とぜんそう2005年6月分

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05/06/09

本日の朝日新聞「天声人語」より。

 首都の「政事」は暇なのか、忙しいのか。石原慎太郎都知事が週に2、3日しか出勤しないと話題になっている。仕事は30年来の腹心である副知事に任せ、月曜や火曜に登庁しない週が増えた。知事の決裁を得るなら水木金というのが、都庁内では半ば常識化していた。
(略)
 ほかの知事はどうか。大阪府の太田房江知事は週5日ほぼ皆勤で、週末もよく登庁する。愛知県の神田真秋知事も、平日は必ず朝から出勤という。同じ作家出身の田中康夫長野県知事は、出張の多さが目立つが、登庁率は石原氏ほど低くはない。


「ほかの知事」の中で田中知事だけ出勤日数が書かれていませんね。

あの人が週に3日ぐらいしか出勤しないのはずいぶん前から一部で話題になってたんだけど、石原知事がそれを下回るのを待っていたかのように、田中知事のほうが登庁率が高い、とはまた。しかも具体的数値を出さないで。さらには都内でラジオ出演するのも「出張」扱いで紹介するし。

こういう意識誘導って紙面でどのぐらいの割合を占めてるんだろう。

05/06/26

ちょっと前の朝日新聞読書欄の『起業バカ』(渡辺仁、光文社)の書評より。評者は唐沢俊一。

あるいは起業家たちの裏のバイブル足りうるまでのものになったかもしれない。


「裏のバイブルと呼ぶに足る」とかいうなら「足」でいいと思うんだけど、この場合はちょっと違うような。


先日のアサヒ・コムより。

「民主主義」入力禁止 米MS、ブログ検閲で中国に協力

また、先日の日韓首脳会議であちらの大統領が「歴史認識を国がコントロールできないというのは理解できない」てなことをおっしゃったそうで。

こういう国々と共通の歴史認識を持とうというのは無理がありそう。


昨日の中日新聞「編集局デスク」より。

 素人について、夏目漱石がこんなことを言っている。

 どんな物事でも、人間はまず全体の輪郭を見る。そこから、玄人と称する専門家は局所を観察して、細部に至る。細かくなればなるほど、全体の輪郭を離れる。離れることは、忘れることだ。

 対照的に素人は、全体の輪郭を決して離れない。ジャーナリズムの根幹だと思う。


素人ほど自分の先入観で細かいところを気にすることが多いと思うんですが。囲碁だって大局観が大事というけど素人はなかなか大局観が持てません。まあ「鹿を追う者は山を見ず」とか「専門バカ」とかいう言葉があるくらいで細部を気にして全体が見えなくなる人もいるけど、やはり要点を押さえるということでは素人よりは専門家でしょう。

マスコミの記者に「素人の目線」とやらが必要なのは、素人たる読者にわかりにくい記事になるといけないし、素人の「素朴な疑問」にも思い至りやすいからであって、きちんと噛み砕いて説明できる力量があるなら知識が豊富で困るわけありません。逆に素人の感想文に金を払う読者こそいい面の皮というもの。

だいたい上に書いたような思想や情報の統制を平気でできる国の言い分を S 記者が反論のひとつも試みずにありがたがって拝聴してきたならそれこそ「素人」ではないかと。よかったですね。

そういえば今日の中日新聞社説にはこんなことが書いてあります。

 沖縄戦の悲劇の象徴、ひめゆり学徒隊の生存者で語り部となった女性の体験談を「退屈」と。そんな感想を含む英語入試問題を作った東京の高校が今月、沖縄へ謝罪に行ったとか。


「そんな感想を含む英語入試問題」の全文にはきちんと目を通して「全体の輪郭」をつかんだ上で書いてるんでしょうね。ひょっとして「退屈」と感じたという「細部」にしか目がいかないとか。まさか、情報の扱いも「素人」だったり。


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