ちょこっと行って来る温泉


    No.3 銀山温泉 しろがねの湯  大湯 



     私の木曜日は・・・温泉です。
     木曜日と日曜日は働かない事になっております・・・ええ、ええ、そうですとも、一年中働いていませんよ、私は。
    私の事を天下の遊び人のように仰る方が多々いらっしゃいますが・・・まあ、働かざるもの喰うべからず、と言うのは嘘でありまして、働かずに喰うのが人生の極意と言う物でありますね・・・極めて居るんですね、その道を。
    で、道を極めると・・・極道、と古い言葉では言うようであります・・・では、温泉を極めんとする道を・・・。

     知らない道を車で走り回ると言うと、警察に邪魔される場面に出くわす事が多くなります・・・いわゆる取り締まり、と言う奴ですね。
    で、私も一応取締役になっているんでありますが、どーもいつも警察の人には取り締まられるばかりで、一度も取り締まった事が無いのでありますね。
    そんな訳で、取り締まられるのは嫌なので、最新型の「取り締まり逃れ機」を買い求めた次第であります。
    私はいわゆるレーダー探知機の誤動作が嫌いで、ずーっと使った事が無かったのでありますが、今時はコンビニの自動ドアには反応しないよ、と言うアドバイスをいただき、んじゃぁ、と言う事で買い求めてみた次第であります。
    で、私は前の車についていたナビを信用していなかった物ですから・・・自分で地図見た方が確かなんで・・・ですから、今の車には搭載しませんでした。
    で、「取り締り逃れ機」を買う時に、ナビ付きのも有るよ、と言うことを言われ、それならそれが便利だろう・・・と言う事で、通販で「ナビ付き取り締り逃れ機」を買い求めた次第であります。

     で、何を長い前ぶり降っているのかと言うと、このナビがやっぱり前と同じようにおバカでありまして、とにかく言う通りに走ると、とんでもない道ばっかし行くのでござります・・・本日、一日振り回されたと、それを言いたかっただけなんでありますがね。
    皆様に置かれましては、カーナビでまともに目的地に辿り着けますですか?・・・いや、最短距離とか最短時間で、と言う意味で、最適ルートを選んでくれますか???
    ええっ?・・・高級機は大丈夫だと?・・・そんなモンですか?・・・ハイハイ、貧乏人の銭失いである、と、ねっ・・・アレ、安かったわ、とっても。

     さて、仙台市青葉区山奥字谷底の我が家から銀山温泉に行くには、とりあえず、古川まで行ってそこから小野田方面へ行き、鍋越峠を越えて山形側へ下ればすぐであります。
    で、すぐ、とはどのくらいかと申しますと、車のメーター読みで85キロでありました・・・2時間でしたね。

    鍋越峠は若い頃にバイクで「峠越え」を趣味にしていた時に何度か越えていまして、思い出の有る道なのでありますが、あれから幾星霜・・・完全舗装で面影もなし、と。
    感傷にひたる予定で居たのでありますが、ナンダコリャぁと言う程に呆気なく、感慨もクソも無く、何となく通過、で有りました。
    物好きな私は、トンネルをくぐらずに旧道を行ったのでありますが、宝栄牧場の分岐のそばに、かつて人に飼われた事が有るのか、妙に人に慣れた風の狐が居て、通過する車に食い物をねだっていました・・・たぶん、行ったら見られますよ。

     鍋越峠を越える前に少し不思議な感覚の道を走ります。
    道路は下っているように感じるのですが、平行して流れる沢の水が逆に流れて行くのであります・・・分かりますか?車は前に下り、沢の水は後ろに流れるのって、変ですよね? 車のアクセルは適当に踏み込んでいるので道路は実際は上っていると思うのですが、回りの景色の傾斜で騙し絵になっているのでありましよう・・・この感覚、ちょっと不思議で楽しいですよ。
     そうそう、私は宮崎町とか小野田町、色麻村なんて言うのは、田んぼの農道も知っている程度には、詳しい訳であります。
    なのでナビを無視して好き勝手に行く訳でありますが、そうすると、ルートを変更しましたの連続で煩くて・・・なんとかして太い道路に誘導しようとするんですね・・・邪魔でした。

