道楽者の成り行き
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4.ROTER OKTOBERに捧げる







2003年10月25日 ベルリン


ロンドン 晴れ

「出かけるときは忘れずに」と、何気なく持ち物確認を地下鉄の駅構内でしてみたら、何とパスポートがない!いつも鞄に入れて持ち歩いているので、当然入っているものと思っており、慌てて家に戻って探してみたら、背広の内ポケットに入れっぱなしでした。家は地下鉄駅の前なので5分もあれば往復できたから良かったものの、空港で気付くことになっていたらと冷や汗がでました。

飛行機はヒースロ空港発の英国航空。機内に入るとすぐに寝てしまったので理由不明のまま出発時間が50分も遅れ、そのままずれてベルリン・テーゲル空港に到着。

ベルリン 曇り

ベルリンでの宿は、ウーラント通り沿い、クーダムの北側の1泊40ユーロの「ペンション・エデン」。宿泊料から覚悟はしていましたが、うーむ、これはと唸ってしまいました。まず、エレベータがない。私の部屋は日本的に言えば4階。重い荷物を持って昇りました。そして、建物が古い。戦前の洋館といったところでしょうか。天井がやたらに高い。暖房は小さなウォーター・ヒーターだけで肌寒い。そのためセーターを着て寝ることにしました。そして室内にあるシャワーが部屋から独立しておらずビニールのカーテンで囲むだけの上に、お湯が安定的に出ません。壁紙はシミだらけで、机はがたついて物が書けません。もっとも、シーツとタオルは一応清潔ですし、部屋は壁紙はシミだらけですけど小奇麗なのが救いです。ふとTVをみると、これまた30年位前のTV?という感じの木枠でブラウン管が大きく前面に飛び出していて、右側スピーカー部分にパノラマ・ステレオの文字がある。いやあ時代物だなあ、と思ってよく見るとパノラマではなく、
PANAMA STEREO…。パノラマ・ステレオならまだ何となく分かりますが、「パナマ」ステレオって何だろうと思いつつ、余りの古さに爆発するかもと思って、TVのスイッチを結局最後まで付けませんでした。

ともかく、荷物を置いてCDを物色にいざフリードリヒ通りへ出発!

今回の購入したCDの中の最大の収穫は、カゼッラ最後の大作「ミサ・ソレムニスop.71」でしょう。事実上彼の最後の作品で、規模・長さ的にもオペラを除く最大級の70分以上にわたる大曲、なぜかヴィヴァルディの小曲が2曲前座でついていたためCD2枚組みとなっていました。実はこのCD、日本にいた時分に一度売り出し予告がレコ芸に出されたのですが、何故かその後立ち消えとなっていまして、最近jpiのHPで再び売り出されたことを知り、ベルリンに臨んだ次第です。しかし、このCDがとっても変なのです。ヴィヴァルディはモノラル録音、1997年のライヴ録音にもかかわらず。そして、幸いではあったのですが、同じ日のライブ録音であるカゼッラの方はステレオ。
さらに、可笑しいのは、曲よりも指揮者の気合のこもった声の方が大きく録音されている感じなことです。カゼッラの音楽が遠くで鳴っていて、指揮者のフンだとかエイだとかいう気合のほうがはっきり聞こえる、それもはじめから終わりまでほぼ間断無く。さらに、よくよく見ると、CD番号が
jpiでの売り出し分と違う。ロンドンに戻ったら改めて注文してみようかと思いました。なお、カゼッラの作品ですが、基本は新古典派寄り(最後の三つの協奏曲集を彷彿とさせる作り)なんですが、かなり奇妙な紆余曲折というか奇妙さを感じさせる作風です。例えば、グロリアの最後、強引に終わらせようとして、とってつけたようなコーダ(にしてはかなり長い)がありますし、グロリア自体にはマーラーの交響曲8番第1部のコーダをふと感じさせるものもありました。私は結構気に入りましたが、もうちょっといい録音で聞きたいなあ。

とりあえず他にも望月京作品集やテンシュテットの振った第九、予習用にチェリの振ったブルックナーの「テ・デウム」等CDを数枚購入したので、次にドイツ最大のデパートKDWに向かいました。

このKDWは大きいだけでなく、日本にはもはや存在しないような「高級デパート」の雰囲気があります。建物も新しくて(93年に改築)、古ぼけたところを一切見せない(この点では三越・高島屋の本店は失格)、広い売り場に、膨大な品物・品数が売られています(この点ではロンドンのハロッズも敵わない)。ただし、英語が通じない店員が多く、万年筆を一本買うのに30分ほど掛かるなど苦労しました(危うく違うものを買うところでした)。


そこからバスでベルリン州立歌劇場前。隣りのレストランでベルリン風ロール・キャベツとビールの夕食を取って、いよいよギーレン指揮、ベルクハウス演出のドビュッシー「ペレアスとメリザンド」です。

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