とぜんそう2000年11月分

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00/11/03

先日の「竹」+「条」の一件ですが、しばらく図書館へは行けない状態なので、手元の材料でちょっとしのいでみたいと思います。

まずは「超漢字」パーソナルメディア)の漢字検索結果。

「篠」の文字情報
こっちは先日の「竹」+「条」。
「竹」+「条」
「竹」+「条」は「篠」の仲間に入れてもらえないばかりか、読みすらはっきりしません。

つぎにお目にかけまするはちょっと前に制定されたJIS第3・第4水準漢字の公開レビュー時に使われていた「漢字用例集(案)」からひろったもの(入手元はこちら)。
「竹」+「条」
なんだ、あるじゃないかと思ったのは早計で、じつはこの字は諸橋大漢和、大漢語林、新大字典、新字源、漢語林、大字源といった漢和辞典には収録されていません。

それに、公開レビューに収録されていたほかの漢字では活字があまりないものは手書き文字も入れて何種類か異なる字体が示されてるのですが、この字に関しては活字一例のみ。なんだか怪しいと思いませんか。

ということで、この件はまたまた保留。(続き
完結編はこちら


うーん、プレステ2ってゲーム機じゃなかったのか。少なくとも SCE はゲーム機だとは思ってないようですね。


年賀葉書が発売されて二日間でインクジェットプリンタ用が売り切れ郵便局続出だそうで。去年も2週間ぐらいで売り切れたそうだし、今年は予約段階で断られたという新聞の投書があったような。

なんだか郵政省って IT から相当遠いところにいるか、世間の動きにかなり疎いのかも。インクジェットプリンタ用を出すなら、今年のパソコン売り上げのニュースぐらいはチェックしてほしかった。

ちなみに自分のぶんは会社経由で無事入手しました。

00/11/08

先日の帰りにラジオを聴いていたところ、最近はキャラクター商品が人気なのだとか。それもこどもばかりでなくおとなにまで。それを伝える女性アナウンサーもぬいぐるみをいくつか持っていると話しておりました。

で、おとなのほうはそういうキャラクター商品を持つことによって「心の安らぎを覚える」というのが一番の理由。次が「心が癒される」だったかな、まーいずれにしろあーそうですかどうぞご勝手にというぐらいの感想しか出て来やしないたぐいのものでした。

これに対してこどものほうはというと、一番がキャラクター商品は「自分を庇護してくれる」というもの。次が「自分を理解してくれる」……。

一瞬、おまえらぬいぐるみに守られてうれしいか、そんなものに理解されてしあわせか、そもそもそんな人が作っただけの「物」がなにをどう理解してくれるちうんだ、などと思いましたが、落ち着いて考えてみれば、人が彫った仏像を拝んで神仏のご加護だとか神様はちゃんと自分を見ていてくれるとかいうのと大差ないんですよね。

朝日新聞によるとこのごろの若者はけっこうカルトやオカルトを信じているんだとかで、こういうこどもたちが大きくなったら宗教の形は今とは変わっていくのかもしれません。

でも、いくら世の中が変わっても巨大な黄金のピカチュウ像なんて拝みたくないなあ。


現場に置いてあった試運転用パソコンに市販のものらしいスクリーンセーバーが入れてあって、作業のあいまに眺めてみたら、黄昏の岬の沖を舟と気球が横切るというものでした。

へえ、ロマンチックなものだなあ、などと思っていたのですが、なにやら違和感(ざわっ。祝「賭博破戒録カイジ(1)」(福本伸行、講談社)発売)。

場面は灯台のある岬の向こうの水平線に沈む夕日の前を気球と舟が左から右へ、つまり夕日が西だとすると南から北へ移動していくという構図なのですが、この気球、なぜか真下の海面にくっきりと黒い影を落としているのです。

「これ、夕日だよね」
「島には見えませんね」
「じゃこの下の影は?」
「……この星にはきっと太陽がふたつあるんですよ」
「あれ、この気球、右から光が当たって左半分が陰になってる。夕日は正面なのに」
「じつは太陽がみっつだったんです」

