はじめに
カフカの友人で遺稿保持者であったブロートが、死ぬまで秘蔵しつづけ、その死後も世に出ることはなかった、代表作の生原稿が、1988年、突然、ロンドンのサザビーズで競売にかけられ、20世紀文学としては最高の約2億5千万円で落札され、1990年、西ドイツでついに公開されました。
どれほど多くの人が、どれほど強く、このときを待ち望んでいたかしれません。
この生原稿からの訳が出るのを待っていましたが、まだどこからも出ないので、その一部を訳してみました。
無料ですので、よかったらダウンロードして、読んでみてください。
まだカフカを読んだことのない人もぜひどうぞ。
(カフカ入門の評論もつけてみました。今回の生原稿の調査についてもふれてあります)
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今回の生原稿の写真
表紙の顔写真はこの原稿を執筆していた頃(1914年)の写真
構成は、
- カフカ紹介のための付録(カフカの言葉、カフカについての作家たちの言葉の引用など)
- カフカについての評論(というより、カフカはこれまであまりにも語られすぎていて、大勢の唾だらけになっているので、それをぬぐうためのもの。カフカは難解とか、何をあらわしているのかわからないとか、ナチの予言とか、当時のユダヤ人のおかれていた状況がわからなければわからないとか、もう古いとか、そういった思い込みからカフカを敬遠している人はぜひ読んでみてください)
- 生原稿からの訳(さまざまな思い込みの蝿を追い払って白紙の状態になったところで、生原稿からの訳を読んでもらう、という、いちおうそういう趣向です。そううまくいうかどうかはともかくとして)
となっています。(最初に目次がつけてあります)
Copyright (C) 1998, Hiroki Kashiragi
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