講演会での質問 2008.03.28

私の仕事は季節変動があり、2月3月はひま、つまり農閑期である。そんなわけであちこちの講習会とか講演会などに顔を出し、情報収集と啓発・研鑽に励んでいる。
単なるヒマつぶしではないかという声が聞こえたような気がする。 
農閑期といっても今の人には分からないかもしれない。昔、冬は農作業ができず、遊んでいるわけにはいかないので、都会の工場に出稼ぎにいった。そういうのを農閑期という。反対に田植えとか稲刈りとか忙しい時期を農繁期という。
セミナーや講演会、あるいはパネルデスカッションではおしまいのほうに質疑応答という時間を設けている。
毎度、主催者がご質問ありませんか? と会場に呼びかけるわけだが、私は質疑の応酬が面白かったとか、盛り上がったなんてものを見たことがない。
本日は、なぜ講演会での質問が盛り上がらないのか? ということを考える。といっても私の頭に浮かんが妄想であり、暇つぶしである。

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演壇

私は目立つことを嫌うたちなので質問なんてほとんどしない。 
実は私が質問しないことにはわけがある。はっきりいって質問する甲斐がないからだ。
たとえば環境法規制の説明会に行って、講師の説明が信用できるか? と考えれば質問する意味がないのは明らかだ。講師がコンサルタントとかISOの審査員などであれば、質問するだけ無駄というもの。
現実に仕事上で法の解釈とか手続きが分からないなら、所轄の行政に聞くのが唯一無二の方法である。
以前、業界団体の法規制の講演会に行ったときのこと、講師の説明があまりにも変なので質問したら、ご本人が後で回答しますとのこと。数日後、業界団体の事務局から「あのような質問をされるのは困ります」という苦情をいただいた。
こちらにすれば、質問されてしどろもどろになるような者を講師に頼むなと言いたい。事務局は講師に気を使うより、質問者(つまり私に)にお役に立てなかったことを詫び、役立たずを講師に選んだことを反省すべきである。そうでないのが理解できない。
講師が行政の担当官であっても現実の事例についてお聞きするのは、そういった場ではしにくい。やはり行政窓口に行くのがベターというよりベストであろう。

一般的な講演会の場合、講師のお話が面白いということは多々あるが、話の中で新しい情報を得たということはみなさんもめったにないだろう。一般人が行くような講演で、本や学会やインターネットに発表されていない情報やアイデアが語られることはありえない。
9割9分が本に書いてあること、ほかの誰かさんが語っていることの繰り返しなら、わざわざ質問するまでもありません。本当は講演会に行くまでもないのだが、それは義理もあるし、暇つぶしということもある。あるいは万が一、重要な話があるかもしれない。

環境関係の講演会で良くあるのは、講師が環境保護論者でお説が科学というより宗教になっちゃっているケースがある。もう逝っちゃっているんですよ。
近寄ると危険です 
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わしはしゃべらんよ
ニャン
最近は猫も杓子も、地球温暖化、海面上昇なんて話が多い。ところが猫や杓子が語る温度上昇とか海面上昇の数値はIPCC報告書の数値と桁が違うなんてのは珍しくありません。
そういうお方に、主張する根拠を求めたり、話の中の数値があっていないなんて申し上げたりすると、あとでブスリとやられる危険がありますので質問などしない方がよろしい。

ベストセラーの著者の講演というのは当たり外れが大きい。著書が面白いからといって、話が面白いとは限らない。「○○の品格」なんてベストセラーを書いた数学者の話を聞きに行ったときは、ボソボソという話し方で内容も面白くなく、なんとかスキを見つけて会場を出ようと四苦八苦した思いがある。

某日、某所の講演会に行きました。講演の後、質問の時間になり、どなたかが手を挙げた。
マイクを取ると「いや大変ためになるお話ありがとうございました」という前ふりから始まり、「私も先生と同様にいろいろと考えておりまして・・・」とえんえんと続く。
質問というより所信表明というか、ご自身が講演したかったのでしょうか?
オーイ、簡単明瞭に頼むぜ・・・トイレに行きたいんだけど

しかし全然質問がないのもさびしい。全然関係ない人の講演なら、話がつまらなかったからしょうがないねと斜めに構えていればよいが、私の仲間であれば誰も質問しないとかわいそうだから、他人のふりして質問をする。
主催者があらかじめ質問を依頼していることも多い。これもとってつけたような質問とか、誉めるだけでは聞いている方が恥ずかしくなる。しかし講演の話とかみ合ってその議論を進めるような内容だと、サクラだと知っていても許せる。
サクラならそのくらいは配慮しよう 

パネルデスカッションの場合の質問はちょっとむずかしい。だって、ほとんどのパネルデスカッションがパネラー間の議論が盛り上がらないのだから、質問で盛り上がろうというのはお角違いの、ないものねだりなのかもしれない。
パネルデスカッションに限らず、講演者と聴講者の立場を対等にして、講演のあとに十分な時間を取って、講演に対する反論とか、疑問点について聴講者同士で議論するような形式が講演の価値を上げるのではないだろうか?

質問するにも作法がある。
一度に複数の質問をするのは良くない。ご本人が知りたいことが複数あるのはわかるが、あれもこれもと質問すれば、論点が絞れずあいまいなままに終わることは見えている。
それから質問も論理を考えて、分かりやすく、何を質問しているのかをビジブルにすることが大切だ。長い話をして、結局何を聞きたいのか、あるいは講演者のどこに突っ込んでいるのかわからないのは・・・困りものです。
もうひとつ、質問が講演と関係ないのもつまらない。良くあるのは講演者の著書についてとか別の講演での話についての質問はおもしろくない。


本日のネタばらし
数日前、ISO9001の審査員の講演会に行きました。
もう、退屈で退屈で、配布資料に書きつづっていたのがこの駄文です。



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