守屋 純子 “Shifting Images”

日本クラウンレコード(Ninety-One) CRCJ-9155  定価2,500円(税込)2001.10.24発売

 

今が旬のミュージシャンが一堂に結集した、現在日本最高のオーケストラ。
ジャズ・ジャイアンツ達からの遺産を継承しつつ、新しい方向性を示した話題作!!


 このオーケストラのメンバーは全員が本邦ジャズ界を代表する、今が旬の実力派ばかり。アンサンブルの素晴らしさはもちろんのこと、全員がソロもとっており、まさに、<1枚で17倍楽しめる>内容となっています。
 楽曲はオリジナルが中心ですが、ギル・エバンスに捧げた#4、チャールス・ミンガスに捧げた#7、セロニアス・モンクに捧げた#8など、過去の偉大な先達に敬意を表し、彼らの手法を踏襲しつつ、守屋による現代の新たな視点をつけ加えた、興味深い内容になっています。さらに、エリントンとモンクの曲を1曲ずつ、また映画音楽である、“ディアハンターのテーマ”をとりあげるなど、多彩なレパートリーが取り上げられています。
 このアルバムは流行りの“癒し系”(でもブームは去っている気がする)ではありません。“元気が出る”アルバムだと思っています。何かと暗い話題が多いこういう時代だからこそ、最も贅沢なメンバーによる豪華なビッグバンドのサウンドを楽しんでいただきたいと思います。

  

プロデューサー :ドン・シックラー
J.J. JohnsonやJoe Henderson の作品のプロデューサーとして何度かグラミ−賞を獲得している、名プロデュ−サ−/アレンジャ−/トランペッタ−/コンダクター。
レコーディング・エンジニア: 田中信一
ミキシング・エンジニア:Jim Anderson
現在アコースティック・ジャズの分野ではトップの実力を持ち、多くのミュージシャンが指名するNYのトップ・エンジニア。秋吉敏子、マリア・シュナイダー、ジョルジュ・グルンツ等のビッグバンドのCDも彼の手による。
マスタリング・エンジニア:菊地正美
録音日 :
麹町SOUND INNにて2001年5月22、24、25日録音。NYマンハッタン・センターにて7月2・3日ミックス。
曲目 :
3曲のスタンダードと7曲のオリジナル曲。アレンジは全て守屋による。
メンバー :
17人のビッグバンド編成。若手から中堅の、各楽器を代表するプレイヤーばかりで構成されている。NYより参加しているリード・トランペット、マイク・ポネラは、ここ10年秋吉敏子オーケストラのリードトランペッターとして、活躍している素晴らしいプレイヤー。
        
 ● リズム:守屋純子(P)、納浩一(B)、大坂昌彦(DRS)
 ● サックス:近藤和彦(AS,SS,FL)、緑川英徳(AS)、つづらのあつし(TS,SS,FL)、小池修(TS)、宮本大路(BS,B-Cl)
 ●トロンボ-ン:中路英明、片岡雄三、佐藤春樹、山城純子(B-TB)
 ● トランペット:Mike Ponella、菊池成浩、木幡光邦、奥村晶、岡崎好朗

曲目について・・・

 
のついている曲はサウンドファイル(Real Audio)をダウンロードして試聴することができます。RealAudioプレイヤーはwww.real.comから無料でダウンロードできます。 (ファイルサイズを小さくするために音質を落としています)
 

 
1.Spiral    7'15"
螺旋のようにからみ合うメロディーのイメージをタイトルにしました。ワンテイクで録音した曲です。
2.Underwater World     7'26"
 マリア・シュナイダーに捧げて書いた曲。水の中のゆらゆらとした幻想的な雰囲気をイメージして書きました。この曲もワンテイクでした。
 ところで、気になるのは、このCD中たった2曲のマイナー曲が両者とも冒頭にきていること。ドンは、“日本人はマイナー系が好みだから、ちょう良いんだ。日本制作のCDのプロデュースを頼まれる時は、大体マイナ−調の曲を多くしてくれとアドヴァイスされる。日本向けCDで10曲入りで7曲がマイナーだったこともある”と自信満々でしたが、ホントかなー。まあ、もっともこのCDでは、マイナーかメジャーかがはっきりしない曲が多いので気にすることない気もしますが。
3. 
Cotton Tail(D. Ellington)     5'45"
(Ral Audio File 200k)
このCDの中ではもっとも“一般的なビッグバンドのイメージ”に近い曲だと思います。さて、この曲は何回転調しているでしょうか?答えは・・・わたしにもわかりません。これは5テイク位録音しました。
4.Waltz For Gil    6'30"
このCDの曲中おそらく一番技術的に難しい曲。録音にも最も時間がかかったような気がします。4テイクくらい録りました。
5.Cavatina (S. Myers)     5'54"
映画“デイア・ハンター”のテーマで、もともとギターのために書かれた名曲です。とにかく美しいメロディーが印象的です。2テイク録音の2テイク目。
6.
Bright Moment     6'09"

(Ral Audio File 260k)
こんな素晴らしいメンバーで、演奏できる喜び・楽しさをイメージして書いた曲です。わかりやすいメロディーとは裏腹に実は技術的仕掛けの多い曲なんですが、2テイク録音の2テイク目でOKが出ました。
7.
A Touch Of Mingus      5'28"

(Ral Audio File 240k)
このオーケストラの中でも、特に個性的で特徴的なメンバーが揃っているサックスセクションをフィーチャーして書いた曲です。さらに日本を代表するバリトン・プレイヤー宮本大路をフィーチャーしています。5サックスの部分は色々試行錯誤して何テイクも録音しました。
8.A Touch Of Monk   6'04"
しみじみ哀愁の漂った曲よりも、ユーモアのある楽しい曲を書く方がさらに難しい。ユーモアという意味ではモンクは本当に凄い作曲家で、彼に捧げて書いた曲です。2テイク録音の2テイク目でOKが出ました。
9.
Over There      6'19"

(Ral Audio File 276k)
これはしみじみ哀愁の漂った曲の代表です。横のラインはシンプルなメロディーですが、縦の方向には複雑なハーモニーーがついています。今回NYでの仕事に全部トラを入れてまで参加してくれた、マイク・ポネラをフィーチャーしています。テンポ的にも音程的にもかなり難しい曲で、これも6テイクくらい録った記憶があります。
10.Friday The 13th (T.Monk)       6'37"
ヘンな曲が多いモンクの中でも特に変わっている曲。たった4小節しかないメロディーがどんどん展開していきます。そういう意味でジャズのアドリブの成り立ちを説明するにはもってこいの曲です。学生時代この曲を初めて聴いた時の“なんじゃこりゃ?”という衝撃は今だに覚えています。4テイク録音しました。この曲が最後に来ているのは、やはりドンによる、“CDの最後はフェイドアウトのようなものではなく、スパっと終わるものが良い”という意見によります。確かにスパっと終わります。
              Total duration 63'38"
 以上、児山先生によるCDの解説では触れられていない視点から書いてみました。全体をとおしてわたしが出来が良いと思っているのは、(この作品の中で完成度が高いという意味では無く、普段の演奏の出来と比べて相当うまくいっているという意味で)3、6、8です。このバンドはを早くて勢いのある“いてまえリズム”が得意なようです。  
 

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