道楽者の成り行き
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4.ROTER OKTOBERに捧げる






 2003年10月28日

ベルリン晴れ

9時過ぎに起床。今日はeasy-jetグループが経営するインタネット・カフェにます向かう。eBayで東ドイツのコインを応札しており、その結果を見に行ったのだが、結果は全敗であった。最近DDR時代を懐かしむ「オストロジー(ドイツ語の「東」を意味する「オスト」とノスタルジーからなる造語)」なる言葉がドイツでは流行っているらしく、以前「4文字33行」にも書いた映画「グッバイ・レーニン!」等がそれに火を点けたようで、東独時代のスケート選手(今もプロのスケート選手)カタリーナ・ヴィットが、東独時代の服を着て司会をする番組すらあるそうだ。コインにもその影響が出ているようで、World Coin等の評価対比でみてあまりに高い値で落札されていた。しばらくはDDRコイン収集に関しては雌伏せざるを得ないであろう。

メールをチェックし、ついでに
YAHOOニュースをみたら、ああ、残念。星野はついに日本一になれずに引退か。まあ、王さんにもダイエー球団存続という九州全域に影響しそうな重大な使命もあったことなので、必死だったのだろう。ともかく中日時代からの星野監督にはお疲れ様でした。さらに、Niftyでアカデミア氏が紹介していたスヴェトラーノフ指揮によるカレンニコフの交響曲全集の購入を知り合いに依頼する。こんなCDは欧州では絶対売っていません。クラシックCDに関しては日本が世界最大の市場であることは間違いないでしょう。そこでCCCDという消費者を無視した商売をするEMIは愚か者でしかないです。ちなみにベルリンでもCCCDのラトルの振った「フィデリオ」やABQの演奏するハイドンが山積みになっていました(全然減った気配が無い)。また、カプリッチョもウルマンとメンデルスゾーンの作品集をそれぞれ1枚ずつCCCDで出していましたが、それらは山積になっており、最近の新譜、シュレーカーのオケ伴奏歌曲集やクラウスの弦楽四重奏曲集等を普通のCDでリリースしていました。また、EMIですら、CCCDでない新譜を幾つか出ていまして、フランスでの判決や売れ行き調査で慌てているのかもしれません。当HPの読者の皆様には、CCCDボイコット運動に同調して頂ければ幸いです。

その後、ぶらぶらとクーダムを歩き、ウーラント通り南側の高級文具店の前に達する。日本で言えば銀座伊藤屋の極一部を取り出したような店で、最初はブラウジングですと言って店内を眺めていたが、イタリアの万年筆メーカーAURORAが売られているのを発見。同社の80周年を記念した限定品の万年筆の有無を尋ねるも、上手く通じない。限定品という言葉を頼りに、同社の別の品物を持ってきてくれたが、日本での売切品なのは良いとしても、その名も「ヴェルディ」。彼の没後100年を記念した特性万年筆で、CDまで付いているが、一昨日聞いて辟易したこともあり、その上お値段が6000ユーロと冗談ではない価格だったので断った。その間、目に付いた万年筆について色々尋ねると、それに合わせて色々と勧めてきた。一番欲しいものは無かったが、ちょっと変わった万年筆、モンブランの限定品万年筆で「ドストエフスキー」を半額で売るというので、書き味を試してみてから購入。因みにモンブランは限定品シリーズで文学者の名前をつけたシリーズを出していて、応対した女性の店員は、「プルースト」が綺麗だし、「フィッツジェラルド」や「ジュール・ベルヌ」もデザインが良いがどうだと言ってきたので、私は「シラーがいいけど、高いなあ(920ユーロ)」と応えて断った。さらにロンドンに住んでいると話したら、「ディケンズ」を勧められたた、凄くごっついデザインが私的にはダサかったので断った。
何故か人気がなくて半額で良いという「ドストエフスキー」(400ユーロ。普通のモンブランより安い)を購入して、ふと帰り際に、「そうそう、モンブラン限定品の『ヘミングウェイ』というのを探しているのですが、無いですよね」と当然売っていない事を前提にして何気なく一言。すると私の応対していた女性の隣にいたおばあさん、実は店主の眼が一瞬光ったように感じられると、おもむろに「ある」と宣告された。応対した女性はこれが何を意味しているのかさっぱり分かっていなかったが、私は私で驚いて、
”Really?”と言って馬鹿みたいに口をぽかんと開けてしまった。
「ヘミングウェイ」、発売は92年。モンブランの限定品(でも2万本も出ている)の中でも何故か突出した人気を持っていて、結構なお値段で国内外のオークションで取引されている。もう無いと思われた未使用品でもあり、軸も
Mであったし(Bだったらそれを口実に断ろうかと思っていた)、使ってみてあまり手になじまなければオークションに出せば半分くらいは戻ってくるだろうし、そもそも「無いか」と尋ねて、当然相場も知っての上で尋ねて、未使用品の相場並の価格を提示され、引くに引けず思い切って購入。
もっとも、額が額だったので、邦銀発行のカード会社は海外での支払いを拒否(その上、海外で不正利用されていると思ったらしく、以後全く使えず困った)、仕方なく英銀発行のカードを使ったが、こちらは支払いには応じたものの、生年月日や私しか知らない秘密の番号等も伝えなくてはならず、買うと言ってから40分以上経ってようやく決済終了。お値段はご自分でebayなりなんなりでお調べください、St.Ivesは馬鹿だと思いますよ。

ともかく、家族にはこの万年筆の価値と処分方法については、いずれ伝えておかねば、誤って捨てたり他人にあげてしまわれたら大変だ。それにしても、ちと使いすぎた。

先行きの金繰りを懸念しつつ、ベルリン・ドイツ・オペラにゲルギエフ指揮マリンスキー劇場によるショスタコーヴィチのオペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」を見に行く。


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