道楽者の成り行き
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1.じょにーは演奏しなかった

2月12日 ハンブルク その1

2月12日 ベルリン 曇り

 ベルリンの陸の玄関口Zoo駅からInter City(都市間特急)で次の目的地ハンブルクまでは時間にして2時間ちょっと、変わらぬ風景についつい寝込んでしまい、気がつくとハンブルクHbfに到着する直前でした。

 ハンブルクも薄日が差し込んでいるとはいえ曇りの上にアルスター湖を渡る風が冷たく、大改造中のベルリンと比較すると天気のせいもあるのでしょうか、どこと無く活気のない町という感じでした。しかし、そんな町の雰囲気はどうでもよくて、ここはハンブルク、何といってもハンバーグの故郷なんですから、例え名物に上手いものなしであれ、例え狂牛病の惧れがあるとはいえ、ここまで来てハンバーグではなくハンブルク・ステーキを食べなくては来た意味もない、と早速駅前のレストラン"Schiffer Borse(oはウムラウト)"に入ってみました。因みに、何故このレストランで食事をすることにしたかと言うと、「地球の歩き方」に書いてあって駅前で見つけやすかったらというだけですが、店内は古い木造船の船内という雰囲気で、頭なの中では「さまよえるオランダ人」(シノーポリ盤ではなくクレンペラー盤)がなりっぱなしという相当疲れた状況でした。早速、キノコのコンソメ、野菜サラダ、ハンブルク・ステーキを注文してみましたが、スープはまあまあ、サラダはドレッシングがチーズ&サワー系でとても美味しかった一方、ハンブルク・ステーキは、肉がジューシーではなく胡椒が利き過ぎてパサパサしている上に、マッシュルーム入りのデミグラ・ソースも切れのない味で、1930年創業「つばめグリル」のハンバーグには全く敵わない味でした。ただし、アルスター・ピルスナーは極めて美味しかった、一瞬リンゴも併せて醗酵させたかと勘違いするほどフルーティーで、後味もすっきりしていて、ワインなら白、中国茶なら台湾産といったすっきりさわやかライト系が好きな私好みの味でした。

 動けないほど飲み食いした上にホテルの位置が全くもって分からないのでタクシーに乗り行き先を津告げるとどうもうんちゃんが不機嫌そうなのでおかしいなと思ったら、駅の直ぐそばで歩いて行ける距離でした。まあ93年にプラハでも同じことをして、笑って誤魔化したのですが(もっともあの時は大雪の翌日で道が歩けなかったこともありましたけど)、今回も笑ってチップをはずんで誤魔化しました。因みに、ホテル"SENATOR"は駅の側のLange Reuheにありまして、5階建ての個人営業的なホテルでしたし、ツイン部屋を一人で使えたのでとても快適でした。

 旅装を解き、本日は記念コンサートなので普段着(といっても普段からジーパンはあまり着ないのですけど)はまずかろうと思って背広に着替えてから町に繰り出したところ、雨に見舞われてしまいました。その上、我家のある練馬同様に月曜日は美術館を初めとした公共施設はみな休みで見るところもなく、一方で、名物のアーケードのあるショッピング街も、本、CD、楽譜、オーディオ、茶以外には特段購買意欲が湧かない私にとっては全く面白みがありませんでした。しょうがないのでそのまま歩いて聖ミカエル教会に行きましたが、ここもすでに閉っていて鐘楼には登れない始末でして、仕方ないので1759年オープンのレストラン"Old Commercial Room"(ここも「地球の歩き方」に載っている)に行き、ハンブルクの名物料理としてハンブルク・ステーキ同様に名高い「ラプスカウス」を頼んでみました。

 「ラプスカウス」という食べ物は何かというと、私見ではハンブルク・ステーキのもとになった「タルタル・ステーキ」を改良したようなもので、生のひき肉とタマネギ、ジャガイモを混ぜて練ったようなものでして、この店では新鮮な牛肉しか使わないこと、生卵を2個乗せていることを売り物にしていました。しかし、やはりというか、ネトッとした食感に胡椒味ばかり感じられてそうおいしいものではなく、名物に美味い物なしの「敗北の記」に新たなページを書き加えただけでした(量もとてつもなく多くて食べきれない)。ただし、一緒に頼んだビールはちょっと甘味があるシャンペンのような味でこれはこれで美味しかったですし、食後のアイリッシュ・コーヒーもブランデーがとても効いていて、コンサート前なのに酔っぱらってしまいました。

さて、さすがに名物料理店も冬のこの時期、それも午後6時前という夕食を取るには早すぎる時間(ただし我が家は午後6時半には夕食を食べる)なので、来ている客はとても少ないのですが、その中に外国人(英語をしゃべっていた)が向かいの席に座っていました。この外国人しきりに私が食べているのを観察しますし、メニューは書き写していますし、自分の食べたものについても詳細にメモをとっていましたし、挙句の果てには「ムジークハレ(本日のコンサート会場)に行くにはどの道を行けばいいのか」と英語の達者な中年の給仕頭に聞いていますし、この人もHPに紀行文を乗せるつもりなんだろうかと思いました。

 食事が終わると大体7時前でした。本日の会場であるムジーク・ハレまでの殆ど一本道、楽器の製造工房や中古レコード店、ブティックなどが点在する通りを歩いて向かいました。
 
 夜なので外観はよくわかりませんが、ムジークハレは、まあ、立派な建物だとは思います。もっとも、コンサート・ホールで一番美しいと思ったのはプラハの芸術家の家ホールですし、音響的にはムジークフェラインやベルリン・フィルハーモニーホールの方が断然いいんですけどねえ。ホールの中では若干CDを売っていましたが、ほとんど全て所有しているものばかりででした。今夜はメッツマッヒャー指揮によるコンサートです。


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