四川大地震と天命と 2008.05.25

政治家、いや為政者の権力とは何によって裏付けられるのか?
路地裏のわんぱくどもなら、ケンカが強い坊主とか、場合によっては金持ちの息子が飼いならすことで権力を得ることができる。
しかしいやしくも一国の最高権力者は、ケンカが強いとか、政敵を皆殺しにしたという理由ではその正統性を合理化できない。本当は敵対勢力を暗殺したとしても、表面は神様から統治権を与えられたとか、国民に支持されたから推されたのだなどという理由をこじつけないとならないのは古代からのならわしである。
民主主義国家においては、国民が選ぶという誰もが納得できる選出方法に依っているので、あたらめて合理化することはない。
もちろん、投票数と選出された議員の数が比例しないという日本のような場合もあるし、2000年のアメリカ大統領のフロリダのように数字の信頼性に疑問のある場合もあるが、まさかいずれの場合も政敵を殺したとか、選挙に細工をしたわけではない。
正しく言えば、日本は昔々、天から降りてきた神の子孫である天皇がその血統によって地位が裏付けられ、総理大臣は天皇によって任命されるのである。
おっと、これは日本国憲法が定めているとおりであり、私に文句を言っては困る。
疑問ある方は憲法を読んでください。

../baikin1.gif もちろんどの国も日本やアメリカのように、誰もが納得できるような政体であるわけではない。
北朝鮮では将軍様が白い馬にまたがってあらわれたという。中世のヨーロッパのような、いや2000年も前のローマのロムルスとレムスのようではないか 
真実はソ連軍の銃口から北朝鮮の政権は生まれたのだが、あの北朝鮮にしても人を殺して政権をとったのだと、そのまんまいえないのが現実の人間社会である。

さて、世界の中心であると自負している中国は天命という。つまり神様から地上(現世?)を治めよと命を受けた者が皇帝として政治を行うことができるのだ。
ということになっているらしい
天命を受けた皇帝は絶対者として政治を行うことができるが、ひとたび天命が失われると、新たに天命を受けた者に禅譲するかあるいは殺されるかの道しかない。
ということになっているらしい
天命を失った者に代わって新たに天命を受けた者が政権を取ることが、革命と呼ばれるものである。共産主義革命とかフランス革命というのは、中国の革命と意味が異なるのである。
もちろん、事実に即して言えば、敵勢力を殺して政権を得た者が天命を受けたと叫ぶ権利があるということと同義である。

さて、過去より中国の皇帝は、天命を受けているから皇帝であり、その証拠を見せることができなければ、いや天命を受けていないことが暴露されると政敵がいなくてもいささか困ったことになる。
政敵がいればもっと困る。
../sun.gif 昔、日食を調べる天文学者が酒を飲んだか寝坊したのか忘れたが、日食を予言しなかったために臣民に動揺が起き、怒った皇帝がその怠慢天文学者の首をはねたと聞く。
まあ、もっともであろう。
さて、このたびの四川大地震であるが、研究所は地震を予知していたとか、中国首脳は地震が起きるのを知っていたとかいう噂が流れ飛んだが、まず予知していたとは思われない。
予知技術が確立していると思えないこともあるが、胡錦濤も温家宝も予想していたにしては、震災対応の手際が悪すぎた。
「はじめてのことじゃきに」なんて村山翁と同じ言葉は、大中国の総書記や首相は口が裂けても言えないだろう。
中国共産党政権が天命を受けているならば、あらかじめ予知し、人民の被害を最小としたであろうし、できなければ天命は失われたと考えるのが中国流だろうと推察する。
死傷者数は今でも毎日毎日増え続けることを踏まえて、中国庶民、あるいは共産党内部の者が胡錦濤/温家宝の天命を疑う可能性は極めて大というか、当然であろう。
おっと、言い方を変えれば胡錦濤/温家宝を追い落とすということと同義である。