こういうものに科学的考証を求めるほうが野暮なのでしょうか。

00/11/11

『字源物語』(加藤道理、明治書院)読了。

副題が「漢字が語る人間の文化」ということで、甲骨文字→金文→篆文→隷書→楷書と変化していった漢字の成り立ちをさかのぼることによってその字が本来はどういった意味だったのかを解説しつつ、その字にまつわる中国古典を紹介していろいろ文化論をぶつ、といった内容。

読み始めてしばらくのところに、この部分は一般的な解釈とは違う独自の解釈だとことわってあるのを見て、ありゃ、と思いつつ後半に入るとこんな部分が。

私が大学で東洋倫理学の講義をしていた時、毎年学生に「情けは人のためならず」という諺の意味を書かせると、ほぼ半数、時には六割近くの学生が「情けをかけると、その人のためにならないから、人には情けをかけない方がよい」と答えるのが例年のことであった。若者の心は自分の利にのみ向かい、人の心を考えるゆとりを失っているのであろうか。


人に情けをかけとけばいつかは自分に返ってくると期待する気持ちの方が自分の利に向かっているのでは。たとえどんな理由があろうと結果的に相手に情けをかけないのは利己的だと考えるこの人の考え方こそゆとりを失っているのではなかろうか。

あるいは、「情けは人のためならず」を使う場面はたいてい表面的にそういいながらもじつは相手を思いやっているという前提で話を進めていて、なんだかんだと言い訳して情けをかけないやつは利己的だ、と決めつけているのか。

ちょっと牽強付会がすぎるような気がするので要注意の本かも。ほかの内容も修身の教科書みたいだし(実物を読んだことないのに断言するやつ>自分)。


11月3日に開店した東海地区最大の売り場面積を持つ書店・栄 BOOK SELLERS(親会社・Mana house)に行ってきました。場所は地下鉄栄駅を降りて丸栄方面、明治屋の向かい側の元山一ビル。丸善書店のトイメンといったほうがわかりやすいかも。

1階が雑誌、2階が文芸、3階が趣味・実用、4階が専門書、5階が芸術・コミック・CD・ビデオ・DVDなど。6階にはイベントホールが造られる予定だとか。

うーん、東海地区最大といってもこんなものかなあ、というのが正直な感想。原因のひとつは各フロアが狭いことではないかと。お向かいの丸善や杁中の三洋堂などといった東海地区の大型書店はのきなみひとつながりの売り場面積が広いんですね。見た目だけの問題でしょうけど。

この書店の売りのひとつが書籍のコンピュータ検索。これだけ広いとお目当ての本を探すのがたいへんというわけで、たしか全館で40カ所に検索用の端末が設置してあるのだとか。いちおう使ってはみたのですが、これがいまいち。

これまで使ったことがあるのは、近所の書店の書名・著者名検索とタワーズの三省堂の書名・著者名・キーワード検索のふたつですが、ここのは分野別検索のみ。たとえば「文芸」−「小説」−「男性作家」(だったかな?)と進むと、在庫のあるなしに関わらず登録されている男性作家の小説が全部表示されて、その中から探さないといけない(書名順・著者順・発行日の新しい順などに並べ替えはできる)。おまけにたとえばエッセーでもいろいろ分かれているので、分類が自分の考えたのと違っていたらひっかからない。やや不親切なので、早急な改善を希望いたします(使い方が悪かったなら失礼)。

しかし、いろいろな本が並んでいるのを眺め、ときに手にとってぱらぱら見ながら物色するというのはやはりいいものですね。オンライン書店が便利だといっても、いろいろな装丁の背表紙を眺めるという楽しみかたはいまのところ実際の書店だけのもの。ただ、これだけたくさんあると、ゆっくり見て回った帰りにはたいてい紙袋を下げているのがつらい。ことしはいつも以上に読む暇がないんだってば。


『あしたのジョー』(11)、(12[完結])(高森朝雄原作、ちばてつや作画、講談社文庫)、
『日本異界絵巻』(小松和彦・宮田登・鎌田東二・南伸坊、ちくま文庫)、
『蜀山人狂歌ばなし』(春風亭栄枝、三一書房)、
『愚者の賦−万葉閑談−』(伊藤博、集英社)、
『ぶたもおだてりゃ木にのぼる』(笹川ひろし、ワニブックス)、
『浮かれ三亀松』(吉川潮、新潮社)など。

