ちょこっと行って来る温泉


    No.31  蔵王開拓温泉  



       本日は、スキーをしに南蔵王の白いしスキー場へ行って参りました。
    家の近くにもスキー場はあるし、白石スキー場の隣には、もっと大きくて楽しめる、えぼしスキー場もある訳です。
    そして、その隣には、馴染みの澄川スノーパークも有る訳であります。
    んじゃぁ、何故に白石スキー場なのかと申しますと、自分でも良く分かりません。
    まあ、強いて言えば、田舎臭さと、のんびりムードがなんとなく肌に合うと申しますか、まあ、とにかく行ってみたかったんであります。
    で、半日券を買い求め、しかし、体力がついて行かずに、制限時間は2時半なのに、1時過ぎには退散を決めた訳であります。
    で、そうなれば当然次は温泉な訳でありますけれども、この界隈もだいぶ歩き回った次第でありまして、行ってない所はもう無いかな状態なのでありました。
    そんな事を考えながらスキー場から下って参りますと、蔵王開拓温泉なる看板が目に入ったのであります。

     
    手作り感溢れる、それはそれは素晴らしい看板で有りました。

    で、看板を見て即座に、手持ちのガイドブックに載っていた、入浴料1000円の記事を思い出した訳であります。
    そして、その料金から、パワー銭湯風の温泉であろうと予想し、自分のリストからは除外していた事も思い出した訳であります。
    が、しかし、パワー銭湯にこの手作り感溢れる、お茶目な看板は無いな・・・では、一体全体1000円の値段の理由や如何に、と、興味をそそられた次第であります。
    そんな訳で、看板に釣られて入って行きますと、かつては酪農を営んでいた事を窺わせる施設が放置される道の奥に、蔵王開拓温泉は有ったのであります。

    妙に大きくて、しかし、人気の無い不思議な建物でありました。

     おお、これが開拓温泉でありますか・・・そうか、開拓で入植して酪農など営んでいたのでこの名前か・・・そのまんまだな、と。
    駐車場は雪解け水でびしょびしょのグッチョグッチョでありまして、車から降りるの嫌だなぁ、状態であります。
    が、離れた所では、男性が独り、ツルハシを持って溝切りなどして、なんとか排水しようと奮闘しているではありませぬか。
    うーん、こう言う努力を見せられてしまうと私は弱いんでありまして、コンチワー、大変ですねぇ、などと声をかけてしまう訳であります。
    そんな訳で、ちょっと恐いもの見たさと言う気分になりつつも、まあ、蔵王の温泉にドン外れは無かろうと言う事で、木戸銭の1000円なりを支払って風呂場へと。
    下足のロッカーや脱衣場のロッカーは、百円入れるけれども帰りには戻って来るタイプなんでありますが、まず、ほとんど壊れているようで、まともなものはお目にかかりませんでした。
    そんな所から推測すると、開拓温泉は開湯してから結構な年月が経っているのかもしれない事を窺わせる訳であります。
    しかし、施設はちょっと老朽化が目立ちますが、不衛生感などは無く、とても清潔で安心出来ます・・・たぶん。
    さて、割と広々とした脱衣場には、盗難防止にロッカーの鍵をかけろと張り紙があるのですが、肝心の鍵は壊れていまして、掛からない訳であります。
    まあ、お客さんはたぶん私独りだろうと言う事で、しかも、小銭入れしか持って来ていないし、と、言う事でさっさと風呂へ。

    メインの内風呂です

     さて、風呂場へ足を踏み入れた途端に、ウッヒャァー・・・であります。
    なんと申しましょうか、まあ、ワイルドとでも申しましょうか、手作り感一杯の岩風呂がドーンと在る訳であります。
    岩風呂と言うよりも、岩石風呂と言うのがぴったりだと思う程に野趣に富んだ風呂でありまして、存在感は圧倒的でありました。
    風呂の奥には源泉掛け流しのお湯がとても無造作にビニールホースから流れ出ているのでありますが、その姿もワイルドでありました。

    お湯の流れた後にはカルシウムが蓄積して、宛ら鍾乳石のようであります。

     で、掛け流しのお湯はカルシウムを多く含む為にまるで鍾乳石のような文様を描き、それが湯船の中に沈む岩にまで堆積している訳です。
    いやぁ、まるで鍾乳洞の温泉と言ったら、ちょっと大袈裟かも知れませんが、でも、その趣は秘湯を通り越して「珍湯」と言える程のものでありました。
    でも、アレです・・・見方に拠っては不気味とか、小汚ない、なんて思う人も居るかも知れませんので、まあ、好きずきでしょう。