    さて、峠の向こうの山形は我が宮城県とは違って、キレイに晴れておりまして、とても良い天気で有りました・・・夏場、梅雨時は特に、宮城が雨でも、山形は晴れている事が多いんですよね。
    で、程なく銀山温泉に着いてしまう訳でありますが・・・ここはちょっと特殊な立地でありまして、温泉街車立ち入り禁止でして、ずーっと遠くの共同の駐車場に車を置いて歩かなければならないのでありますね。
    要するに、谷間にへばり着いているので平地がほとんど無く、旅館の駐車場が少しは有るのですが、それもネコの額程度のものが多く、まあ、アレですね、車社会以前の時代の産物と言うのが分かる、貴重な立地時用件、と言えると思います。
    で、駐車場には・・・温泉街すぐそこ、とか、歩いて3分とか書いてある訳ですが、わざわざ近いとか、3分なんて書くのは、近く無いし、3分じゃとても行けないから書く訳ですね・・・悪徳不動産屋の駅から十分(じゅうぶん)みたいなものですね。

     温泉街の解説は専門のガイドブックに書いてある通りで、大正の香りを醸し出す建築が・・・と、言いたいところですが、これはいつの時代のものと言う言い方は出来ないな、と言う代物で、狭い敷地に無理矢理建て込んだ結果、こんな様なヘンテコな建築物が出来たんではないかいな、と・・・しかも、和なんだか洋なんだか、中華なんだか、と、建築に素人の私は時代や郷愁を感じるよりも、痛ましさを覚える温泉街で有りました。
    しかし、木造4階建てが地震の多い日本で堪えて残っていると言うのは、まあ、お見事、と言って良いと思います・・・見る価値あるのは、梁ですね、どこにも釘が見えない・・・なぁーんちゃって。

     最初に行ったのは「しろがねの湯」であります。
    いやいや、温泉街に入ったら、共同浴場しろがねの湯と案内が出ていたものですから、ああこっちか、と歩いて行っただけの事なのであります。
    しろがねの湯を携帯で撮ってみた

    で、ここは公衆浴場と言っても公営ではなく、じいちゃんが経営して、近所のおばちゃんが番台に居ると言う、民営の公衆浴場なのであります。
    このお風呂についての感想を一言で述べると・・・のんびりして良い、でありましょうか。
    建物が小さいからか、風呂場は、一階と二階に分かれていて、一日おきに上下で男女交代しているようです。
    私が行った時には、下が男湯になっていたのですが、川っぺりで草むしりをしていたじいちゃんが飛んで来て「二階に入ってもらえ」と番台のおばちゃんに言って、私は見晴らしの良い二階の風呂を一人で占有したのでありました。
    銀山温泉を紹介する雑誌では、温泉街の真ん中を流れる川のせせらぎとカジカの鳴き声が紹介されていますが、しろがねの湯に入っていると、川のせせらぎに混じってカジカの泣き声が聞こえます。
    私は誰もいないのを良いことに、風呂の縁に横になり、目を閉じて聞き入っていました。
    湯船は小さく、掛け流しと言っても湯量は細く頼りなく、本当にこじんまりした温泉です。
    入湯料の500円は風呂の規模と、一般の公衆温泉から比べると高い気もしますが、お湯は中々良いですし、何よりのんびり気分に浸れるのが良いと思います。
    お湯の性質は、微かな硫黄臭と、柔らかな肌触りで、少しトロッとしていまして、ガイドブックでは酸味と書かれていましたが、薄い塩味でありました。
    湯上がりに、番台のおばちゃんが「はいっ・・・飲まい」と言って缶コーヒーをくれました・・・なんとも、ねぇ、こう言う心遣いは、憎いです。

     銀山温泉 しろがねの湯・・・うんちく

     源泉   60.8度  やや白濁・微硫黄臭。
     泉質   硫酸塩泉  PH6.8 中性。
     効能   皮膚病・糖尿病・胃腸病・金属中毒症・疣痔・・・など・・・金属中毒症に効くのは、銀山だからか?。
     飲用   可。
     入湯料 500円  駐車場はずーっと遠く。 石けん・シャンプー常備


