やっぱり宮部みゆきはおもしろい。登場人物の財布が事件を語るという設定が一風変わっている。 殺人事件の犯人が単なる子供だったという結末は、「踊る大走査線 THE MOVIE」を思い出しました。
やっと読み終わりました。分厚かったのは確かだけど、こんなに時間をかけて読むものではない。 イマイチのらなかったと言える。 自分はいったい誰なのか、彼女はいったい誰なのか?二つの視点からストーリーは語られる。 やっぱり杏奈だ、と思えば、いや偽者だ、はたまた三原理香子だ。真実はどれなのかの謎解きが、ちょっと強引だったように思える。本格ミステリー好きな人には、最適かも。
一言で言えば、「B級トレンディードラマ」ってとこでしょうか。 解説の井上さんが書いていたが、私もドラマにしたらどんな配役になるだろうか と考えてました。 ストーリーはこんな感じ。 本人は恋愛だと思っていたのに、実は親の仕組んだお見合いだったこと。 恋人の同僚に一目見て惹かれたが、それを押し隠し親友との仲を取り持ってしまう。 しかし、とうとうその彼と一夜を過ごしてしまう。恋人、親友への裏切り。 相談相手であるもう一人の親友が、恋人の元彼女であったこともわかる。 こんなドラマがあって、主人公が選んだ道は一目見て惹かれた彼のもとへ行かず、 裏切られ裏切った恋人と一からやり直そうとするのだ。私にはわからない。
また感動してしまいました。ミステリーで泣けるなんてこの人の作品はすごい。 子供のとき、初めて目を合わせた瞬間から何かを感じ、同級生となってからはお互いを意識しライバルのような存在だった二人。 一方はリーダーシップのある明るい男。一方はクールな男。どちらも勉強も運動もよくできる。 前者は医者を志望するが家庭の事情で刑事となる。後者は親の会社を継がずに医者となった。 その二人が再会したのはある殺人事件。 刑事になった男は捜査に出向き、かつての恋人が医者の妻になっていることに驚く。 そして、事件の真相などが読み進むうちに明らかになっていくのですが、 最後には皮肉ではあるが素敵な結末が待っています。 なぜお互い気になる存在だったのか、その理由が解ります。
これが吉本ばななの世界なのか、と初めて知りました。 以前読んだ「キッチン」はどことなく不思議できれいな小説だとは感じながらも、 私には高尚過ぎて理解できなかった。 今回「うたかた」が私は気に入りました。登場人物の名前が嵐だから気に入ったわけではありません。(笑) 人魚(この名前もすごい)と嵐の関係、人魚のお母さん、お父さん、この4人のバランスが絶妙です。 誰もが魅力的で、透明感があるのが素敵です。
自分は父に誘拐されたのか?ずっと本当の両親だと思っていたのに、もしそうでないとしたら? 自分の本当の両親は?・・・と最後まで気を持たせる展開で、楽しめました。 「父と娘」がポイントです。
ネットおかまの営業部長の身に起こった事件。iレディとは、インターネット・レディの略で、彼が演じた美人秘書のこと。 「インターネット上で女を演じる男」というのに興味を持って買ったのですが、 軽くて先が読めてしまう平凡な小説でした。ひねりと言えるひねりがないので、つまらない。 簡単にさっと読みたい人向け。
女の弱さ、恐さを思い知らされる。女優になることを夢見ていたのに、自分そっくりの女が先にデビューして人気を得ている。 もし、自分が先だったらという思いが、全てだ。妬みと絶望、孤独。 だんだん狂っていって、妊娠しているという妄想を持つに至っては本当に恐かった。 と同時に彼女の寂しさとやるせなさも理解できるから、同情してしまう。 かわいそうな彼女より、彼女そっくりの女優と後輩の女の子の最後の行動のほうが恐ろしい。
橋田ドラマ、あるいは土曜ワイド劇場、はたまた昼のドラマ?といった感じ。 嫁いでも毎日訪れる小姑、何でも仕切ってしまう姑、夫は舅の本当の息子ではなく姑が浮気して生んだ子。 唯一の味方だった舅はボケて亡くなる。 息子の嫁は流産。ところが子供は息子ではない別の不倫相手との子供だったと言う。 愚図なはずの自分が、今度はしたたかな姑となる。 似たようなことは身の回りにもありそうな、だけどドラマチックだからこそ読んで面白い。
もっくんの映画の原作ということで読んでみました。 江戸川乱歩独特の世界です。 いくつかある話のうち、おもしろいと感じたのは「一寸法師」明智小五郎が出てくる話。
仕事の本ですが、縦書きだったので本棚に入れちゃいました。 一応仕事の本だって読んでるよーってことで・・・えっ?もっと読んで勉強しろって?
