ブルーノートの数々の名盤を録音してきた、伝説のルディー・ヴァン・ゲルダーです。現在までアコースティックなジャズのエンジニアとしては、常にトップであり続けてきた人で、今回のCDは彼による録音も大きな聴きどころです。目の前で、アンサンブルが繰り広げられているかのような、臨場感のあるサウンドに仕上がっていると思います。
 ヴァン・ゲルダースタジオはNJの森の中にあり、この扉1枚を隔てた向こう側はもういきなりスタジオです。ここは彼の自宅でもあり、時間にとらわれずに理想の音を徹底的に追及できる環境は、都会のスタジオでは決して得られないものです。

 スタジオの前で撮った、メンバー全員の集合写真です。
 左から、モーリーン・シックラー(ルーディーの唯一のアシスタント、ドンの奥さんでもあります)、 スコット・ホワイトフィールド、トニー・リーダス、ドン・シックラー、ウイリー・ウイリアムス、守屋純子、ハワード・ジョンソン、ルディー・ヴァン・ゲルダー、ロン・マックルーア、ライアン・カイザー、クリス・ポッター。ベテランから、中堅・若手、各世代の注目プレイヤーが揃った 豪華な顔触れです。

 クリス・ポッターのソプラノサックスとのデュオを録りましたが、CDには収録されず、幻の曲となってしまいました。
 今回13曲を録音しましたが、時間の都合で、CDには9曲しか入れられませんでした。残りの4曲も、演奏の出来が悪くてボツになったわけではないので、いずれ何らかの形で発表したいなあと思っています。
 ところで、クリスは、10代のうちに、アルト奏者としてデビューしたのですが、ここ数年は完全にテナーに転向しています。このCDでは、彼にアルトを担当してもらいましたが、今後は彼のアルトを聴ける機会はあまりないかもしれません。

 これがスタジオでのリハーサル風景です。
 天井がとても高く、ビッグバンドが優に3つは入りそうな広いスタジオです。独立したブースが4つあります。ルーディーが常に、最も良い状態で録音ができるようにマイクをセッティングしているので、サウンドチェックは最小限の時間で済み、スタジオに入ってすぐにテープを回せる状態に入れます。
 ミキサー卓は、ルーディーにとっては最も“神聖な場所”で、ミュージシャンは勿論のこと、プロデューサーといえども、ミキサー卓のまわりには決して立ち入ることができないそうで、ルーディーはこの辺りには本当に頑固にこだわっているようでした。

 ギル・エバンスバンド等でお馴染み、ハワード・ジョンソンです。休憩時間中にライアンのフリューゲル・ホーンで遊んでいるところ。
 チューバ奏者として有名ですが、低音楽器は殆ど何でも安心して任せられます。このCDでは、バリトンサックスとバスクラリネットを演奏してもらっています。特に7曲目の“ララバイ”は彼の素晴しいバスクラリネットをフューチャーするために書いた曲です。

 ピアノはスタインウエイのフルコンで、あまりに素晴しい音がするので、急遽、予定していなかったピアノソロを弾くことにしました。9曲目の“スターダスト”です。
 この写真のピアノはリハーサル用のもので、このピアノをハンコックやモンクや、多くの名ピアニストたちが弾いたのだそうです。ルーディーは“最高の状態で録音するために、本番用のピアノは、決して練習用には使わないでほしい”ということで、ピアノを2台入れているそうです。

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