     で、温泉街にはもう一軒、大湯と言う名の公衆浴場があるのだと記されていましたので、歩いてみました。
    この川を挟んで両側に立ち並ぶ大正ロマンの建物は、見れば見る程不思議な建物でありまして、黙ってみれば良いのでしょうが、私にはドーしても間抜けに見えてしまうのでありまして、俺ってやっぱし相当に変なんだなぁ、と思った次第であります。
    いや、何となれば、何処のガイドブックにも温泉街の風情ある佇まいを絶賛している訳ですから、これを見て建てた人たちの頓珍漢な感性やら、景気の良さに浮かれた、見栄の張り合いの成果であろうな、と思ってしまう私は、やはり変態なのでしょうねぇ・・・と。
    論より証拠で、一度心を更にして素直に見ていただきたいものです・・・どこにも威厳やら風格と言った、古い木造建築が持つ味は無いですから・・・古いのでごまかされがちですがね。
    で、大湯は川を挟んで右側の中程にありました。
    私はこの風呂はお気に入りベストスリーに入れたいと思います・・・素朴さに参りました。
    番台がありませんで、従って、料金は勝手に箱に入れる仕組みになっております。
    入り口のドアに、「勢い良く開けるな」と注意書きが有るのですが、入ってみれば理由はすぐに飲み込めます。
    中が狭いので、ドアの向こうに立っているかもしれない人に当たる可能性があるからなのであります・・・それ程狭いんです。

    大湯の脱衣場を携帯で撮ってみた

     風呂へ入るドアが開放になっています・・・夏だから、風が入るようになのかと思ったのですが、ドアの取っ手が酸でやられて取れてしまっているのでした。
    大湯は、しろがねの湯と同じ源泉から引いているのですが、これが吃驚でありまして、お湯の質がだいぶ違います。
    こちらは、お湯が濃いのであります ・・・そして、じっとりと重いのです・・・分かるかなぁ? 分かんねぇだろうなぁ・・・。
    理由は分かりませんが、掛け流しで流しているお湯の量が圧倒的に多い事から、温度も高めで、いわば源泉に近い濃いお湯、と言えるのかと思います。
    しろがねの湯がシットリでありましたが、こちらはネットリとまでは行きませんが、粘り気を感じるお湯でありまして、ヌルッとします。

    大湯の湯船を携帯で撮ってみた

     施設全体が時代を感じさせ、痛んでいるところも目立つのですが、これぞ元祖公衆温泉と言う風情がたまらない魅力であります。
    お風呂に入るだけ・・・身体を洗うのさえはばかられる程の狭い風呂場でありますが、熱めのお湯に「うーっ」と唸って入れば、幸せ至極間違いなし、でありますよ。

    銀山温泉 大湯・・・うんちく

     源泉   59.1度  やや白濁・微硫黄臭。
     泉質   硫酸塩泉  PH6.8 中性。
     効能   皮膚病・糖尿病・胃腸病・疣痔・・・など。
     飲用   可。
     入湯料 200円  駐車場はずーっと遠く。 風呂に有るのはケロリンの桶だけ、手ぶら不可。


     帰りに温泉街のはずれで蕎麦を喰ったのですが・・・山形の蕎麦にしては美味く無かったで有ります・・・夏蕎麦とか言って、能書き垂れていましたが、単に梅干しが三個冷たいかけそばに入っているだけ・・・何が夏限定じゃぃコラー・・・と。

     で、帰り道、来る時に役立たずナビとなじったアレを頼りに、行った事の無い峠道を抜けたのでありますが、これがまた狭いのなんのって・・・狭いんです。
    全長20キロ程度の山道で2台すれ違ったのですが、どれ程バックした事か・・・まったく嫌がらせの好きなナビであります・・・好きになりそうかも。
    背灸峠の入り口を携帯で撮ってみた

     入り口で躊躇したんだけれどもねぇ・・・写真で見るより全然狭そうなんだよね。


    以上・・・おそまつでした・・・偏見と独断で書いてますから、当てにしなさんなよ。


       この話 完


    まあ、ネタは新鮮ですが信憑性は・・・?


    行った温泉について 質問を承っております


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