積ん読書庫


男の星座

梶原一騎・原作/原田久仁信・画
ゴラク・コミックス 日本文芸社・刊
全9巻(絶筆)
データが掲載されていないので掲載期間がわかりませんが、単行本第1巻が昭和60年11月、第9巻が昭和62年6月になってます。『週刊漫画ゴラク』掲載。以下、巻頭の辞「さらば!友よ」より。

   とにかく、これが劇画原作者・梶原一騎として最後の作品になる。
   題して――一騎人生劇場・男の星座。さよう、完全なる自伝である。

完全なる自伝という割には、主人公が「梶一太」という名前になっていたりします。つまり、自分の目から見た、というより自分の人生を物語として構成し直した話、ぐらいに解釈すべきでしょう。

内容は、「プロレス巌流島」と呼ばれた力道山対木村政彦のプロレスリング全日本ヘビー級選手権試合観戦に始まり、文筆業を始めるきっかけ、空手の極真会館館長・大山倍達(故人)との出会いや波乱の青春時代を描き、「東京中日スポーツ」に連載していた「力道山物語」によって講談社の牧野編集長の目に留まるまで。ちょうど文筆業を始めるところから、劇画原作としてのメジャーデビューに至るまでで梶原一騎の死を迎えて終わっています。

第9巻で梶原一騎の実弟の劇画原作者・真樹日佐夫も触れていますが、話としては実に区切りのいいところで終わっています。聞いたところによると、絶筆となった最終回の原稿には血がにじんでいたそうですが、まさに執念で作品を形にしたのでしょう。

ただ、無責任なようですが読者の立場としてはなんと言っても面白くなるのは『少年マガジン』にデビューして「チャンピオン太」がテレビ放映されたり、「巨人の星」や「あしたのジョー」、「空手バカ一代」、「愛と誠」などの話題作が登場したり、そのあとのあれこれいろいろのごたごたなので、実に残念。最後だから全部包み隠さずに書くとのことだったので、期待していたのですが。でも、逆に枕を高くして眠れるようになった人は多いことでしょう。

劇画の方は『週刊少年サンデー』に掲載された「プロレススーパースター列伝」でもコンビを組んでいた原田久仁信で、その似顔絵的劇画手腕はますますさえわたっています。

ストーリーも「裏世界の空手バカ一代」といった趣で、往年の「空手バカ一代」(つのだじろう&影丸譲也・画)や「四角いジャングル」(中城健・画)の読者の方には必読といってもいい作品です。

前に戻る目次へ戻る次に進む
最初の画面に戻る