00/11/12

『偽善系 やつらはヘンだ!』(日垣隆、文藝春秋)読了。

戦後民主主義が生んだ珍現象怪現象を舌鋒鋭く批判した本。自身が中学生(当時十三歳)に弟を殺され、加害少年が十三歳という理由だけで翌日には同じ中学校に通うことになった経験を持つ持つ著者による「第三章 少年にも死刑を」は圧巻。

世の中何かおかしいんじゃないかと思っている人はもとより、今の世間の風潮に何の疑問も持たない人こそ一読すべき本。


「しの」の字の件ですが図書館でちょっと前の新聞を調べてきました。「柔道」は10月31日付の記事に出てきた柔道の篠原選手の表記、「ダイエー」は10月29日付の記事に出てきた福岡ダイエーホークスの篠原投手の表記です。いづれもたけかんむりの下だけ示しました。
朝日新聞
毎日新聞
讀賣新聞
中日新聞
柔道の篠原選手
ダイエーの篠原投手
朝日新聞ではスポーツ面以外で「竹」+「條」が使われている例も見つかりましたが、いまのところ「竹」+「条」は柔道の篠原選手の名前でしか確認できていません。

ちなみに「竹」+「条」は「竹」+「條」の異体字として unicode の中国文字セットに入っているという情報をいただきましたが(毎度情報提供ありがとうございます)、彼の地では日本人の柔道選手にニュースバリューはないらしく、新聞サイトなどでの使用例は見あたらなかったそうです。

なぜ朝日新聞では篠原選手だけ「竹」+「条」なのか。可能性としては篠原選手本人がこの字を使っていることが考えられますが、それならなぜほかの新聞では「竹」+「條」なのか。謎は深まるばかり。

お立ち会いの中に篠原選手の直筆署名なり戸籍・住民票などの持ち合わせはござらんか?
完結編はこちら


で、上の件を調べるついでにほかの紙面を眺めていたら、10月24日付朝日新聞投書欄に「優しさメール/亡き藤井投手」というタイトル。

おや、亡くなったダイエーの藤井投手から電子メールをもらった人の書いたものかな、と中身を読むと、藤井投手の書いたものと思しき文章を掲げた後に「(略)これは闘病中に、ご自身のホームページで公開していた日記の一部です」。

うーん、朝日新聞ではウェブ日記も「メール」なのか。


内閣支持率15%、不支持率75%、おまけに自民党内からも反旗が翻っていながらまだ総理の座にしがみついて「党内で批判するような者がいるから支持率が下がる」などとうそぶいているのでは処置なしですね。支持率が異様に下がったから批判が出たわけで、原因と結果が逆でしょ。まーでもこれで今後支持率が下がることがあっても加藤元幹事長のせいにできるか。

いっそのこと、ことしになって天変地異が続くのは政治のありかたが悪いのを天が怒っておられるから内閣不信任、というのはいかが。江戸時代あたりなら至極正当な理由なんですけど。

え、自分が政権トップだからこの程度で済んでいる? はいはい。

00/11/16

【本日のささやかな感動】
MS-Excel 2000で、セルに「子」と入力してオートフィル(セルの右下の■にマウスカーソルを合わせ、カーソルが「+」に変わったところでドラッグ)を実行すると、次のセルから丑寅卯辰巳午未申酉戌亥と入力されることを発見。

おお、と思ってこんどは「甲」でやると、乙丙丁戊己庚辛壬癸と続くではありませんか。うーん、やるなあ。


【本日のちょっとした失望】
では、と「甲子きのえね」でやってみたけど、どこまで行っても「甲子」が増殖するばかりでした。ビル・ゲイツは還暦には興味はないようです。


【本日のかすかな驚き】
ほほー、ATOK13は「ビル・ゲイツ」を変換しないのか。ということは……

ATOK13 ビル・下いつ 素ティー不・ジョブ素 素ティー不・ジョブ図 浮川一信
IME95 4.0 ビル・ゲイツ 巣ティー部・所撫す 巣ティー部・ジョブ図 雨季がわかずノブ
MS-IME2000 ビル・ゲイツ 巣ティー部・ジョブス 巣ティー部・ジョブ図 右記側和信
NECAIIME95 2.0 ビル・芸津 すてぃーぶ・ジョブ巣 すてぃーぶ・ジョブ図 右記が沸かずの部
松茸 Ver.4.1 ビル・芸つ すティー部・ジョブす すティー部・ジョブ図 右記が沸かずの部
WXG4.0 ビル・げいつ
「びるげいつ」だと正しく変換
スティーブ・除ブス スティーブ・ジョブズ
「すてぃーぶじょぶず」でも正しく変換
浮川和ノブ
ことえり on Mac OS X ビル・下いつ スティーブ・序ブス
ことえり(バージョン不明) スティーブ・ジョブズ