     さて、お湯の素性は・・・これは文句無く「名湯」でありましょう。
    何も言うな、黙って漬かれ・・・いや、能書きは要らない、浸かれば分る、の類いの本物の温泉であります。
    薄い笹濁りのお湯は、遠刈田温泉近くの「孝の湯」にちょっと似た感じで、ペタペタ感のあるお湯でありまして、湯の中で肌を撫でると脂分がじっとりと滲み出て来る感じがするのであります。
    しかし、その感触は孝の湯よりも相当にはっきりとしており、開拓温泉の方が数段濃く感じられます。
    72度の源泉をうめる為に地下水も絶えず入れられており、循環・消毒・濾過など一切なされていないにも拘らず、お湯は清潔感が在りました。
    しかし、鉄分も多く含まれている為に、お湯の表面に特有の皮膜のようなものが見えて、これ浮遊物と勘違いされる向きも在ろうかと思いますが、それは違います・・・鉄分の多いお湯特有のものであります・・・たぶん。

     
    サッシの戸板一枚向こうは、露天岩風呂であります。

     じゃぁーん・・・開拓温泉の真骨頂は、内風呂と戸板一枚隔てて在る、露天岩風呂であります。
    野ざらし、とも言える趣の露天風呂は、随所に手造り感が漂い、しかし、人によっては貧乏臭いとも言いそうな、努力の跡がそこかしこに見られるものでありました。
    特筆すべきは露天風呂からの絶景でありまして、大小の岩を配し、竹で周囲を囲った大きな湯船からは、不忘山や水引入道の峰嶺が一望に眺められ、寝そべって天を眺めれば、遮るものとて無い、蔵王高原の青空が広がるのであります。
    おお、この感覚は、そうだ、八幡平の藤七温泉に通じるものが在るな・・・手作り感はまさしくそれだ、と。

    カメラ位置が低いので山が少ししか入りませんが、本当はちゃんと見えます。

     さて、本来の露天風呂はもっと大きいのでありますが、冬期間はお客が少ないので間仕切りして半分しか使っていない模様であります。
    それでも相当に大きな風呂でありまして、湯船の深さも申し分無く、しかも、ごろんとひっくり返れるスペースもあり、開放感溢れる秀逸な手作り露天風呂であります。

    左の大岩の奥にも湯船が在ります・・・本日は湯が張られていませんでしたが

     しかし、流石にここは不忘山の懐に抱かれた場所であります。
    風はピューピューを通り越して、ビュービュー、ボーボーと吹く訳であります。
    それもワイルドで宜しいとも言えますが、やっぱりちょっと困る訳です。
    温泉で身体は温かいんでありますが、不忘おろしの風がまともに当たる顔が痛いんであります。
    源泉掛け流しと言うよりは、塩ビ管から豪快に、垂れ流し状態の72度のお湯が風で飛ぶんであります。

    ドボトボと溢れ出る源泉です

     そんな訳で、たぶん、好きな人には堪らない野性味溢れる温泉であろうと思うんでありますが、嫌だと思ったらとことん嫌われそうな、個性のはっきりした、自己主張の強い温泉が、蔵王開拓温泉な訳であります。
    私としては、とってもお勧めで、1000円払っても入るべきだと思うんでありますが、まあ、これはホントーに好きずき分かれます。
    で、ここはなんと、宿泊も出来るそうなんでありますが、ちょっと信じ難いような気もします。
    しかし、1000円には、大広間での休憩料も含んでおりまして、湯上がりには、お茶と、温泉卵のサービスが付くのであります。
    夏になったら朝から入って、一日岩風呂でひっくり返って居たいと、今から楽しみにしております・・・。


       蔵王開拓温泉・・・うんちく

     源泉   72.8度(pH6.8) ・笹濁り・やや塩味・無臭
     泉質   ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉 低張性中性高温泉
     成分   ナトリウム・カルシウム・硫酸イオン・ 炭酸水素イオン
     効能   神経痛・リュウマチ・疲労回復・慢性皮膚病・疣痔
     飲用   不可
     入湯料  1000円 駐車場あり  シャンプー・石けん なし 手ぶら不可 


     


    まあ、ネタは新鮮ですが信憑性は・・・?


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