グライトのLED化(その2 Luxeon)

2002.11.27 回路(抵抗値)を変更。
2002.09.11 回路を若干修正。パーツ写真を更新。


はじめに

相変わらずLEDネタです・・・

LEDライトをいろいろやっていると「もっと明るく」とか「光を絞り込みたい」などの欲求が湧いてきます。
Luxeon StarというLEDは普通の白色LEDの10倍の光量で、しかも独自のコリメータ(レンズ)によって割と遠くまで照らせるらしく、小遣いで買える範囲でいろいろ探していたところ、CMGの
REACTORというハンドライトが安くてなかなかイイらしいという話を聞いたので、早速2つ(光の色に結構ばらつきがあるそうなので)買ってきました。
点灯してみたところ、たしかに片方は周辺が黄緑色がかった白、もう一つはやや青みがかった白と、はっきり違いが認められました。
電源は単3乾電池が2つで、昇圧回路等は使っていませんが結構明るかったです。
(ところが充電式のバッテリー1.2Vを2本で試したら、ボンヤリとしか点灯しません。こりゃダメじゃん・・・)
アルカリ使用時の電流を計ってみたところ百数十mAしか流れておらず、Luxeonの性能を活かしきっていないようです(Luxeonの定格は350mA)。
電池ケース部はアルミ製ですが、ヘッド(でかい!)がプラスチック製でちと安っぽい感じもしたので、これはもう改造するしかない!!という事で、ライトマニアの間では定番改造?のミニマグにLuxeonを移植することで決定。
ちなみにREACTORは素直に分解できるような構造ではないので、私はヘッド部を破壊してLuxeonを取り出しました。

仕様としては単三電池×2本のまま、DC-DCコンバータを内蔵してLuxeonを定格で発光させるようにしました。こうするとある程度電池が消耗しても十分明るく点灯させる事ができて、NiCdやNiMHなどの2次電池が使えるので経済的です。
昇圧回路には、ある掲示板の話題に出ていた、コンビニで売っている携帯電話用充電器(単3乾電池2本を昇圧するタイプ)の部品を流用して、例のごとくミニマグのスイッチ部品と置き換えることにしました。この充電器情報には大感謝!!です。

回路

充電器(TOPLANDシャトルバイタル AU-902,DE-882など)の中身はDC-DCコントローラIC、パワーMOS-FET、コイル、ショットキーダイオード、電解コン、等で構成されていて5Vを出力するように設定されていました。マグライトのスイッチ部品の大きさに収めることを検討した結果、このコイルやコンデンサは大きすぎたので、コントローラICとFET、ダイオードのみ流用して、他の部品は別途入手することにしました。

図中のU1、Q1、Q2、D1が携帯用充電器から取った部品で、他は手持ちのチップ部品などを使用。
U1のFB端子はフィードバック入力で、この端子電圧が常に2Vになるよう出力が調整されます。
開放出力は4Vとするように修正しました(2002.11.27)。図の回路でLuxeonの順電圧=3.42Vとすると約322mAで点灯することになります。*1
Q2は最大電流の制限用に入れてあります。
電解コンデンサはチップタンタルを使いました。

*1 分圧抵抗のR1とR2の比率を変えれば出力電圧も変わります。また、電流制限&センス抵抗のRlimを変更すると電流値が変わります。
  出力電圧(V)= 2/R2 * R1 + 2  電流値(A)≒(出力電圧-3.42) / Rlim  電流制限値(A)≒0.6/Rlim
  R1=3.3k,R2=3.3k,Rlimを3.3Ωの2個並列にして1.65Ωとした場合、通常351mAで点灯、最大でも363mA程度で制限されることになります。

効率は単3アルカリ使用時で80%。さすが既製品。
明るさと引き替えで電池の消耗がそれなりに激しくなっていて、1000mAhのNiCdを使用した場合およそ100分程度でバッテリーが空になってしまう計算です。
明るさと持続時間の関係はソリテールの改造に示したDDコンバータ使用時のグラフとほぼ同じになります。
Luxeonに流す電流を下げれば点灯時間を延ばすことができますが、私の仕事ではせいぜい数分間の使用が主で、長時間点灯することはまずありませんので、明るさ優先仕様としました。

なお、充電器から流用した部品については詳しく調べた訳ではなく、あくまで推測ですので回路図の部品・記号に実物と異なる(誤り)記載があるかもしれませんので、ご了承ください。

 