テーマはオブジェクトデータベースとXMLです。 オブジェクトデータベースは、従来のリレーショナルデータベースと比べて 柔軟性がありますよということが書いてあります。 階層構造のデータをテーブル変換しなければならなかったリレーショナルデータベースに対して、 オブジェトデータベースは階層構造のまま取りこむことができるそうです。 XMLは階層構造の記述になっているので、オブジェクトデータベースと相性がよさそう。 これからの可能性大です。
去年の「眠れる森」に続いて、野沢さんはこの秋フジテレビ月9でミステリードラマを書きます。 「氷の世界」竹野内くん松嶋菜々子、仲村トオルら出演で、とても楽しみ〜。 さて、この本もおもしろかったです。 呼人は12歳で成長が止まってしまい、12歳のまま周りの人たちが年をとっていくのを眺めるという運命を 背負ってしまいます。親友に潤・厚介、そして小春。彼らの友情は素晴らしい。 呼人が12歳で成長が止まってしまった原因は母親にあった。 テロリストである母親に会って自分が生まれてきた意味を知るため、呼人は本当の母親を探す。 結果、呼人は母親の愛を知り、小春が生んだ呼人の子供への愛を感じ、 これからも12歳のまま生きていかなければならない自らの運命を受け止める。という話。 やっぱりここでも母子が出てきました。
銃で撃たれ脳移植で命をとりとめた男は、だんだん嗜好や性格が変わっていく。 ドナーだと知らされていた人は実はドナーではなく、本当のドナーは彼を銃で撃った後自殺した男だった。 その男の脳が彼を支配し始めたとき、どうするのか? また最後の最後に泣いてしまった。こりゃ彼の作品を全読破するしかないかなあ。 実際にこんなことが起こったとして、脳は生きているということ。 心臓は停止、脳波も停止しても、脳としての機能が失われていないとしたら・・・。 自分が自分でなくなっていくとしたら、自分をなくさないためにどうするだろう。
「喜久子、33歳、独身、持ち家あり。」という帯にひかれて買いました。 主人公の名前が私と同じで、年も違わない。 独身だったら、この喜久子のように気ままに生きられるのかなあ。 うらやましかったです。 名前が同じだからか、彼女に共感できました。 これは、ミステリーではなくただの恋愛小説。 遊び仲間とのつき合いが面倒になった喜久子。 結婚をしないと決めたわけでもなく、だんだんと男を見る目が厳しくなってきただけ。 結局最後に気づいたのは、かつての遊び仲間で家に居候させたこともある男に会いたいという自らの気持ちだった。
17歳の一ノ瀬真理子が目覚めたら、25年後の桜木真理子だった。 17歳の心のままで、娘と夫のいる25年後にスッキプしてしまった。 彼女はいったいどうするのか? ちょっと設定が「秘密」に似てますね。 「秘密」の場合は娘の体に母親の心が移ってしまうのですが。 で、こちら「スキップ」の真理子ですが、よくがんばります。 高校の国語教師という職業を17歳の精神でやり遂げちゃうんですから。 娘との関係もおもしろい。夫を夫としてみることは無理なことで、 ここが一番のネックなのですが、同じ教師をしている仲間として協力してもらいます。 17歳の生徒にときめくのは、入れ物は42歳のおばさんでも17歳の心だから。 しかし、いい教師であるのは皮肉にも17歳が教師してるからか?
泣けました、後半。 前半は、登場人物も多く理解が難しいと感じながら我慢して読んでいたのですが、 秀丸さんが重宗を殺したあたりの前後からグッと惹きつけられた。 なぜ殺人を犯したか?そのときの周囲の人物は何を考えたのか? チュウさん退院をめぐっては、肉親である姉とその夫の冷たい対応が悲しかった。 病院の主治医や看護婦のほうが理解がある。 この閉鎖病棟というのは、精神科の患者が入院している病棟で外から閉鎖されている印象があるという意味だ。 精神科の病気だから犯罪を犯すという偏見や、 病気だから殺人を犯しても罪に問われず入院するだけという社会のしくみなど、 問題点も数多く提起されており、社会派とも言える作品だと思った。
前作「OUT」もおもしろかったけど、これもおもしろい。 主人公は主婦でも男っぽさがあるのが魅力的なところ。 不倫をして子供を捨ててもいいと思った瞬間があったカスミ。 その翌朝、まるで神隠しにあったかのように、わが娘が失踪してしまう。 いったい誰が犯人なのか? 読み終わった感じでは誰が犯人であっても話が通ってしまうような人間関係である。 カスミの娘を一緒に探すと申し出る末期がんの元刑事。 残された時間を生きる彼と、彼の命の終わりを見届けようというカスミの関係が哀れを誘う。
この人の作品は、胸がきゅんとなる要素があります。一番のお気に入りは、やっぱり「秘密」です。 この本は、親友の彼女を好きになってしまうという三角関係が、切ない結末になってしまいます。 三人は研究者。その研究の成果が記憶を書き換えるというもの。 画期的な研究であったはずの記憶の書き換えが、三角関係を終結させる手段となるのが悲しい。
この人の作品は一度読んでみたくて、読みやすそうなこの本にしました。 これはホラーですね。「神隠し」にあった少年がもどってきてから、彼の身の回りで不思議なことが起こるという。 彼をいじめると怪我をしたり、死んでしまったりする。 それはなぜなのか?誰の仕業か? 不思議な事件が度重なるに連れ、彼に対する周囲の反応が魔女狩りに似た様相をなしてくる。 彼の正体がわかるとき、やっと「居場所」が見つかってよかったなあと思えた。
久々の本がこんな題でなんですが、単行本で話題になった本です。 現在「2」も出ています。 文庫本になるのを待って買いました。 本文にもありましたが、これは立派な「民俗資料」 まあ、いろんな人がいます。42人を無理に枠にはめることなんてできない。 家庭に恵まれてない子が多いのは事実だけど、いわゆるお嬢様育ちの子もいるわけだし。お涙ちょうだい的な読み物ではなく、脚色のない彼女たちのインタビューと著者の丁寧な文章が、むしろ胸にぽっかりと穴があいたような空しさを覚えました。
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