積ん読書庫


銀と金

福本伸行・著
双葉社・刊
1996年10月現在単行本11巻まで
『アクションビザッツ』連載
賭博黙示録カイジ』の作者が描く、やはり人生博打の漫画。こっちは競馬場で知り合った二人が、不正融資の上前をはねるところから話が始まって、現在読み終わっている第6巻までで株式売買の仕手戦・殺人鬼の見張り・贋作絵画の取引・資産家の息子とのポーカー・大資本家との変則麻雀と、これまたとてもまともな神経ではできない勝負が続いていく。

特に第5巻・第6巻の麻雀勝負では、読んでいるこっちの神経までおかしくなるような展開が続き、鮮やかなラストにはもう感動の嵐。大絶賛である。勝負事の話を読むと体調がおかしくなるとかいう人以外は、とにかく第6巻までは読んでほしい。

この作者は他にも麻雀雑誌で連載している『天』と、『天』の登場人物の若者時代を描いた『アカギ』という作品がある。共通の登場人物である天才・アカギこと赤木しげるというキャラクターがすばらしく、彼がいったい何をやらかしてくれるだろうかという期待が実に胸を躍らせてくれる。

で、この『銀と金』の主役の一人・平井銀二というキャラクターが、髪型を変えると『天』に出てくるアカギそっくりなのだが、とんでもないことに、やらかすことまでアカギそのまま。これがふつうの登場人物なら作者の手抜き以外の何ものでもないのだが、アカギとなれば話は別。もういくらでもやっちゃってほしいけど、ほんとにやりたい放題なのである(第6巻まで)。ああ、もうどうにでもして(笑)。

『天』の冒頭以外では久々にというか、この作者の漫画で初めて女性キャラクターがまともにストーリーに絡んでいるというのも珍しかったりする(私が知らないだけか)。

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