制作

パーツ一式。

基板は14mm径×1mm厚のガラスコンポジット、コイルは手巻き(たぶん22uHくらいだと思う・・・)
1.8Ωが無かったので、3.3Ωを並列に使って1.65Ωで代用しています。

Luxeonをヒートシンクから剥がす際、失敗すると壊してしまうことがあるので以下の手順で作業することをおすすめします。

  • Luxeonのアノード(+極)とカソード(-極)のハンダを除去して、電極をヒートシンク側のランドから浮かせます。これはLuxeonを剥がしたときに電極が引っ張られて壊れないようにするためです。
  • 次に薄刃のカッターなどを使ってLuxeonとヒートシンクの間を切るように力を入れるとスカっと取れます。このとき手を切らないように注意してください。
作成した基板。ルーペがないと作業不可能でした。
Luxeonがすごく発熱するので、-極側の基板には0.5mmの銅板を貼り付け、スイッチON時にマグライトのケースに排熱するようにしてみました。どのくらい効果があるかわかりませんが。

スイッチ電極の銅板はそのままだと酸化したりするので、東急ハンズで買っためっきセットを使って24金メッキしました。
いわゆるやまぶき色ってやつですね。ほっほっほ。

上下基板でコイルをサンドイッチするように合わせてエポキシ接着剤で固めたら、熱収縮チューブでくるんで完成です。

ユニットの高さが少々高く(ノーマルスイッチパーツの8mmに対して9.5mmほど)なってしまい、ヘッドをねじ込んでもスイッチが切れなくなってしまったので、テールキャップを少しだけヤスリで削って、オフにできるだけのストロークを何とか確保しました。

ノーマルのミニマグパーツ。このうち、リフレクタと電球、スイッチパーツは不要になります。
今回使用する部品。右上はLuxeon(REACTOR)についているレンズ。こいつのおかげで拡散する光を絞り込むことができます。
レンズを中心に固定するため、外径22.5mm,内径12.5mm,厚さ1.2mmの塩ビワッシャをレンズ前面に取り付けました。

ミニマグの部品にはテールキャップ以外手を加えていないので、いつでも元に戻すことができます。

コンバータ+Luxeonをセットするとこんな感じになります。
この状態で点灯させると光が拡散するので眩しくて本体をまともに見ることができません。

卓上に立てたり、広範囲を照らすのに良いです。

レンズ面を見ると、発光部(にコーティングされた蛍光体)の色が全体に広がって見えます。

いかにもLuxeonだぞって感じで。

 

完成

以前の比較画像がわかりにくかったので、ライト4本を同時点灯で比較した写真を追加しました。

各ライトは壁に向けて60cmほど離れた位置から点灯しています。

左から 日亜5φ×7LEDミニマグ、リアクター、Luxeonミニマグ、3LEDソリテール です。

いずれも新品アルカリ電池(単三×2)使用。ソリテールのみ単四アルカリ×1本。

配光具合がわかるよう、カーペットの上に置いて撮影。

リアクターとLuxeonミニマグは同じレンズを使っているため特性はほぼ同じようです。7LED化ミニマグはかなり広角になっています。

 

☆☆↓以下、以前にUPした比較画像です。☆☆

ふすまからおよそ2m離れた所から照射しました。
肉眼で見た感じより暗く撮影されてしまいましたが、それぞれの違いはわかると思います。

前回作成の日亜5φ×7LEDミニマグ。

色は一番白いと思います。照射範囲が広いのでソフトな感じです。

リアクター。

さすがに中心のスポットはかなりのものです。トータルでは7LEDミニマグと同程度かと。

今回作成のLuxeonミニマグ。

このLuxeon個体が黄緑っぽいものであることがわかりますね。
当然リアクターより明るいですが、それぞれを比較しないと違いがわかりにくいです。

違いはDDコンバータ内蔵にあるので、こちらは電池が相当消耗するまでこのレベルの明るさが持続します。

おまけ。3LED改造ソリテールです。

自分の顔に向けると結構眩しいのですが・・・やっぱこんなもんか。。

それぞれ、同じLED方式のライトですが、特徴(というか、一長一短)があるので用途によって使い分けるといいと思います。
7LEDマグは光が遠くまでは届かないので近距離限定ですが均等な明るさで、この中では一番使いやすい気がします。
Luxeon搭載(REACTORとLuxeonミニマグ)はLEDライトとしては割と遠くまで照らすことができるので、夜道歩きなどに便利ではないでしょうか。
・・・実は常にカバンにぶら下げている3LEDソリテールが一番重宝しているかも(笑)


DC/DCコンバータの作成に続く

 


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