ふむ、なんか納得。


小型サーボモータとかエアシリンダとかいろいろ紹介している『トランジスタ技術』連載企画の「ロボット技術図鑑」ですが、今月紹介されていたのは二足歩行ロボット Silf-H1。なんかうれしい。

00/11/18

森総理が APEC で「電気がないところでも携帯電話で情報がやりとりできる」と発言した件で、電気がない地域では充電はできない、都市生活に慣れた人間の想像力不足の発言だ、といった批判をしている新聞を見かけました。

でも、以前テレビだかラジオだかで聞いた話によりますと、東南アジアの電気の来ていない地域を船で移動していると、とある家でこどもがテレビを見ていたというんですね。

不思議に思ったら、船がその家の裏に回ってみるとそのこどもの父親とおぼしき人が発電器を接続した自転車をこいでいたのだそうで。

テレビが映るほどの電力量なら携帯電話の充電ぐらいはどうということもないはず。電気が来ていなければ携帯電話は使えないという新聞記事の方がよほど固定観念に縛られてるような。

だいたい、充電よりも携帯電話の中継の方が問題とぞ思ふ。


「プロ野球好珍プレー」とかいう番組の予告で、「目から鱗の珍プレー」というフレーズが使われていました。傍目にはなにげなく見えるけどよくよく見直すととんでもないプレーということかも。


先日の「ビル・ゲイツ」の変換結果に別の人も追加してみました。ちなみに WXG では「びるげいつ」だと「ビル・ゲイツ」になりますが、「すてぃーぶじょぶす」はあいかわらず「スティーブ除ブス」です。なにか含むところがあるのでしょうか。(追加情報。「浮川」も変換するし、かなり公平なようです>WXG)

こうなるとマッキントッシュ付属のかな漢字変換だとどういう結果になるのか気になるところ。情報求む。

00/11/19

ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブスをマッキントッシュでどう変換するのか、知近入道さんから情報をいただきました。ありがとうございます。さっそく追加させていただきました

ちなみに、「・」なしでも勝手に「ビル・ゲイツ」などと変換してくれるのは、いまのところ WXG だけのようです。しかもそれで登録してあるかどうかはかなり適当

00/11/28

【世の中は 澄むと濁るで 大違い】
箸は持つもの 恥はかくもの

てなわけでスティーブ・ジョブス関連でまたまた情報をいただきまして(ありがとうございます)、じつはアップルジャパンのサイトでは表記が「ジョブ」ではなくて「ジョブ」なのだそうです(一例)。

雑誌などでも「ジョブス」だったと思ったし、YAHOO!JAPAN でも「スティーブ・ジョブス」で900件を越える数が見つかったのでそのままチェックに使ったのですが、やはり外国人のなまえは油断がなりません、「スティーブ・ジョブズ」だと2800になんなんとするヒットになってしまいました。

ということで恥を忍んでまたまた追加

ところでこのかたの情報によると、「ことえり」ではバージョンによって「ことえりのさくしゃ」や「にほんごかいせきらいぶらりについて...」などでスタッフ名が出てくるそうです。ATOK13だと「えいとっく13のさくしゃ」は「ATOK13の作者」になりますが。

こちらの情報にも感謝。ところで、おなまえを出したりウェブサイトにリンクしてもよろしかったんでしたっけ?


『サムライたちの明治維新』(壮野睦原作、石川賢作画、リイド社)、
『脳のワナ』(鈴木光太郎監修、扶桑社)、
『無用ノ介(7)』(さいとうたかを、リイド社)、
わたしには向かない職業2』(いしいひさいち、東京創元社)など。


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庵主:matsumu@mars.dti.ne.jp