ところで歴史と何かといえば、簡単にいえば現政権を合理化、正当化することである。
歴史とは起きた事件を書きつづったものだなどと、幼い夢を見ている人はいないと信じる 
だから都合の悪いことは書かないし、都合の良いことはねつ造しても書く。
中国の歴史で文化大革命はたいした事件ではないらしいし、天安門事件はもはや風化させたそうだ。
そして南京虐殺は歴史的事実として燦然と輝いている。
本来の歴史の意味の目的からすると、それはまさに歴史的事実なのだ。
誤解されるといけないのでSVOCを漏らさずに書けば『南京虐殺は中国共産党政権にとっての歴史において、歴史的事実として存在しなくてはならないものなのだ。』

さあ、胡錦濤と温家宝はいまだ天命があることをどうやって証明するのだろうか?
一説によると、四川大地震は三峡ダムのせいだという。もしそうなら地震発生後2週間いまだに大地震に相当する余震が1万回近く起きていることを考えると、更なることが・・・と懸念する。
もし、大地震が追い打ちをかけたり、あるいは三峡ダムが崩壊したら、天命は尽きる。

余震のニュースを聞くと思い浮かぶのは新たなる中国の革命である。
新たに天命を受けるのは誰だろう?



あらま様からお便りを頂きました(08.05.31)
中国のご都合主義
佐為さま あらまです
中国の四川大地震の被害は、どんどん拡大している様子です。
被災者は、悲痛な叫びをあげていると言います。
そうしたなか、日本の自衛隊の航空機での救援を、中国側の物言いで STOP となったようですね。
アメリカ帝国軍 ? の軍用機は受け入れても、日本はダメと言うことなんでしょうか。
日本側がモタモタしていることにも一因があったようですが、それにしても中国のご都合主義には辟易します。
そういえば戦争直後、中国は有能な日本人を日本に返さず暫くの間「留用」させて、中国建国の礎に従事させました。
その際、中国人は「留用日本人」を「友人」として勝手に位置づけて、中国の鉄道、空軍、病院などの基幹システムを構築しました。
本来は中国は日本から指導を受ける立場でしたが、対等な「友人」としたことは、中国人らしい発想です。
自己都合で、他人を扱う中国、全く失礼な国です。
あらま様 毎度ありがとうございます。
今回の拒否は中国国民の声に押されて中国政府が断念したという筋書きです。はたして中国に世論があるのか? あるいは世論そのものが共産党の声だというかんぐりもありますが、まあ、先様からお断りというならおせっかい、押しかけ女房ということもないでしょう。
以前から日本が中国に支援すると「評価する」なんて家来か奴隷と思われているようで、今回は奴隷の力は借りなくても大丈夫ということなのでしょう。
ところで、もう旧聞ですが、テレビ朝日で中国人被災者が「日本の支援に感謝する」というせりふを放送して、古館が中国の人たちはこれほど日本に感謝していると感動していましたが、もうアホかバカかと・・
共産党政権下で自由な報道はなく、すべてやらせか検閲済であることを知らないならジャーナリズムを名乗るなと・・
おっと、もともと中国の宣伝放送局だったか

あらま様からお便りを頂きました(08.06.04)
日本のメディアが悪い
佐為さま あらまです
「責任転嫁」大国の中国が、こんなことを言ったそうですね。
中国外務省の秦剛副報道局長は 3日の記者会見で(中略)自衛隊派遣計画を日本のメディアが「決まったかのようなニュース」として報じたと指摘した上で「日中双方に誤解が生じた」と不快感を示した。【北京 3日 共同】
中国からみれば、「郵便ポストか赤いのも、電信柱が高いのも、み〜んな日本が悪い」ようで・・・。
こんな調子で、北京五輪は大丈夫でしょうか ?
ハハハ・・・と笑ってしまいます 
もう、まともとは思えませんね、どうせならもっともっとハチャメチャなことを言っていただけると、南京虐殺も毒ガスもみーんなほら話であることがわかるでしょう。
通勤電車の中つり広告で「自衛隊派遣拒否は中国共産党支配の終わりの始まり」と書いてありました。
週刊誌など買う気がありませんが、電車に乗っている間中、いったいどういう理屈で中国共産党の終わりにつながるのか考えあぐねておりました。
風が吹くと桶屋が儲かると言いましたが、自衛隊が派遣されただけで中国共産党が崩壊するなら、わが自衛隊の威力は100メガトンクラスだったのでしょうか?
日本はすでに核武装していたのでしょうか?
うーん、謎は深まる。


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