカーで、
「日本の木の家」をアピールしているにもかかわらず、土台に平気で
米ツガの薬品漬け土台使っているのですから、レベルは推して知るべしです。
土台の継ぎ目が換気口の真上にもかかっていたし・・・。
柱はきちんとした杉材使ってましたけど(但し3.5寸もの−10.5p角)、
あれでは長持ちしないでしょうねぇ。
多分仕様は「おまかせ」にされたのでしょうし、
その人の選択ですのでどうこうは言いませんが、自分ならとても頼め
ませんね。そういう構造自体は否定しませんが、自分の払った工事代金の
一部が当然ここの団地の業者さんにも紹介料として流れるでしょうし、
建築条件付きならともかく、勿体ないと思いませんか?
ま、腹一杯焼き肉やら焼きそば食べられたので、良しとしますか。
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どこの業者も、上の「日本の木の家」のようにキャッチフレーズは
格好いいですよね。但し、実質伴ったものであるかどうかは、当然話は
別ですから、自分で見極めないといけません。
しかし、これまで連載して来た中でも書いて来ましたが、「家」という
もの、工法にしろ断熱にしろ百家争鳴状態で、本や雑誌で情報収集
しても、自分のところのでは、基本的に良いことしか書いておらず、
他の工法を批判している訳ですから、家を建てる素人の立場からすれば、
たまたま手にした本の工法に洗脳されるか、どれが良いのか混乱するか、
のどちらかになりますよね。
今まで見てきた中では、その10で紹介した、「いい家が欲しい」と
いう本が一番良心的だとは思いますが、私自身にも内容で腑に落ちない
点はありますし、メールマガジン読んでいると、ソーラーサーキット工法
自体への批判もあるようです。だから、どの工法を採用するかは結局自分が
納得出来るかどうか、でしかないのかもしれません。
「100年住宅」がトレンドですけど、現実に建つ家の全てがそれに
なれば業者の大半はいずれ潰れることでしょう。需要激減ですもんね。
良心的に造っても、長期的には自分の首を絞めることになります。
「景気回復の2番バッター」になるためには、ある程度頻繁にスクラップ
アンドビルドしないと対応出来ませんよね。それでも、業界全体として
本気で耐久性アップの道を選ぶものなのでしょうか?
だから、私自身のようにとにかく耐久性最重視の仕様を目指すという
のは、少数派であった方が、政治経済的には良いのかな?。
ただ、一個人として言わせてもらえれば、30年で産業廃棄物では背負う
ものが重すぎます。ローンが家賃みたいなものになってしまいますからね。
とても投資とは言えません。これからは処理にも多大なコストがかかって
来るでしょうし・・・。
そんな社会状況、工法、施工体制の中でどこかで折り合いを付けて人は家を
建てる訳ですが、景気をはじめとしていろいろなものに振り回されるのが
実状ですよね。金利で動いた私も勿論、例外ではありません。
結局、素人施主は『迷える子羊』から永遠に抜け出せないのかなぁ?
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7月第3週前半は梅雨空続きで、工事の方はあまり進展がみられませんでした。
外回りについてはタイベック(特殊選択透水シート)を貼り、屋根も葺き
上がり、建具も全て入りましたので雨自体はどうということもないのですが、
外壁の総レンガ貼りについてはやっぱり晴天時でないと難しいとのことで、
未だに手つかずのままで10日近くが経過した訳です。ただまぁ工期には
余裕があるため問題はない訳で(ただ安心感だけの問題ですし)、見切り発車
されたのでは困るのですが・・・。
ただ、内装工事を担当する造作大工さんが15日から入った、とのこと
なので、挨拶がてら16日の午後に現場を見て来ました(週末には天気も
回復していましたし)。
お一人のようで、朴訥とした感じの方というのが第一印象。
その時は上の写真のように、(水を通さない構造用合板の外側だから、
壁内結露対策としては果たしてどれほどの効果があるのか未知数という)
外壁の通気層を作るための縦胴縁を打ち付けていました。外回りはこの後
タイル屋さんに引き継ぐとの事だそうです。
![](kaidan.jpg)
内装の方は、と言えば階段が付いたり(但し今回は既製品)とか
2階天井に一部石膏ボードが貼られたり、といった感じでまだまだ
先は長そうだな、という感じでした。あと、分厚い断熱材と気密
シートがとにかく目立ちまして、この湿気対策がこれからの最重要
課題となるんだな、ということを認識させられましたね。
それが一週間経過し、南東北にも2年ぶりに梅雨明け宣言が出てみると
現場状況は一変していました(24日)。
外ではいよいよタイル屋さんが入って、外壁レンガをはめ込む下地
鉄板を打ち付けていました(写真がシルバーメタリック状態なのは
そのためです。外壁については、ガルバニウム鋼鈑を採用することも
検討していたため、こんな仕上がりになる可能性もあった訳ですが)。
もう下地は大体張り終えた、という感じなので、この更新の頃には
もうレンガを貼っていることでしょう。
ただ、さすがに全面レンガというのは例が少ないようで、来た業者
さんの話だとこれで2例目だそうです。これだけの面積(見積で
165平方メートル)にレンガを貼るとなると、一回に持ち運べる
レンガは4枚までとのことなので結構工期はかかる、との事でした。
ただ、貼るときは応援を増やして4.5人で貼るようです。
今週は晴天というか、うんざりするぐらいの暑さなので、雨の心配は
しなくていいのが有り難いですが、今度の週末までで出来るだけ
進んでいる事を期待しましょう。
あと、外回りでは軒面に延焼防止用のボードが貼られ(だから、屋根
飛ばされないようにするためのハリケーンタイのチェックを先に
しておいて正解だった訳です)、雨樋を取り付ける工事が進んでいました。
そして内部ではまず、ユニットバスが搬入され(ノーリツ製ユパティオ
シリーズのベーシックタイプです。元々バリアフリータイプで、オプ
ションで手摺を取り付けたのですが、浴槽内までハンドグリップが
付いていたのは意外でした。1坪タイプですけど、このぐらいあれば
十分でしょう)、
![](board-1.jpg)
2階部分については全て石膏ボードが貼られて部屋の形になって
おり、1階については丁度天井の石膏ボードを取り付けている
ところでした。この分だと、今週中にはボード貼りは終わりそうだな、
という感じはしましたね。もっとも、床材やクロス貼れるまでには
もう少しかかりそうですが・・・。
まあ、一番気になる内壁防湿シートの(コンセントボックス周りとかの)
湿気侵入防止処理は石膏ボードを貼り終えてから行うとのことなので、
きちんと監理するように現場担当さんには伝えてありますが、やっぱり
心配になりますね。自分で行った時にはきっちり見るようにはしますが、
結局は監理次第になってくるので、しつこく言っていこうと思っています。
そんな訳で、この日現場には、造作大工さんにタイル屋さんに雨樋取付の
業者さんと、総勢7名入っていました。これまでにない人数でお茶出しが
大変、というのはともかく、「シングル」の施主としてはちょっと居心地的に
複雑ですよね、やっぱり。話をしてみると、いろいろ勉強になること教えて
下さいますし、面白いんですけどね。
そもそもこんな暑い最中に・・・ですし、頭が下がる思いです。
とはいえ、施工の善し悪しについてはお任せに出来ません。
工事自体追込に入って来ましたが、可能な限りいいものになるよう
自分でも状況を把握し、適切な手を打って行こうと思っています。
さて、どうなることやら・・・。
その13へ