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13.湘南貨物駅跡

JR東海道線・横須賀線・根岸線、そして湘南モノレール線が集まる大船駅付近は、昔から鉄道の重要な拠点である。

 明治の昔、軍港への貨物輸送を目的に建設された横須賀線は、大船信号所から南東へと分岐する。南西に分岐した東海道線は、一遍上人で有名な遊行寺の門前町でもある宿場町・藤沢へと向かう。分岐地帯の中間には、南方にJR東日本の大船工場、北方に同大船電車区がある。どちらもきわめて広大な施設である。

 そして、大船電車区と線路をはさんだ西側に、かつてはもう一つの広大な施設があった‥‥‥。

電車基地

 大船電車区。横須賀線・根岸線の車両を受け持つ。空港特急「成田エクスプレス(NEX)」の赤い顔も見える。

入口

 園芸展示場・住宅展示場・スポーツ施設という取り合わせが妙。入口の柵に何となく違和感が漂う。

フットサル

 「フットサル」というのはかなり新しいスポーツ。動作はサッカーに似ているが、コートはハンドボールに似ている。

駐車場

 フットサルコートの隣は、たしかに住宅展示場である。それにしても、余裕のあり過ぎる駐車場のように思うが…。

住宅展示場

 展示場はまだ出来たばかりのようだ。手前の空き地に、まだ何軒か住宅が立ち並ぶのだろう。

建築中

 建設中の住宅。展示場と外界とを隔てるコンクリートの塀が異様。外からもよく見えるようにするのが普通だと思うが。

全景

 あまりに広大で全容を把握できないので、8枚の写真をつないでみた。これでも全体の半分程度。左(北東)の彼方には大型書店が、右(南西)の彼方には園芸展示場があるのだが、あまりに遠過ぎてわからない。


 大船を出た東海道線は、村岡付近の丘陵地を避けるように南西を迂回し、藤沢に入る直前で大きく北西に折れる。 旧国鉄の末期、貨物輸送の合理化のため、各駅ごとに取り扱っていた貨物業務を集約する動きが起こった。その一つ「湘南貨物駅」は、神奈川県中東部の貨物を一手に引き受けるべく、この丘陵地の端を削って作られたように思われる。

 平塚の西方に残る「西湘貨物駅」とおそらく同時期に作られた広大な施設は、折悪しく、鉄道貨物の衰退の影響をまともに受けた。民営化により発足したJR貨物に引き継がれたものの、間もなく廃駅となり、手も付けられぬままに何年もの時を過ごした。 JR誕生10年を過ぎた今日、ようやく再開発が始まったのであろう。

書店

 これだけのまとまった土地であるから、工場誘致なども可能だったはずだが、世は大不景気。大船まで来ている根岸線を延伸して、通勤新駅を設置するという噂もあった。実際「新駅設置」を公約とした政治家もいたようだが、東海道線をオーバークロスするのに莫大な費用がかかる。結局、比較的好調な業種への切り売りとなってしまった。

 北東の一角は、郊外型大型書店が占めている。 数多くの線路が扇形に広がっていただろう三角形の土地は、駐車場としては決して使い勝手の良いものではないだろう。

 線路は隣にあっても、住民の足は自家用車かバス。なかなか来ないバスを待つ若い娘は、昔の光景を知っているのだろうか。

JRFマーク

 書店の壁に「JRF(日本貨物鉄道)」のマーク。駅は消えたが、建物の大家としては残っているようだ。

廃コンテナ

 駐車場の隅にある「用途廃止コンテナ」。かつてここに貨物駅があったという、唯一の「形見」かも知れない。

コンテナ列車特急踊り子

大量の貨車が「ここ」にあったはず‥‥‥。線路の剥がされた跡地を横目に走る、JR貨物のコンテナ列車と、JR東日本の特急「踊り子」号。昔の壮大な景色が脳裏に焼き付いた、ベテラン運転士の思いは如何ばかりだろうか。


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Original pictures were exposured on July 4, 1999 on Konica Q-M100V.

This page was updated on Tuesday, May 02, 2000

Copyright©1999-2000Toshiyuki Kato