念のため言っておくが、このページに写っているのは「紙幣」ではなく、「硬貨」である。どちらもお金には違いないが、紙幣は「日本銀行券」と言われ、財務省印刷局が印刷して、日本銀行が発行するもので、硬貨は財務省造幣局が製作して発行する「補助貨幣」だ。
誰でも知っているが、紙幣をコピーすれば犯罪になる。紙幣は紙で出来ているから、コピーした紙を切り取れば、簡単にニセ札になるからだ。Webページに写真を載せるのもダメである。どうしても載せるなら、財務省印刷局がやっているように、「見本」の文字や斜線を入れて、偽造に使用されないようにしなければならない。
しかし硬貨はコピーしても犯罪にならない。金属の立体物なので、コピーしてもニセ金にならないからだ。もちろん、写真をWebページにそのまま載せても構わない。財務省造幣局のWebページには、ここよりはるかに鮮明な写真が掲載されている。つまり、硬貨は偽造しにくいからコピーしても写真にとっても大丈夫、と法律的に認められているわけだ。
しかし現実には、『悪貨は良貨を駆逐する』の言葉通り、韓国の 500 ウォン硬貨を削ったニセモノが、ホンモノの旧
500 円硬貨を駆逐してしまった。人間の目には似ても似つかぬが、自動販売機は簡単に騙せたわけだ。
そもそも旧 500 円硬貨、デビュー時から「100 円と似ている」「安っぽい」と評判はイマイチだったが、この事件でさらに評判を落としたようだ。自動販売機に 1000 円札を投入し、お釣りにこれが出て来た‥‥‥などという時、ご丁寧に「500円硬貨は使えません」と書いてあると、実に腹立たしい。続けて使えないではないか。
平成11年製造の 500 円硬貨。わずか一年の違いで、生まれながらに嫌われる運命を背負った、実に不遇な硬貨だ。新
500 円硬貨と並べてみると、やはりどこか安っぽい。
一方、平成12年製造の新 500 円硬貨、今のところ対応していない自動販売機が多く、こちらも貰ってあまり嬉しくない硬貨だ。もっともこちらは偽造防止のために重い特殊な合金になったので、普通に入手できる金属片や、もちろん 500 ウォン硬貨でもニセモノを作れないらしい。色も多少高級になった。
さらに、世界初、周囲のギザギザを斜め付けたり、反射の具合で「500円」の文字が見える特殊な加工も施されているが、自動販売機でそこまで判別するのだろうか。そこまでやらずとも、人間の目なら容易にホンモノとニセモノを判別出来ると思うが。
しかし最近気になるのは、新しい自動販売機に「新旧どちらの 500 円硬貨も使えます」という表示が増えている事だ。旧 500 円でもニセモノを判別出来る技術があるのなら、大変なコストをかけて新 500 円硬貨を発行したのは、一体何なのだろうか。
Original pictures were exposured on April 30, 2001 and May 05, 2001 by Kodak DC4800
This page was updated on Saturday, May 05, 2001
Copyright©2001 Toshiyuki Kato